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自動化の定着に困っていませんか?- 組織に自動化を定着させるためのヒント
今回は、自動化ソフトウェアを導入したものの、なかなか”自動化したい”という希望が業務部門から上がってこず組織に定着しないという悩みを抱える方々に向けて、自動化を定着させるための取り組みについて例を交えながら説明していきます。
1. 自動化ツール導入後の定着に悩むお客様は多い
「せっかくBlue Prismを導入したのに、誰も使ってくれない...」
「思ったように自動化案件が増えず、困っている...」
「なかなか組織全体に自動化の考え方が浸透しない...」
こんな悩みを抱えていませんか?
実は、これらの悩みは珍しいものではありません。多くの企業が自動化ソフトウェアを導入した後、その定着に苦心しているのが現状です。
では、自動化を組織に定着させるためにはどうしたらよいのでしょうか?
2. 自動化を定着させるための取り組み - ROMの教え –
自動化を組織に定着させるためのヒントは、Blue PrismのROM(Robotic Operating Model)にあります。
ROMはBlue Prismが長年お客様をサポートする中で集めてきた「成功するお客様の法則」を体系化したベストプラクティス集であり、「成功のためのフレームワーク」とも言われます。その体系化された成功例から学べばいいのです。
ROMの中には組織に自動化を定着させるための 3つの成功要素、4つの実践例、5つのコツが紹介されています。
以下にROMの内容をご紹介しますので、ぜひご活用ください。
組織に新しい技術を導入する際には、既存のチームやビジネス領域に教育を提供し、組織の文化として定着するよう促す必要があります。
一部のチームは他のチームよりも変化に対して抵抗する傾向があります。組織全体での合意を得ることは難しく、抵抗を克服することが、RPA、ひいてはインテリジェント オートメーション(IA)プログラムの成功を確実にするために重要です。
デジタルワーカーを文化の一部として受け入れてもらうためには、透明性が重要であり、ビジネス全体への定着はIAプログラムの継続的な焦点となるべきです。
効果的にこれを行うために、以下の点を考慮してください:
組織全体のメンバーをIA活動に関与させ、IAを「強制」するのではなく、業務部門の賛同を得ること
IAプログラムについて透明性を保ち、未知への恐れを取り除くこと
業務部門との関係を築き、彼らが必要とするサポートを提供すること
初期段階からIT部門との強固な関係を築くこと。IAプログラムは業務部門が所有し、ITが支援する形で進めるべきです
IAのビジョン、文化、ブランドが組織のビジョン、文化、ブランドと一致するようにすること
3つの成功要因
組織全体での抵抗を克服し、文化的採用を促進するための3つの重要な成功要素があります。それは、戦略と整合性、後援、組織文化と従業員の意欲向上(エンゲージメント)です。
成功要素 1 - 戦略と整合性
考えるべき問い:
組織の全員がIAのビジョンを明確に説明できますか?
全員が日常業務でこのビジョンを達成するために何をしているか、示すことができますか?
以下を考えてみてください:
なぜIAを導入することに決めたのか、その理由は十分に伝えられていますか?
IAの利点は何であり、それは伝えられていますか?
IAは企業戦略とどのように関連しており、それは伝えられていますか?
IAについてコミュニケーションを取るためにどのようなツールを使用していますか?
使用しているコミュニケーションツールの効果はどれくらいですか?効果を測定していますか?
成功要素 2 - 経営層の支援
すべてのIAプログラムには、成功を促進するための経営層からの支援が必要です。これは、どのような変革プロジェクトでも共通して必要なものです。
考えるべき問い:
プログラムをサポートし、障害を取り除くことができる経営層からの支援はありますか?
すべてのレベルの従業員が自動化のためのプロセスを提出するよう通達されていますか?
経営層は従業員がIAプロジェクトに参加するためのスペース、余力を作っていますか?
以下を考えてみてください:
人々が革新的になり、より多くのプロセスを自動化するためのスペースをどのように作ることができますか?
どうすれば組織のリーダーシップを強化できるのでしょうか?
従業員がIAの改善を仕事に取り入れるようにどのように動機づけできますか?
成功要素 3 - 組織文化と従業員の意欲向上
IAは人々の働き方を変えており、すべての変化と同様に、抵抗が生じる可能性があります。この抵抗がどこから来ているのかを理解し、それを最小限に抑えるための行動を取ることが重要です。
考えるべき問い:
組織は一般的に変化に対してどれくらいポジティブですか?
組織は最近の主要な変化にどのように対処しましたか?これらの変化はどのように受け入れられましたか?
組織は従業員が意見を表明し、斬新な考えを持ち、革新的であることを奨励していますか?
チームは変化に対してより抵抗しやすいですか、それとも受け入れやすいですか?
以下を考えてみてください:
デジタルワーカーを導入する理由に関する主要なメッセージは何ですか?
主要なメッセージを組織全体で一貫して共有するにはどうすればよいですか?
どのチームがIAに対してより抵抗しやすいか、または受け入れやすいかをどのように識別できますか?
組織がデジタルワーカーを受け入れるために最適な準備方法は何ですか?
従業員の参加意欲を効果的に高める方法は何でしょうか?
抵抗の根本的な理由をどのように識別するのが最も効果的ですか?
4つの実践例
IAを組織の一部として文化的に採用するのを助けるための多くのツール、ヒント、創造的な方法があります。
これらの方法を4つの実践例に分類し、ビジネスの賛同を得る方法をガイドします。
実践例 1 - 教育
組織を教育することで、デジタルワーカーの能力を理解し、日常の役割にどのように役立つかを理解するのに役立ちます。IAの理解を深めることで、自動化への恐れを軽減できます。
以下は、知識を組織全体に広めるための実践例です:
IAリーダーの座談会(Fireside chat):
IAのリーダーがBlue Prism、コア製品の能力、自動化に適したプロセス、自動化されたプロセスとその効果について話す一連のレコーディングやポッドキャストです。
自動化紹介イベント:
ROMにおいては「ビジネスロードショー」と表現されています。
IAを業務部門の元に出向いて紹介し、成果を披露し、IAプログラムとデジタルワーカーへの関心を引き出すためのイベント等を指します。これを視覚的かつ業務部門にとって関連性のあるものにすることで、未知への恐れを軽減できます。イベントはROMの元々の表現にあるように「ロードショー」のような、楽しみの要素が含まれていると効果的です。
ここでは、社内のシステムが実際に自動で動くところを動画またはデモとして見せることも非常に効果的です。日々利用しているシステムで見せることで業務ユーザーはよりイメージしやすくなるでしょう。
自動化推進役(アンバサダー)の設置:
ROMにおいては「ビジネスプロセスチャンピオン」と表現しています。
業務プロセスに精通した従業員を「チャンピオン」と認定してモチベーションを上げてもらうようなイメージでしょうか。
業務部門に在籍する特定分野の専門家は、IAプログラムにおいて重要な役割を果たします。彼らはプロセスの知識の源であり、プロセスの定義、設計、テストをサポートします。そういった専門家は、ビジネス全体でIAを伝道し、さらなる機会を見つけるのにも役立ちます。彼らをスキルアップさせて機会を特定するのに役立てることで、自動化案件を健全に保つことができます。
日本においてはこれと同じ意味で”アンバサダー”という役割を各部署に配置するケースが見られます。”ビジネスプロセスチャンピオン”という聞き馴染みのない言葉より、馴染みのある言葉を使うことも1つの手かもしれませんね。
ランチタイム勉強会:
これは座談会(Fireside chat)と同様にレコーディング/ポッドキャスト/ウェビナーですが、ユースケースに焦点を当てています。
過去の成果と自動化の方法について話すことで、組織を教育し、より多くの自動化機会を促進します。これらの勉強会をQ&Aに利用することもできます。
教材の配賦:
IAの能力と、何が自動化できるかを説明した資料を作成し、組織全体に配布します。日本のお客様においても、効果を出されているお客様は教材や研修プログラムが充実しているように見受けられます。Blue Prismからご提供できる教材もございますので、お気軽にお問い合わせください。
経営陣向け説明会:
経営層と会い、IAの能力、既に自動化されたプロセス、および計画中の自動化案件について説明します。経営層の信頼を得ることで、部門長と関わりやすくなります。
プロセス発見ワークショップ:
プロセス発見ワークショップを使用して、どのプロセスが自動化に適しているか、これらを優先する方法について業務プロセスの専門家を教育します。これらの専門家は、部門全体でIAを伝道することで、自動化案件の継続的な創出につながります。
日本においては、先にご紹介した”アンバサダー”向けの教育プログラムを整備されているお客様もいらっしゃいます。
実践例 2 - 報告
案件進捗状況、自動化の利点、IAの効果に関するレポートを提供することで、IAプログラムの透明性を確保します。
他のビジネス活動と同様に、IAの進捗状況も定期的に業務部門に報告する必要があります。報告の対象者とメッセージの伝え方を考慮する必要があります。報告がIAのビジョンと企業全体の目標に整合していることを確認し、適切に成果を伝えることが重要です。
以下は、IAを促進するために一般的に使用される報告の例です:
自動化進捗状況報告:
自動化のパフォーマンス、案件の状況、および累積的な自動化プログラムの成果に関する定期的な更新。
日本のお客様の中でも案件の開発状況から稼働状況までノーコードツールを利用して可視化していらっしゃるケースも見られます。
自動化成果報告:
デジタルワーカーが創出した効果、処理された量、例外の数、および運営コストに関する定期的な更新。
業務部門向け報告:
これはより幅広く全社員を対象としており、業務部門にとって分かりやすい言葉を使用してストーリーを伝える必要があります(FTE削減などの用語を避ける)。
案件状況報告:
案件に何があるかを案件オーナーに報告します。これにより、優先順位の変更と納品の理由を管理するのに役立ちます。
実践例 3 - ブランドと文化
IAをビジネスに定着させるために、企業のブランドを一貫して使用し、企業文化に沿ったコミュニケーションを取ることをお勧めします。
以下は、IAを文化に統合するのに役立ついくつかの例です:
社内向け訴求活動:
IAチームを社内に訴求する場合は、組織全体に訴求して最大の効果を得るようにしてください。これは、IAチームの活動を促進するだけでなく、チームが組織の一部であることを示します。
インセンティブ:
自動化の機会を見つけるように従業員を奨励することで、IAへの関心を高めるだけでなく、案件で満たすのに役立ちます。例としては、組織の目標に自動化案件の発掘を組み込むこと、最大の効果を創出できた案件の発案者に対して賞金を与えること、または年間で最も多くの機会を特定した人に賞を与えることなどがあります。日本のお客様においても表彰制度を設けられているケースが見られます。
デジタルワーカーの擬人化:
一部の組織では、デジタルワーカーに「名前」を付けています。このアプローチは、一部の人にとってデジタルワーカーをより親しみやすくすることができます。デジタルワーカーを擬人化することで、楽しさの要素を加え、彼らを人間の従業員に関連させやすくし、チームワークを促進します。
日本のお客様においては、ゆるキャラのような可愛らしいキャラクターを設定いただいているケースもございます。組織の文化に合わせて柔軟にカスタマイズすることを考えてもいいかもしれませんね。
社内SNSの使用:
社内SNSは、組織全体に簡単かつ迅速にリーチするための強力なコミュニケーションツールです。CoE/事務局、その活動、およびデジタルワーカーを紹介する専用のページを持つことで、組織内に幅広く有効なコミュニケーションができます。
SNSが組織で利用できない場合、このタイプのコミュニケーションはイントラネット/エクストラネットページ、専用のウェブページ、または定期的なニュースレターを使用します。社内SNSの利用は日本のお客様でもよく見られる実例です。
組織文化とブランディングの整合性担保:
IAの社内への訴求活動は、組織全体のブランド戦略(コーポレートカラーやメッセージング、その他社内標準等)と統一される必要があります。そうでなければ、IAが他の業務やプロジェクトと比べて「変に浮いてしまい」、従業員に違和感を与えかねません。
たとえば、他の業務プロジェクトが規定のコーポレートカラーやメッセージを一貫して使用している中で、IAだけが独自の色やトーンを持っていると、組織全体としての統一感が損なわれ特別視されてしまう恐れがあります。これにより、従業員はIAを自分たちの業務の一部として捉えにくくなり、導入に対する抵抗感が生まれる可能性があります。したがって、もし御社内に社内報等社内向けのコミュニケーション担当者/部署があるようでしたらそういった部署を活用して、全てのメッセージやブランディングに統一感を持たせることが重要です。
実践例 4 - コミュニケーション
IAチームが賛同を得て恐怖を取り除くためには、コミュニケーションが重要です。
プログラムが何をしているのか、何を計画しているのか、何を提供しているのかについて透明性を持たせることで、組織全体がより情報を得て、参加していると感じることができます。これらのメッセージを一貫して伝えることが重要です。
以下は、一貫したコミュニケーションを実行するための提案です:
コミュニケーション計画:
誰にどのようにコミュニケーションを取るかの計画を立てることで、メッセージが一貫して頻繁に伝わるようになります。
ステークホルダー整理:
組織内でコミュニケーションすべき人々と、彼らが受け取るべきコミュニケーションのレベルを特定します。
自動化による成果を伝える際には、受け手側の感度を考慮して、デジタルワーカーへの恐怖を避けるようにします。(”人を減らす”といった表現は、一般の従業員向けには避けた方が良いかもしれませんね)
コミュニケーション担当者の割り当て:
異なる種類のコミュニケーションにオーナーを割り当てることで、メッセージの一貫性と定期的なペースが保たれます。
ひな形の整備:
報告、業務部門向け報告、社内SNSのためのテンプレートを設定することで、メッセージとブランディングの一貫性を保ち、効率を高めます。
フィードバックの仕組み:
案件候補を提出するたびに、進捗状況を最新の状態に保つフィードバックのメカニズムを確立します。自動化案件の状況が”見えなくなった”と思われると、たとえ作業中であっても信頼が失われ、従業員は関心を失います。
5つのコツ
コツ 1 - 認識と祝福
IAを受け入れる従業員の努力を公に認める
成功を祝う:変革プロジェクトに参加している従業員やIAを推進する従業員を認識することで、他の従業員の関与を促します。
IAの目標を従業員の人事考課制度に組み込み、参加を強化し報酬を与えます(注意:これは成熟したIA組織を持つ企業では成功するかもしれませんが、IAを導入し始めたばかりの組織には理想的ではありません)。
コツ 2 - コミュニケーション
組織でIAを導入する理由を伝えます。例えば「市場で競争優位性を維持するため」。
一般的なコミュニケーション方法を使用します:チーム会議、経営層からのビデオメッセージ、ポスター、ワークショップ
小さな成功例を創出し、その利点を伝えます。
メッセージの内容とコミュニケーションの頻度を一貫させます。
組織全体に一貫してコミュニケーションを取り、新しい自動化を紹介し、IAの利点を示します。
コツ 3 - 教育
組織のすべてのメンバーにIAとは何か、その利点について教育します。
従業員がより革新的になるための”余白”を作ります。例としては、ワークショップの開催、アイデア創出や継続的な改善のツールや技術の使用、スケジュールに自動化の機会を検討する時間を組み込むことなどがあります。
IAを組織全体に広める内部の支持者や自動化推進役(アンバサダー)を採用します。
プロセスの自動化のために案件の提案を奨励し、タイムリーなフィードバックを提供し、トレーニングを提供することで、従業員の参加と関与を高めます。
日本においては”ロボコン”も実施されています。
(元々物理的なロボットのコンテストである”ロボコン”から流用されたようです。ハッカソン的なイベントとして実施いただいているお客様が多くいらっしゃいます)
コツ 4 - 関与
コミュニケーション担当者を早期に巻き込みます。
マネジメントと関与してメッセージを伝えます。IAのメッセージはトップから流れるべきです。
IAに興味を持つ方を早期に巻き込みます。そういった支持者は、CoE/事務局の一部であるかもしれませんし、IAを活用したい業務ユーザーであるかもしれません。他の部署とIAの取り組みについて話し合うためのワークショップにも参加してもらいます。
コツ 5 - 機会を与える
自動化の影響を受ける可能性がある人々が建設的な対話を通じて意見や懸念、アイデアを表現できるようにします。抵抗は必ずしも否定的なことではなく、対処すべき課題を提示するかもしれません。
3. 結局どうしたらいいのか?
ここまでで組織に自動化を定着させるための成功要素、実践例、コツをご紹介してきました。ですが、ここに書いてあることを全て一気にやらなければならない、というわけではありません。
できるところから少しずつ始めていっていただければと思います。
ご質問やご相談があれば、弊社のカスタマーサクセスやプロフェッショナルサービスではご支援もしていますので、お気軽にご相談ください。
我々はお客様がBlue Prismで効果を出すために存在しています。
ROMを活用しBlue Prismで”成功”できるよう、全力でご支援いたします!