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春の幸宏を探して


春っぽい幸宏さんを探す

人の一生は一冊の本のようだ。いま「高橋幸宏」という本を読み終え、多くのファンがあとがきを書こうとしている。物語は終わったが本は消えず、ずっとそこにある。

細野晴臣の追悼文 朝日新聞デジタルより

細野さんの言う通り、残されたファンは、あとがきを綴るだけ。市井の幸宏ファンのあとがきです。
ついこの間までお正月だったような気がしますが、季節はもう春。ということで、春っぽい幸宏さんを探してみます。
曲名や詞の中に明らかに春とわかる言葉がある曲もあれば、筆者の印象だけで“春認定”している曲もあります。どんなことで春を感じるのかというのは人それぞれ。共感していただける曲があれば嬉しいです。

春の幸宏、プレイリスト

選んだのは全部で21曲。1曲だけspotifyに見当たらなかったので、プレイリストは20曲となっています。

21曲すべてにコメントすると長くなるので、かいつまんでご紹介します。

これはもう文句なく春 【POISSON D'AVRIL 四月の魚】

この曲は春の曲で文句なしですね。幸宏さん主演映画【四月の魚】の主題歌。POISSON D'AVRIL=四月の魚とはフランスのエイプリルフールのこと。なぜエイプリルフールのことを四月の魚と呼ぶのかは諸説あるようですが、筆者が最初に聞いたのは「サバ説」でした。春になると簡単に釣れるサバ=愚か者ということで、四月の魚がエイプリルフールの意味で使われているということのようです。
歌詞中の“心の片隅に揺れているおろかな楽しい思い出”というフレーズが、筆者には印象深い。「おろか」と「楽しい思い出」がイコールで結ばれる…どんな思い出なのか、想像が膨らみます。映画全体のエピソードも“おろかな楽しい思い出”と言えるかもしれません。
曲に参加しているピエール・バルーは幸宏さんが少年時代に何度も観たという映画【男と女】の主演俳優。この曲では作詞とコーラスを担当しています。詞は日本語とフランス語。余談ですが、筆者はこの曲の詞を口ずさみたい一心で、第二外国語をフランス語にしました(笑)
今回のカバー画像のネクタイは魚がモチーフのものを選びました。【YUKIHIRO TAKAHASHI COLLECTION THE TIE】のネクタイです。


アッコちゃんからのメッセージ? 【仕事を終えた僕たちは】

“雨にぬれだした 夕方の街”という出だしは、夕立を思わせなくもないので、夏の歌という感じもしますが、筆者は「春雨」の方を想像してしまいます。そう感じさせるのは、この曲全体の音色のせいかもしれないです。曲調も音色も明るくて、なんか春っぽい。でも歌詞はちょっと重めなんですよね。
矢野顕子作詞のこの曲。歌詞の内容は別れた女性への謝罪と復縁(ちょっと硬い表現ですが)がテーマになっています。おそらく幸宏さんと最初のパートナーのことがモチーフになっているのでしょう。歌詞にある“僕のルノー”というフレーズで、僕=幸宏さんがはっきりします。当時の幸宏さんの愛車はルノー4(quatre)でしたから。最初に聴いたときは、矢野顕子から幸宏さんへの強めのメッセージなのかなと思いました。同時に幸宏さんがよくこれを歌う気になったなと思ったものです。

幸宏さんとルノー4。雑誌に掲載されたもののようです。
時代ですねぇ、ナンバー隠してない…
下は同じ写真を引用したCurly Giraffeこと高桑さんの投稿。


歌詞を噛み締めよう 【アタタカイ雨】

音楽プロデューサー冨田恵一が冨田ラボ名義でリリースしたアルバム【Shiplaunching】(2006年)。【アタタカイ雨】は幸宏さんが作詞で参加している曲です。歌っているのはMAMALAID RAG田中拡邦。彼の甘く繊細な声とこの歌詞の世界が本当にハマってます。別れた女性との幸せな日々を想う切ない内容でありながら、“アタタカイ雨”というキャッチーなフレーズが切なさを中和して、前向きに過去を捉える歌に仕上がっているという印象です。
歌詞中の“風香るこの季節”というフレーズもあって、春から初夏にかけてというイメージ。本当に好きな歌詞です。作詞家・高橋幸宏については、また別の機会に掘り下げたいと思っています。


ちょっとだけ別世界に 【Brise(微風)】

spotifyになかった曲がこちら。山本耀司のショーのために作られた曲を収録したアルバム【La pensee】(1987年)。いわば、ショーのサントラですね。この中の1曲が【Brise(微風)】。日常とはちょっと違う空間に連れて行ってくれるようなインストゥルメンタルの曲です。
ちなみに、このアルバムの【OLD STEP(旧ステップ)】は、あの【カルトQ】のシンキングタイムに使われていた曲なので、ある世代以上の方は、聴いたことがあるかもしれません。アルバム丸ごとオススメです。


春物といえばこちらも

山本耀司さんが出てきたので、ちょっと服の話題へ。
筆者所有のブルゾンをご紹介。【YUKIHIRO TAKAHASHI COLLECTION】90年代の終わりぐらいのものですかね。リバーシブルになっていて裏面は白でしたが、汚れとかを恐れてあまり使った覚えがない…たぶん、そんなに着る機会が少なかったのだと思います。割とキレイな状態のままでした。
【YUKIHIRO TAKAHASHI COLLECTION】については、また別の機会に紹介でしたいと思います。

幸宏デザインの春物のブルゾン。
タグのアップです。


電子バグパイプの音に春を感じる 【The Muse】

電子バグパイプはpupaのライブで初めて見たのかもしれない。なんか変わった楽器を演奏してるなあと思いながら原田知世を観た記憶があります。この楽器のちょっと不安定にも感じる独特な音色。どこか牧歌的で春を感じてしまうのですね。【The Muse】はソロアルバム【Page By Page】(2009年)に収録。電子バグパイプを全面的にフィーチャーした曲です。
この音色に春を感じてくれる方、共感してくれる方がいることを信じて…

下にリンクしたタワレコの記事より。
幸宏さんが手にしているのが電子バグパイプ。
pupaのライブDVD【floating 6 pupas Live in Tokyo 2008】に付属のブックレットより。
知世さん、いい顔ですよね、この瞬間を切り取ったのは素晴らしい。


幸宏ファンにはお馴染みの 【THE APRIL FOOLS】

プレイリストの最後は、【THE APRIL FOOLS】です。こちらは幸宏ファンにはお馴染みですが、バカラックの曲としては、すごくメジャーというわけでもない。隠れた名曲と言えるかもしれないですね。
アメリカ映画【幸せはパリで】(1969年)の主題曲です。そもそもこの映画の原題が【THE APRIL FOOLS】とのこと。筆者はいつか観ようと思いながら、今日現在未見です。


毎年4月1日は…

もう何年も前から、毎年4月1日は【POISSON D'AVRIL 四月の魚】と【THE APRIL FOOLS】を聴き続けています。筆者にとっては儀式みたいな感じですね(笑)。なんか、聴かないとスッキリ4月に入れないのです。
人それぞれ、いろいろなスタイルで音楽を聴いていることと思いますが、筆者の場合は、その時の気分を盛り上げるという聴き方が多いです。春には春っぽい曲を朝には朝っぽい曲を。
悲しい時は 悲しくいて 嬉しい時は 嬉しくいる”は【犬になれたら】の歌詞のフレーズですが、あるがままにということですかね。

まあとにかく、4月1日は【POISSON D'AVRIL 四月の魚】と【THE APRIL FOOLS】を聴き続けることでしょう。
I'm still walking!

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