高橋幸宏の歌を探して(後編)
市井の幸宏ファンの私的なあとがき。幸宏さんがボーカルとして参加している曲を探す。
2023年1月15日は、ファンにとって衝撃的な日となってしまった。それから1年…
「YMOが3人で歌うと、幸宏さんの倍音に含まれて細野さんと教授の声が聞こえなくなってしまう」という趣旨の話(雑誌のインタビューだったかな)を幸宏さん本人が再生YMOのときにしていたのを思い出します。
倍音多めの包み込むような声、ときには優しく、ときには切なく、ときには醒めたように楽曲の世界を表現する力。あくまでも個人的な感想ですが、90年代に入って、幸宏さんの歌はそれまでに以上に力を持つようになったと感じます。
2023年1月15日は一般のファンが訃報に接した日。あの日からなんというか、丹田に力が入らないとでも表現すればいいのでしょうか、とにかく自分に何かが足りていない状態が続いています。これを埋めることは一生期待できそうにありません。
細野さんの言う通り、残されたファンは、あとがきを綴るだけなのでしょう。
メロディメーカーとして、ドラマーとしてスポット浴びることの多い幸宏さんですが、筆者はとにかく声が大好きなのです。筆者のあとがきのテーマは、ボーカリスト高橋幸宏。幸宏さんの歌を探していきましょう。
幸宏さんの歌を探すってどういうこと?
2023年6月に「みんなのうた」で再放送された「子供だけの夏」みたいに、ちょっとレアで、聞き逃していたり、知らなかったりする歌はまだあるのか? Wikiに掲載されているもの、されていないものも含めて、ソロやバンドの作品以外で幸宏さんが歌っている曲を探してみました。
まだまだ知らない幸宏さんと出会いたい! という方の期待に応えられるかどうかわかりませんが…お時間あればお付き合いください。
ちなみに筆者は音楽的な素養も知識もゼロに近いので、あくまで印象や事実と思われることを中心に書いています。
※こんなのもありますよという情報も大歓迎というか、ぜひお願いします。
※公式の動画や記事があるものはご案内しています。
※リンクの確認は記事の投稿日です。リンク切れはご容赦ください。
今回の条件
●ソロ名義の作品(シングル、アルバム、ライブアルバム、カバーアルバム、ベストアルバムなど)に未収録の曲
●サディスティック・ミカ・バンド、サディスティックス、YMO、ザ・ビートニクス、Pulse、Sketch Show、pupa、In Phase、METAFIVE、The おそ松さんズなどの本人所属バンド、ユニット名義の作品(シングル、アルバム、ライブアルバム、カバーアルバム、ベストアルバムなど)に未収録の曲
●幸宏さんの歌声が聴ける曲(メインボーカルかそれに近いもの)
●スタジオ録音盤(ライブ録音以外)
本題の前に
前編でご紹介した冨田ラボの【プラシーボ・セシボン】。youtubeにライブの動画がアップされているのですが、公式には見えなかったので、紹介していませんでした…つい先日、Xの冨田ラボご本人のアカウントで紹介していたので(笑)、ここでも紹介しておきます。ライブ版もすごく素敵です。
14.ひとりじゃないよ
アーティスト名:高橋幸宏
15.Try Little Love
アーティスト名:高橋幸宏
アルバム名:Try Little Love ~チギレグモノ、ソラノシタ~
2010年
アナウンサーが多く所属していることで知られる芸能プロダクション(雑な説明でスミマセン)セント・フォース所属のタレントたちの朗読とその劇伴のようにつくられた曲が交互に展開する二枚組のCDブックです。幸宏さんとゴンドウトモヒコが曲を提供。幸宏さん名義と言えなくはないですが、ソロ作品とも違うので今回の条件の範疇にいれました。なにより筆者が2023年まで存在を知らなかったというのが選出理由です(笑)
【ひとりじゃないよ】は原田知世作詞、高橋幸宏作曲。ふたりのデュエット曲です。高田漣も演奏で参加しているので、ほぼpupaですね。幸宏さんと知世さんの声は相性いいですよね。あらためてそう感じました。
【Try Little Love】は、全篇英語の歌詞。この時期の幸宏さんですからいわゆるエレクトロニカな仕上がりですが、ボーカルが全面に出てくる感じで幸宏さんの歌を楽しみたい方にはおすすめです。現状では絶版状態なので、入手は中古盤のみ。一時はプレミア価格でしたが、本日時点での価格は落ち着いてるみたいです。買うなら今かも。
16.Sparkle (feat. 高橋幸宏)
アーティスト名:宮内優里
アルバム名:ワーキングホリデー
2011年
宮内優里は【BLUE MOON BLUE】の頃のライブに参加していたりしたので、幸宏ファンなら知っている方も多いでしょう。彼のアルバムの1曲にボーカルとして参加しています。この曲は、【BLUE MOON BLUE】や【PAGE BY PAGE】にポンと放り込んでも違和感のないような曲。新緑の季節にアウトドアで聴きたくなるような、そんな曲です。
17."THE BURNING PLAIN" TOWA TEI WITH YUKIHIRO TAKAHASHI & KIKO MIZUHARA
アーティスト名:テイ・トウワ
アルバム名:SUNNY
2011年
18."RADIO" TOWA TEI WITH YUKIHIRO TAKAHASHI & TINA TAMASHIRO
アーティスト名:テイ・トウワ
アルバム名:LUCKY
2013年
19."LUV PANDEMIC"
アーティスト名:テイ・トウワ
アルバム名:CUTE
2015年
「幸宏さんっぽい曲ができたので、歌ってほしいとお願いしたら、二つ返事でOKだった」というようなインタビューを当時どこかで読みましたが、曲を作ったテイ・トウワのいう通り、本当に幸宏さんに合っているなあというのが、2011年【THE BURNING PLAIN】。水原希子さんが歌のパートナーですね。
2013年の【LUCKY】は玉城ティナさんがお相手。いまはすっかり大人になった感じですが、この頃の玉城ティナは美少女という感じですね。彼女の儚くも貴重な美少女時代が詰まったPVは必見。この2曲が布石かどうかはわかりませんが、2014年にMETAFIVEの活動がはじまります。
筆者が【LUV PANDMIC】を初めて聴いたのは、METAFIVEのライブのとき。ゲストとして水原佑果さん招かれ、曲が始まりました。「パンパンパン〜パンデミック♪」というフレーズは耳に残りますよね。ライブで聴いた後に曲を購入しました。この曲、幸宏さん水原佑果の他には、細野晴臣、小山田圭吾、LEO今井が参加しています。
3曲ともMETAFIVE名義でも不思議ではない感じです。【Luv U Tokio】と合わせて聴いてほしい。幸宏さんのちょっと醒めたような歌い方が、エレクトリカルな音と本当に相性がいいです。PVも曲もかっこいい。80年代がずっと続いたらこうなってるなって感じの世界観ですね。
20.皆笑った (Produced by 高橋幸宏)
アーティスト名:野宮真貴
アルバム名: 30~Greatest Self Covers&More!!!~
2012年
野宮真貴さんのデビュー30周年を記念したアルバムの1曲。デュエット曲です。彼女らしいオシャレな大人のポップスですね。大人の男女でも恋はします。客観的に自分をみれたり、みれなかったり。恋に落ちた男女を歌っています。
この曲よりだいぶ後、2020年のトークです。
21.LABYRINTH
アーティスト名:The Beatniks
アルバム名:Tribute to Taeko Ohnuki
2013年
大貫妙子さんのトリビュートアルバムの1曲。The Beatniksとして慶一さんと歌っています。幸宏さんが歌う世界は、大人の恋愛が多いのですが、この曲は昨今のアニメみたいな異世界もの(?)幸宏さんがこういう世界観を歌うのは貴重です。ちなみに筆者が初めてラビンリンスという言葉を耳にしたのは1983年のYMO【過激な淑女】の歌詞でした。いまみたいに、迷宮とかダンジョンという言葉が一般的になるのは、ドラクエ以降という気がします。全然曲の話じゃなくなりました…
22.MAPS 2013 -高橋幸宏: Nao’ymt Ver.
アーティスト名:MIDNIGHTSUNS
アルバム名:TOKYO PHOENIX
2013年
大村憲司さんの息子大村真司が在籍するバンドMIDNIGHTSUNSによる【MAPS】のカバー。オリジナルは、大村憲司さんのアルバム【春がいっぱい】に収録された曲。YMOファンには80年のツアーで演奏された曲としておなじみですよね。作詞はクリス・モスデル、作曲は幸宏さん。オリジナルはニューウェーブ色を帯びながらもしっかりロックな曲。【MAPS 2013】はその雰囲気が残っていると感じます。筆者がもうちょっと音楽に詳しければ、こんな曲ですって表現する言葉がありそうなんですが…この曲ではドラマーとしても参加していますよ。
23.やがてふる
アーティスト名:高橋幸宏
アルバム名:高野寛 ソングブック~TRIBUTE TO HIROSHI TAKANO~
2014年
高野寛デビュー25周年記念のトリビュート・アルバムの中の1曲。
オリジナルも素晴らしい曲なのですが、幸宏さんの声で聴くのも素敵です。原曲に忠実な感じですが。ちょっと音響系が入った音作り。多重コーラスも魅力的です。
24.くれない埠頭
アーティスト名:ゴンドウトモヒコ featuring 高橋幸宏
アルバム名:BRIGHT YOUNG MOONLIT KNIGHTS -We Can't Live Without a Rose- MOONRIDERS TRIBUTE ALBUM
2016年
この曲は、幸宏さんが亡くなったいま聴くと、余計に沁みます。「残ったものも残したものも何もないはずだ〜」というあたりがなんとも…2023年12月27日、筆者はムーンライダーズのライブに行ったのですが、最後の曲がこの曲でした。曲とともに、舞台セットが徐々に外されていくという演出。残したものは何もないと歌ってはいますが「芸術は長く、人生は短し」だと思うので、かしぶちさんも幸宏さんも岡田さんも教授も長く聴き継がれると信じています。
25.なれた手つきでちゃんづけで
アーティスト名:いとうせいこう&リビルダーズ
アルバム名:再建設的
2016年
いとうせいこう&Tinnie Punx名義で1986年に発表された【建設的】。その30周年を記念して発売されたトリビュート・アルバム【再建設的】の中の1曲。さまざまなアーティストが参加していますが、幸宏さんは自らが作曲した【なれた手つきでちゃんづけで】をカバー。“業界”は最近でもこんな人多いのだろうか(笑)。
26.Yo soy Yo
アーティスト名:山野ミナ、高橋幸宏
アルバム名:L'ATELIER アトリエ
2021年
山野ミナのメジャーデビューアルバム【L'ATELIER アトリエ】は幸宏さんがPRODUCE、伊藤ゴローさんがCo-PRODUCEというクレジット。共同プロデュース作品といってもいいと思います。そしておそらく幸宏さんが最後にプロデュースした作品なのではないかと。このアルバムの中では【LA ROSA】【海辺の荘】のカバーも聴くことができます。
【Yo soy Yo】は幸宏さんと山野ミナのデュエット曲。幸宏さんにとって最初で最後のラテンナンバーなのかな(?)。アルバム全体的に個人的には好み。いつかライブで観たいアーティストさんです。
山野ミナはこのアルバムのほかに【X’mas day in the next life】もカバーしています。前編に続き、今回も1月にクリスマスソングを紹介してしまいましたね。
最後に
ということで、前編後編合わせて26曲をご紹介しました。幸宏さんのファンとして、何かしたいという思いを抱えながら1年。まずは、第一歩を踏み出した感じです。次回構想も当然あります。頑張って月イチ程度の投稿を目指して参ります。
I'm still walking!