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プロ野球順位予想2024_答え合わせ

2024年プロ野球の日程が終了した。結果としてはパシフィックはソフトバンク、セントラルは創立90周年の巨人が優勝、穿って言うなら1位通過を果たした(生憎CS嫌いなので)。過日にも述べたが、ソフトバンクの小久保、巨人の阿部とどちらも「監督の座を約束されていた人物」が率いるチームが覇を唱えたといえる。
今日は戦前予想の答え合わせをしようと思う。

【戦前予想】
セントラル順位予想→結果
優勝:阪神タイガース→2位
2位:広島東洋カープ→4位
3位:読売ジャイアンツ→優勝
4位:横浜DeNAベイスターズ→3位
5位:東京ヤクルトスワローズ→あってる
最下位:中日ドラゴンズ→あってる

パシフィック順位予想→結果
優勝:オリックスバファローズ→5位
2位:千葉ロッテマリーンズ→3位
3位:福岡ソフトバンクホークス→優勝
4位:埼玉西武ライオンズ→最下位
5位:北海道日本ハムファイターズ→2位
最下位:東北楽天ゴールデンイーグルス→4位

セントラルはまあまあだが、パシフィックは惨敗といえるだろう。
なお10/6の最終戦(中日対横浜@バンテリンD。横浜勝利)の勝敗が逆なら全滅だった。

>阪神:寛美もとい、岡田彰布が覇を唱えたことによってメンバー表を弄らない「不動起用」が見直される年になったといえる。
伝統的に団体競技は「失点の少ない順」でありピッチャーがしっかりしていて、なおかつキャッチャーの有能なチームは負けることはない。とはいえ去年特に伸びた坂本誠志郎はインサイドワークで光る一方、1年通年で働くには心許ない。次点は佐藤輝明、ファンの多い選手だが粗さは新人当時のままで得点圏打率の低さはいただけない。それでも主力は比較的若く、故障さえなければ「アレンパ」達成は然程難しくないように見える。

優勝チームならではの貯金というべきか貫禄というべきか、上位には定着できた。聞くところによれば令和に入ってから一度も買いになったことがないという。個人的には1番バッターたる近本光司の大車輪によるところが大きいだろう。走れて守れて打率が残せるのは1番打者の鑑だ。
しかし不動起用というのは不調のレギュラーを外すことをとても躊躇う。前半は佐藤輝と大山の不調、木浪や梅野も精彩を欠いた。近本を4番起用するあたり岡田の慌てぶりが窺える。投手陣は軒並み好調で才木浩人と桐敷拓馬の大車輪は特筆といえる。元より投手力のチームだ。
その「寛美のソックリさん」たる岡田も今期限りでの勇退が決まっている。60代後半ともなれば止む無しか。本日(10/6現在)時点ではかつてのリリーフ「JFK」の一角を担った藤川球児が有力視されている。

>広島:とにかく昨年はあの「新井さん」の大健闘に驚かされた。「内野とキャッチャーは監督向き」(野村克也)ではあるが、大変感じの良いチームを作ったと思う。僕もああいう大らかで優しそうなボスの下で働いてみたいと密かに思った。部下イジメが好きだったり、質の悪いイジリがスキンシップだと思っていたりする類の上役は低く評価する主義なので。
とはいえ西川龍馬の流出は大打撃なのは否めない。大瀬良大地は苦しんでいる一方で森下暢仁、矢崎拓也、島内颯太郎は快進撃と常廣羽也斗が加入する投手陣は堅調も、火力不足をまだ補えていない感がある。加齢の進む菊池涼介は小園海斗らがモノになりつつある二遊間で補えるとして、秋山翔吾と坂倉将吾は3番タイプだし、林晃汰若しくは末包昇大の重量級選手どちらかが出てこないことには優勝の射程範囲に入れない。

古くは高橋慶彦をはじめ伝統的にカープは二遊間選手の育成に長けているが、矢野雅哉の活躍は広島の伝統と言うべき結果である。恐縮ながら9月の大転落に驚かされたし、今期の結果は語り継がれる羽目になるだろう。
しかし原因に関しては予想通りだった。とりわけ三桁の体重を誇りながらチームに本塁打数を還元できなかった林と末包の伸び悩みは大きく、チーム全体で大谷翔平一人に負ける火力不足という現実は小さくない。今季のオフには「横浜の佐野恵太を獲りに行け!」というファンの声が目立つが(ちなみに佐野は地元高出身)、林と末包の信頼の無さを隠しきれていない。

>巨人:阿部慎之助。元より監督の座に就くことは決まっていた人物であり選手としての能力とりわけ打撃は野村克也に次ぐものがある一方で、罰走などの類で物議を醸しパワハラと呼ばわりの少なくないリーダーシップに疑問の声は根強い。
岡本和真に門脇誠、スケールある秋広優人こそいるが坂本勇人を筆頭に野手の高齢化は著しい。投手陣は戸郷翔征、山﨑伊織、(翁田)大勢など若手が犇めくほか、泉圭輔、高橋礼、近藤大亮、馬場皐輔、ケラーとリリーフ枚数の増強量は力強い。時間をくれたら勝てそうな布陣だが、ドラフトは「高卒はいらない」と言い放った落合ドラフトを思い出す即戦力中心。もっと昔に井口や松中がアジャストしたホークスでの先例はあるが、業界最大手として優勝は当たり前とするスタンスのフロントの期待と要求に苦しみそう。

巨人に関しては勘定違いと予想どおりが1つずつある。パワハラ気質の強さで懐疑論の多かった阿部慎之助の監督就任だが目立った内紛はなかった。むしろ岸田行倫やイケメン小林誠司の積極起用でかつてのポジションだったキャッチャーの改造が吉に出たといえる。またケラーらリリーフ陣が後半で盤石の戦いぶりを見せたのは予想通りであった。かつての阿部同様「強打の左打ちキャッチャー」たる大城卓三は大きく割を食ったが、あたらめて野球におけるキャッチャーもっと言うならディフェンスの重要性を阿部は大いに知らしめたといえる。

>横浜:ご承知の通り佐藤の応援チームだが、三浦大輔なる横浜の生え抜きスターは監督手腕において投手起用はともかく、野手起用では守備の選手を代打で使うなど適材適所の概念に乏しい(前田大和は上手く行ったが)。宮崎敏郎に週1の暇を与える配慮はアタリだが、それ以上に機動力が必須とされる1番にクリーンナップ型の佐野恵太を置き続けた点は疑問。去年最も対阪神に健闘したチームは横浜だが「今永昇太、バウアーが揃っていた時点で優勝以外は許されなかった」指摘は沁みる。残るは東克樹だが、「横浜のピッチャーが2年連続で結果を出すのを見たことがない」(関本健太郎)指摘通りなら不安ではある。
今も昔も良くも悪くも「走る、守るは捨ててブルンブルン振り回す」のが横浜のDNAで、言い換えれば「牧秀悟など戦力はあるが、小細工ができな過ぎて戦術はない」ともいえる。結局ネタ受けのチームなんだよね…。巷ではアタリ籤を引いて手に入れた度会隆輝ばかり話題に上るが、その裏で小園健太、森敬斗と出てくるべき選手が出揃っていない。ただ森ダヌキが谷繁元信を追い出して以来長きキャッチャー難で苦しむ横浜において、光明を感じる山本祐大と松尾汐恩のノビ次第によっては闇の終焉も考え得る。

ファン視点で言えば下馬評の低さを覆した点を含めよくやったと思う。山崎康晃が打ち込まれ東と外国人以外の先発がイニングを食えないなど防御率の悪さは心配通りだったが、今永とバウアーを欠いた厳しい戦前予想を覆したのは山本祐大の成長に他ならない。SBの甲斐やかつてのヤクルト古田を見てもわかる通り、キャッチャーの有能無能はチームの軽重に影響する。森ダヌキの谷繁追放で20年にわたりキャッチャー難に苦しめられた横浜だが、山本の成長がチームを救ったといって差し支えはない。
伝統の強打は健在で出戻った筒香嘉智と大型ルーキー度会隆輝は梶原昂希に競り負けるなど苦戦したが、大型契約を結びながら怪我がちだったオースティンが交流戦以降は活躍を見せ首位打者を獲得して見せた。また2軍はファーム日本一を達成している。

>ヤク:WBCで村上宗隆が苦しみ、山田哲人も加齢が進み、塩見泰隆は故障と柱の噛み合わないときが脆かった。補強は投手では嘉弥真新也、野手は西川遥輝といるが、投手陣は横浜同様先発稼働率がもう一つで、山﨑福を取れず田口麗斗や清水昇の頑張りに支えられている印象を禁じ得ない。
外国人選手は堅調で中村悠平など捕手がしっかりしている望みもあるが、野手陣におけるレギュラーとベンチの実力差は大きい。

横浜以上の打高投低ぶりを見せたのがヤクルトで、サンタナ、村上、長岡秀樹はタイトルに絡む働きを見せ、西川遥輝も年齢を感じさせない脚力を披露した。他方先発陣で二けた勝利ゼロ(最多は吉村貢司郎の9勝、高橋奎二の8勝が次点。逆にサイスニードは防御率5点台)と苦戦が相次いだ。大西広樹など奮闘した選手もいるが、投打ともに頼りになる人材不足を否めなかった。続投が決まった高津臣吾監督の課題は多い。

>中日:監督としての姿を待ち望まれていた立浪和義、石川昂弥や根尾昂といったロマンある若手のおかげでマーケット面は好調だが、巨人と概ね同じで今の子に合うとは思えない将器に疑問。野手戦力面で行けば中田翔の加入で問題だった火力問題は大きく補えた感はある。SBに行った山川同様中日の需要にピッタリで、選手としては間違いなく結果を残している。しかしそれ以上に中田はもともと暴力沙汰でチームを逐われた人物である上、金髪の類が禁じられたチームにおいて(祖父江大輔を根拠に無根とする声もあるが)中田一人がはじめから金髪で振舞っている特権の手厚い点は、巨人の堀内が髭を生やしてキャンプインして惨敗した先例からも不安を禁じ得ない。
元々投手陣は堅調で治療に専念していた大野雄大も戻ってくる。ただキャンプレポートをみるに草加勝の故障と、フォーム改造が裏目に出た高橋宏斗の乱調は気がかりではある。

繰り返し起こった待望論を経て立ったミスタードラゴンズ・立浪和義であったが、在任3年間すべて最下位という惨敗に終わった。世間でよく言われる立浪の敗因は3つあるとされ、スキルがないのに何でも自分でやりたがるやりたがりかつ生兵法ぶりと、高校同期たる片岡篤史を筆頭とした腹心の多すぎるお友達内閣、厳しさを柱とする今の選手に合わない将器を指摘されることが多い。生え抜きスターとしての威光を窺える動員数を出したが、直近ではサッカー・マリノスのキューウェル同様「名選手名監督に非ず」の一例として名を残すことになるだろう。
順位予想はピッタリだがプロセスとしては3つ計算違いがあった。まず大きな期待を受けた中田翔が機能しなかったこと。4月は自身の活躍で一時ながらチームに首位を齎した中田だが、ボディの耐久性は加齢と怪我で予想以上に落ちていた。結局最盛期のような通年の活躍はできず、立浪政権の窮地を救うことはできなかった。二つ目は高橋宏斗の大車輪でキャンプでのフォーム改造の苦戦を速やかに立て直し、最優秀防御率を残したのは計算外であった。そして3つめは立浪がこだわった二遊間問題で、田中幹也や村松開人が二遊間のレギュラーの座をものにしつつあるのはチームにもたらす安堵は小さくない。
次期監督は打者転向した左のクラッチヒッター「ピンキー」井上一樹が濃厚。「井上が監督になってから二軍は明るくなった」という評価が多く(中日二軍は6チーム中2位)、ファームを立て直しモチベーターとして一定の評価を得ている。

>オリ:少し前まで最下位が定位置だったオリックスだが、もともと先発を強みとし流動起用と若手登用の両輪を特徴とする「ナカジマジック」はチームに黄金期を齎した。
とはいえ絶対的エースだった山本由伸の流出はやはり大きな課題といえる。山﨑福も流出しており、もともと先発だった山岡泰輔を配置転換し山下舜平大と東晃平が控えるとはいえ山本不在の影響は逃れられないだろう。リリーフも山﨑颯一郎、宇田川優希、山田修義に次ぐ補充は欲しいところではある。
逆に野手陣は好調。森友哉は無事戦力になり、西川龍馬加入は鬼に金棒。頓宮裕真に加えラオウ杉本裕太郎が機能すれば盤石。とはいえ繰り返しになるが山本抜きで勝てるか否かという点では中嶋政権の正念場といえる。

パシフィックは軒並み外れた佐藤だが、オリックスが勝てなかった原因は大きく2つあると考える。一つは投手陣の故障で、山本由伸や山崎福也の穴埋めに苦しんだこともさることながら、山﨑颯一郎と宇田川優希の故障は如何ともしがたいものがあった。二つ目は野手陣の不振である。森友哉にFA加入の西川龍馬、頓宮裕真やラオウ杉本裕太郎が軒並み結果を残せなかった。森はシーズン後半で立て直した一方、頓宮は打率2割を割り込み杉本は本塁打11、西川は打率.253どまりと太田紅林の活躍を大幅に上回るほどにチームを苦しめる素が多すぎる。
そんななか3度優勝をもたらした「ナカジマジック」中嶋聡は監督退任となった。勝ちだしてから全力疾走を怠るようになった野手陣の意識の低さを暗に仄めかしており、鬼軍曹に欠くひいては山本や吉田正尚に次ぐスター不足の実態を物語る。

>ロッ:現役時代は血の気の多い性格で知られた吉井理人であったが、もとよりピッチングコーチとしての評価を高め、初となる監督としても上々の戦績を収めてみせた。
まず投手陣は完全試合を達成したかの佐々木朗希ばかり注目されるものの、小島和哉、種市篤暉が一本立ちを果たし唐川侑己が先発に戻ってくる。益田直也の高齢化は些か気がかりだが鈴木昭汰、東條大樹、西野勇士、国吉佑樹と実績ある選手はいる。
「落合を最後にホームラン王がいなかった」野手陣もポランコの慰留に成功し、こちらも加齢はあるがソトも加わり鬼に金棒。藤原恭大、平河大河、山口航輝、松川虎生といった若手の一本立ちさえ成れば50年ぶりの1位通過も夢では無くなってくる。

結果としては3位と、パシフィックの中でもっとも予想通りだったのがロッテであった。益田の高齢化、鈴木と国吉の活躍、ソトの活躍、藤原以外の若手伸び悩みと予想通りといえる箇所は多い。逆に岡のブレイク、角中の健在ぶり2点は計算違いである。とはいえ一番ロッテで話題になったのはメジャー行きを巡りいろいろ騒がれている佐々木朗希であり、中田同様ボディの脆弱性に不安は大きい。

>SB:CSのあの結末は予想できなかった。山川穂高のFA移籍並びに人的補償問題でオフの主役の座は射止めたといって過言ではない。今季のプロ野球で注目されるのはもしかしなくてもSBで決まりだろう。
注目は言うまでもなく御嶽海、もとい山川。現役時代の小久保裕紀のような「右の大砲」はホークスの補強ポイントだったが、反対の声を押し切った移籍からか世間の目は厳しい。人的補償問題は和田毅、甲斐野とホークス選手にも影響を与えており、試合前にチームを引っ掻き回したと言わざるを得ないチームワーク面の不安は巍巍として大きい。山川の是非でホークスの命運は左右される。
山川以外の戦力面では投手はリリーフは強力だが、本来リリーフの坂東湧梧(と森)を回すくらいに先発不足。今度はモイネロと大津亮介の配置転換が内定されているほか、ドラフトも7人中前田悠伍はじめ5人が投手で即戦力に賭ける構図となる。野手は柳田悠岐、今宮健太、中村晃ら主力の高齢化とリチャードら若手の突き上げに乏しい切実な事情が横たわる。
今年から指揮をとる小久保は「王の一番弟子」であり予め監督の座を約束されていた人物である。一見分厚い選手層だが、不確定要素の多い投手陣に高齢化の進む野手陣と投打両面に亘り台所の不安は尽きない。

監督の座が決まっていた小久保体制1年目。山川入りの是非論で昨オフの主役だったSBだが、古巣に満塁弾2発をお見舞いするなどぶっちぎりの強さでペナントの奪取に成功した。高齢化の進む不安を抱えていたが離脱は柳田のみで栗原が埋め合わせ、投手陣もリリーフ陣はオスナは苦戦したものの有原やモイネロなど先発陣は盤石の活躍を見せた。よって勝因は先発といえるだろう。懸案だった若手野手も定位置獲得とまではいわないが川村友斗、正木智也など芽吹いており次世代の準備も進んでいる。

>西武:平良海馬の先発転向こそ当たったが、それ以上に山川のトラブルに足を引っ張られる不運で力を発揮できなかった。
外国人二人(アギラー、コルデロ)と中西太以来の伝統である力士型の渡部健人やドラ6の巨漢村田怜音が大砲候補として火力を補う。
投手では長髪を靡かせる高橋光成と今井達也がおり、当たりクジを引いた武内夏暉は先発、山川の人的補償である甲斐野央はリリーフに回ってチームを支える。とはいえ平井克典の頑張りで助かっているリリーフのコマ不足感を打破したい。そして山川の移籍先であるSBとのカードはもしかしなくても今季最大の遺恨試合となるだろう。

遺恨試合の大惨敗が響き、松井稼頭央監督の途中休養、一時はシーズン100敗達成を危ぶまれるなど踏んだり蹴ったりの1年となった。投手陣は今井、隅田、武内こそ善戦しているが、高橋光成は0勝11敗で平良海馬は負傷。打撃陣の不調は壊滅的でチーム打率は.211、不惑を越す中村剛也が最多本塁打(7本。佐藤龍世とタイ)という有様である。
次期監督はかつてのエース西口文也が有力視されているが横浜の三浦同様「優しすぎる」という人物評が多く、この戦力ではOBの無駄遣いで終わる公算が高い。親会社の利益を野球部によこさない後藤高志オーナーの風当たりはOBからもファンからも厳しい。

>日公:新庄政権3年目。派手で自由そうだけど筋が通っている人柄は個人的には好きな人種ですね。焼け野原から始まった日ハムも万波中正などの登用が実り、マルティネスや江越大賀や郡司裕也の再起も慧眼。上沢は出たが加藤貴之の慰留に成功し、FAで山崎福也がやってきたのも驚かされた。これも札幌ドームからの搾取から解放された賜物であろうか。一方でフロント人事を見る限り新庄剛志から稲葉篤紀にバトンタッチだろう。阿部や小久保同様、稲葉も監督の座が決まっている人物だ。
補強はスティーブンソンら外国人選手中心だが、ウィンタースやセギノールなど日ハムは昔から外国人選手の目利きに明るい。また新庄含め「ムードメーカー」の特産地であり、今川優馬はその最右翼であろう。キャラで鳴らした広瀬、岩本、新庄、森本、杉谷、今川のうち岩本以外5人は水瓶座だ。しかしかねてから名の通る清宮幸太郎故障に出端を挫かれた印象を否めない。

同年に就任した中日の立浪と新庄。厳格さ対自由さという対極なキャラクターもあってこの3年間、両者は注目の的であり続けた。ライバル対決として扱うなら新庄の圧勝といって差し支えはない。焼け野原から始まった新庄政権も万波らの登用に清宮幸太郎も追いつき、中日からやってきたマルティネスや郡司の再生、そして今季は田宮裕涼とレイエスの登用が上位浮上につながった。横浜の項でも述べたが、扇の要たるキャッチャーの有能無能で野球は決まる。レイエスのアタリも大きかった。日ハムは外国人の目利きに明るいチームというのは述べたが、春先こそ精彩を欠いたものの準備を進めた夏場以降は恵まれた体格に裏打ちされた大当たりを打ち続けている。
2位通過の日ハムはホームでCSに臨むことになっているが、新庄の続投の是非で意見が割れている。ファンの支持率は高いものの、自由過ぎる性格は元より監督の椅子に座る人が決まっているだけに…

>楽天:オーナーの強い希望で監督の座に就いた石井一久は政権3年間で西武の後輩中心に補強を進めたが、結局前任の成績を上回る結果を残すことはできなかった。新監督は今江敏晃。「PL史上、最も優しいキャプテン」というリーダーシップを買われての起用と考えられる。しかし立浪、サブロー、松井稼と高校の先輩たちが監督として苦戦している点は一つ目の不安といえる。
12球団を見渡して戦力面での収支が最も厳しいのが楽天である。「マー君」田中将大の加齢を始め、不祥事による安樂の失脚、特に絶対的守護神だった松井裕樹のメジャー行きは大きな影響を禁じ得ない。則本昂大をクローザーに充てる配置転換は表明されているが、適性は未知数といえる。
攻撃面の成績は伸びているが、浅村栄斗頼みの印象を禁じ得ない。それでも今期はいないとはいえ西川がコーチ代わりになって、小深田大翔などチーム機動力が大幅に上がったのは計算外ではあった。
二つ目の不安は補強の反動たる投打に亘る高齢化であろう。昨季はファームで7チーム中2位だっただけに日ハムに倣っての育成路線が現実的か。釜田や岡島豪郎を見出したかつての星野仙一のような若手登用が当たったら、今江の監督適性は間違いなく高い。

立浪、松井稼、PLの先輩たちが監督として玉砕した中で、今江とサブロー(ロッテ二軍監督8チーム中6位)の後輩組は比較的善戦を見せた。身体能力に優れる辰巳涼介はもとより、小郷裕哉、村林一輝と新しい力も結果を残している。しかし防御率がワーストで早川隆久、藤井聖、内星龍、鈴木翔天、藤平尚真と一部の若手は頑張っているが、ポンセ、荘司康誠など選手の誤算が多かった。中でも「マー君」田中将大の低迷は尋常ならざるものがあり日米通算200勝達成に暗雲が垂れ込めている。若手の躍動がある程度進んだ4位といえよう。
また楽天はここ数年グラウンド外のトラブルも多く、昨年オフに明るみになった安樂智弘のパワハラを皮切りに、辰巳は夫人のトラブル、小深田は不倫とフロントの掲げるコンプライアンス遵守が進んでいない。


繰り返しになるがセントラルは善戦したがパシフィックは惨敗に終わった。とはいえまだCSが残っている。「王の一番弟子」たる小久保と、「川上閥の嫡流」たる阿部慎之助の秘蔵っ子対決になるのか、はたまた4チームのどれかが伏兵奇襲を決めるか、今期はまだ終わっていない。

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