ロック史#9 : グラムロックとシンガーソングライター
前回はこちらから。
ハードロックとプログレの他にも多くの新界隈が登場した70年代、今回は割とポップなジャンルを取り上げます。
グラムロック
グラム = グラマラス(glamorous) = 魅惑的
中性的で濃いメイクを施したり派手なファッションを身につけたり、そのビジュアルで括られるのがグラムロック。
音楽性でいうとアーティストによってバラバラですが、明快でストレートなロックの傾向にあります。後のパンクやヴィジュアル系に影響を与えたりもします。
T・レックス
スティーヴ・カーリー (ベース)
ミッキー・フィン (パーカッション)
マーク・ボラン (ボーカル、ギター、作詞作曲)
ビル・レジェンド (ドラムス)
※1971〜73年のメンバー
イギリス出身。マーク・ボランを中心にヒット曲を連発し、グラムロックの先駆且つブームの火付け役となった代表格。
代表曲「Get It On」「Telegram Sam」「Metal Guru」「20th Century Boy」など。
音楽性はエレキ中心のシンプルなハードロック。全体的に明るいから聴きやすい。
デヴィッド・ボウイ
英ロンドン出身。グラムロックのみならず、ポップス、ソウル、電子音楽などスタイルの変化は多岐に渡り、『戦場のメリークリスマス』など俳優としても活躍したスーパースター。
亡くなる直前まで意欲的に挑戦を続け、数々の発言からわかる理知的な人柄も魅力。親日家でもありました。
代表曲「Space Oddity」「Changes」「Starman」「Heroes」「Let's Dance」など。
クイーン
ロジャー・テイラー (ドラムス)
フレディ・マーキュリー (ボーカル、ピアノ)
ブライアン・メイ (ギター)
ジョン・ディーコン (ベース)
ハードロックだしプログレだし…、クイーンをどのセクションに入れるか悩みましたが、取り敢えずグラムロックということにさせてください。
イギリス出身。日本での人気ぶりは他国と比べて断トツ。現在はアダム・ランバートをボーカルに迎えてブライアンとロジャーが現役中。
レコーディングへの力の注ぎ方が半端ではなく、ギターやハーモニーの多重録音による独特なサウンド、オペラのようなドラマチックな展開、親しみやすいメロディ、全てが最高級。4人とも作詞作曲できちゃうし。
代表曲「Bohemian Rhapsody」「We Will Rock You」「We Are The Champions」「Don't Stop Me Now」「I Was Born To Love You」などなど。
ロック史、というか音楽史に残る傑作。
キッス
ピーター・クリス (ドラムス、怪人)
ジーン・シモンズ (ベース、ボーカル、悪魔)
ポール・スタンレー (ギター、ボーカル、戦士)
エース・フレーリー (リードギター、宇宙人)
※結成〜1980年までのメンバー
他時期の主要メンバー
エリック・カー (ドラムス)
ブルース・キューリック (リードギター)
エリック・シンガー (ドラムス)
トミー・セイヤー (リードギター)
グラムロックというよりグラムメタル。
白塗りフェイスペイントで世間に大きなインパクトを与えた、アメリカ東海岸を代表するハードロック・バンド。
代表曲「Rock and Roll All Nite」「Detroit Rock City」「Shout It Out Loud」「I Was Made for Lovin' You」など。
独自の世界観から成る楽しいライブパフォーマンスも魅力。昨年で惜しまれつつも"実体"での活動は終了となりました。
シンガーソングライター
ビートルズが自分で作った曲を自分で歌ってヒットさせたのをきっかけに、ロックバンドがこぞって曲を自作し始めた60年代。
70年代に入ると、ソロミュージシャンも自作のヒット曲を連発するようになり、彼らはやがてシンガーソングライター(SSW)と呼ばれます。
エルトン・ジョン
なにこのサングラス。
イギリス出身。作詞バーニー・トーピンとの名コンビでヒットを量産し、ピアノ主体でのロックを確立させたSSWの筆頭格。
代表曲「Your Song」「Rocket Man」「Bennie and the Jets」「Goodbye Yellow Brick Road」「I'm Still Standing」などなど。
バラードのイメージが強いけどロック系の良い曲もたくさんあります。
ビリー・ジョエル
米ニューヨーク出身。ポール・マッカートニーに匹敵する希代のメロディメイカー。
94年以降はライブ活動に専念し、ビリーと同時期にブレイクしたエルトンとは、"Face to Face"と題し何度も一緒にツアーを行いました。
代表曲「Piano Man」「Just the Way You Are」「The Stranger」「Honesty」「Uptown Girl」など。
ブルース・スプリングスティーン
米ニュージャージー出身。エルヴィスやディランに影響を受け、70年代から現在まで一線で活動するハスキーなロックンローラー。
代表曲「Born to Run」「Hungry Heart」「Dancing in the Dark」「Born in the U.S.A.」など。
ボブ・シーガーやトム・ペティと共に、ハートランド・ロックの筆頭格とされます(ハートランドが何なのかは調べてちょ)。
日本のSSW
フォーク・シンガーの台頭により、シンガーソングライターという言葉は日本でも同時期に普及しました。
フォークをメジャーのシーンに引き上げた吉田拓郎。Wikiによると「大規模ワンマン野外コンサート、ラジオの活性化、CMソング、コンサートツアー、プロデューサー、レコード会社設立などのパイオニア」とある。パイオニアすぎるだろ。
井上陽水の3rdアルバム『氷の世界』(1973)はロンドンで録音され、日本のレコード初のミリオンセラーを達成しました。
ソフトロックとは
エルトン・ジョンやビリー・ジョエルに関して、アメリカではキャロル・キングやジャクソン・ブラウンらと共にソフトロックとよばれています。
しかし、どうやら日本と英米でソフトロックの定義が違うようです。
日本でいうソフトロックとは、ハーモニーの美しい穏やかなポップ・ロックを指します。例えば、ブライアン・ウィルソン、アソシエイション、ミレニウムなど。
確かにソフトと呼ぶのも納得の平和さ。
一方、海外ではこうした音楽はサンシャイン・ポップと呼ぶらしく、ソフトロックは叙情的に歌い上げるシンガーソングライターや、アメリカ西海岸のロック、AORなどを指します(詳しくは次回紹介)。
こんな記事書く暇あったら勉強しろよ、って感じですがGW最終日、全くやる気が起きません。受験生なのに、今月英検なのに、ヤバい。ビートルズ検定じゃだめ?
次回はイギリスからは一旦離れて、アメリカと日本に焦点を当てたいと思います。