結論は知らない
最近あまり悩んでいない。別にいい事がある訳でもなく、毎日がなんとなく軽く飛んでいく。
何だかそれって私らしくない。どうした自分。そんなことを考え始めて、今日1日を費やしてしまった。
笑った。
これでこそ自分だ。
何故「悩んでいない」と感じたのか。
1日中悩んで、「最近自分、悩み慣れ始めてる」と気がついた。別に周囲が何か変わった訳じゃない。ただ、私の視点がちょっと変わったという話。
結構前から、人は皆違う物語を持っている、ということには気がついていた。
だけど最近、自分の見ている世界と、相手の見ている世界、自分が思っていた以上に違うんじゃないかと思い始めた。恐怖すら、感じ始めた。
自分にとっての正義が、相手にとっての悪かもしれない。
自分の世界でのヒーローが、相手の世界では悪役かもしれない。もしかしたら、私のヒーロー自体が、その物語には登場しないかもしれない。
自分の当たり前が、前提が、相手の非常識かもしれない。
だとしたら自分は、地球上にある何十億もの物語の、たった1しか知らないじゃないか。いや、その1も、知らないかもしれない。
「知らない」は、孤独だ。自分が世界から放り出されたような心地がする。
焦った私は、多分無意識のうちに、周りにある物語を読み漁ろうとしていたんだと思う。
だけど、「知らない」「知られない」が孤独なのと同時に、「知る」「知られる」も怖い。どちらの方がダメージが大きいのか、それは状況によって様々だから、一概には言えない。
大抵、前者の方が楽だし。そうやって、人は距離を作って、自分の世界を守っていく。
いい意味でも、悪い意味でも。
多分、何十億もの物語を全て知ることは、一生かけてもできないだろう。
彼女が涙を隠すのを見て、私も泣きたくなった。
君の物語では今、どんな悲劇が起こっているのだろうか?
その本の開き方さえ、まだ知らない。
ここに書いた一言一言も、誰かにとっては真っ赤な嘘かもしれない。
君の目にどう写るのか。それはもう、私には分からない。
だから怖いし、だから面白い。
結論は、まだまだ出ない。