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映画 ナイトメア・アリー

終わりのない悪夢へようこそ。

半魚人と人間のラブストーリーなど、摩訶不思議な世界を描かせたら右にでる者はいないギレルモ・デル・トロ監督。

野心、プライド、欲望、驕り…人間の心こそ怪物。

禁断のショービジネス(見世物小屋)、幽霊ショー。

嘘はいつか必ずバレる。

原作は1946年に出版されたウィリアム・リンゼイ・グレシャムの小説“ナイトメア・アリー 悪夢小路”

監督、製作、脚本はギレルモ・デル・トロ。

主人公のスタントン・カーライルを演じるのは“アメリカン・スナイパー”などアカデミー賞常連俳優のブラッドリー・クーパー(ナイトメア・アリーでは製作も担当)

謎の妖艶な精神科医リリス・リッター博士を最新作“TAR/ター”でも注目を集めるケイト・ブランシェット、スタンに振り回されるパートナーの美女モリー・ケイヒルをルーニー・マーラ。

話術、読心術の達人ピート・クランバインをデヴィッド・ストラザーン、ピートの妻で占い師を演じるジーナ・クランバインをトニ・コレット。

見世物小屋の座長クレム・ホートリーをウィレム・デフォー、バッファローの大富豪エズラ・グリンドルをリチャード・ジェンキンス。

喪失感に苛まれる判事婦人フェリシア・キンボールをメアリー・スティーンバージェン、力自慢のブルーノをロン・パールマン。

摩訶不思議の名手ギレルモデルトロ監督が創造する怪しげな世界を豪華キャストたちが蠢く150分の悪夢。

第94回アカデミー賞(2022年)でノミネートされた美術(タマラ・デヴェレル)と衣装(ルイス・セケイラ)

小説から現実世界へと飛び出したナイトメア・アリーの不気味で怪しい世界にも注目!

人を優越に浸らせて稼ぐ禁断のショービジネス…これは現実か、悪夢か、妄想か。

ナイトメア・アリー(悪夢小路)、絶望的なミステリーショーの開幕。

フリークス、その命はほとんどが母親の体内で死を迎える。

だから生まれたことが奇跡、“奇跡の命たち”だという。

それはやり場のない恨みや憎しみを抱えた命…。

カーニバル(サーカス)、見世物小屋。

それは人間の好奇心と優越感につけ込んで金を稼ぐ日本にも存在した禁断のショービジネス。

1941年、ルーズベルトの時代。

第二次世界大戦直前のアメリカでは実際にこの手の興行が存在した。

描かれ方は180度違うが“グレイテスト・ショーマン”もサーカス、カーニバルの話(こっちは勇気と希望の物語!)

物語はスタンが“奇妙な男”に導かれ(追いかけて)“カーニバル”を訪れるところからはじまる。

理想ばかり語る父親、母は他の男に走った。

少年は大人になり、年老いた大嫌いな父親を虐待、殺害する。

家に火をつけたあとはあてもなく暗闇をさまよっていた。

たどり着いたカーニバル、そこには“小さな男(少佐、柔術、軟体術のプロ)”、“世界最強を謳う大きな男ブルーノ”、“蜘蛛女”、“体に電気を流す美女(モリー)”、“読心術を披露するジプシー(ジーナ)”、“関節がおかしな方向に曲がる男”など不思議な人々が。

座長の“クレム”が仕切るカーニバルは彼らにとって唯一無二の居場所。

スタンが捕まえたのは“ギーク、獣人”

その正体は復員兵など行き場のない者たち。

ギークはアヘン、アルコール、洗脳(マインドコントロール)でクレムが作りだす。

ギークは使い捨て、使えなくなったらまた新しいギークを作る。

スタンはクレムの部屋で“一つ目のホルマリン漬けの悪夢・エノク”の姿を目撃する…。

スタンは絵が上手い、脚本、筋書き、ストーリーを組み立てるのが上手い。

星降る夜、観覧車が闇に浮かぶ。

天性のペテン、詐欺師としての才能で保安官からカーニバルを救ったスタンは一躍ヒーローに。

読心術はサイン、暗号、“絶対という言葉”…言葉のマジック。

メンタリストのピート、彼は心理学を応用したマジシャンだ。

スタンはこのピートが操る話術、読心術に強い興味を抱く。

当時手に入れることが困難だったアルコールが原因で命を落とすピート。

ピートから技を学び、盗むスタンにこれだけは絶対に駄目だ、使うなとピートが念を押した禁断の“コールド・リーディング”のメモ。

それはやがて嘘が真実に変わる禁断の術。

“自分に力があると信じ、嘘と真実が分からなくなる。
果てはすべてを見失い、周りの大切な人を傷つける…。
人間は自分を強く信じれば信じることができる、信じられないと思えばなにもかもが信じられなくなる生き物”

ショービズでの成功という野心を胸にスタンはモリーを連れてカーニバルを飛び出す。

“詐欺師としての天性”と“端正なマスク”を武器にスタンはモリーと“降霊ショー”で荒稼ぎ。

“戦争で死んだ息子に会わせてあげます”

スタンは金のためなら法の番人である判事の妻も平気で騙す。

自分を、周囲を騙し続けることに疲れたスタンは美しい女性医師“リリス・リッター博士”から催眠療法を受けることに。

富と成功のためならターゲットを選ばないスタンは一世一代の大きな賭けにでる。

それはスタンと同じで目的のためなら手段を選ばない土地の権力者“エズラ”を騙して大金を奪うという危険な賭け。

不吉な“ハングマン”のカード…オクラホマの田舎者が大都会で口先ひとつで成り上がるドリーム。

人生の一発逆転はあるのか…?

物語にはスタンを惑わす3人の女性が登場する。

スタンの運命を左右する3人の女性たち…。

“それが、自分の宿命だ”

ラスト、因果応報は避けられない。

第94回アカデミー賞(2022年)で作品賞を含む4部門ノミネート!

ジャンルは“ネオ・ノワールサイコスリラー”になるらしい(あまりこの手のジャンルは詳しくない笑)

小説ナイトメア・アリー 悪夢小路は1947年に“悪魔の往く町”として映画化、今回の“ギレルモ・デル・トロ版”で2度目の映画化となる。

物語はカーニバルからはじまりカーニバルに戻る。

悪夢と現実が交差するため、少し難しめな内容。

シャーロック・ホームズの生みの親のコナン・ドイルも傾倒した幽霊ショー。

当時は世界中で流行っていたそう。

詐欺師が稼いでたんだろうな(なかには本物もいたかも知れないが!)

成功は思いがけないところから狂う。

エノク(サイクロプス)の正体、秘密。

この世にはもっと巨大で恐ろしい化け物が潜んでいる…。

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