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人類進化談話#01 : 7万年前の文化的躍進の駆動力はなにか?

● テーマ
1)実在しない「想像の産物」をほかの誰かに伝えることができたとき、人類の文化的歴史が幕を開けた。

● 背景
2)『言語』と『想像力』
3)言語によるコミュニケーションは、7万年前よりももっと前からできていたと考えられている。
4)洞窟壁画、住居の建設、副葬品を伴う埋葬、骨製の針などにみられる道具の専門化など、現生人類の想像力を彷彿とさせる「言語だけでは表現できない事象に対する文化的創造性」は、7万年前よりも以前には発見されていない。

● 仮説
5)前頭前野におけるさまざまな脳障害や、子どもの脳が成長するなかで直面する言語的理解の発達を挙げ、前頭前野による知覚世界と内なる思考の統合が文化形成のための想像力獲得に必須だったのではないか?

● 考察
6)脳の外側前頭前野には「記憶にあるもの」と「単語」や「文法」を統合し、まったく新しいものを頭のなかで想像することを可能にする機能がある。
7)メンタル統合は複数の単語とそれらの関係を脳内で統合し、想像することを可能にするプロセス。その関係には相対性以外にも再帰性(入れ子構造)がある。
8)外側前頭前野に損傷がある場合、メンタル統合機能に異常が起きる。つまり、人は物と物の関係や、相対性を表す文章が理解できなくなる。

9)言葉の再帰構造を習得できるのは子どものうちだけ。
 人間なら誰しも、生涯をかけて語彙を増やし文法を習得することができる。ところが、メンタル統合能力だけは、だいたい5歳くらいまでの幼児期に再帰構造のある言葉に触れておかないと、大人になってもこれを習得することはできない。

10)これが人類全体に広まるには、ふたつの障壁があり、その障壁を乗り越えるトリガーになったと考えられるのは以下のとおり。

①前頭前皮質遅延の突然変異 : メンタル統合スキルを習得できる期間が長くなければならないというのがひとつ。

進化の結果とも整合(ヒトの前頭前野は霊長類のなかでも極めて発達が遅く、だいたい20代半ばから30歳くらいまで発達し続ける)

②メンタル統合機能の獲得 : ふたつめの障壁は、脳の構造がいかにメンタル統合に適していたとしても、親が子どもに再帰言語を教えられなければ、子どもがそれを習得することはないことだ。この障壁をクリアするには、前頭前皮質の突然変異を持ったふたり以上の小さな子どもたちが、互いに会話しながら長い時間を過ごし、再帰言語を“発明”したはずだ。

●源泉

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