自分の殻を破れたから、私は歌える。-シンガーソングライター 堀内智咲海-
留学を経験したから、自分の殻を破ることが出来た。自分の殻を破れたから、胸を張って歌う事ができる。歌う事に自信を持たせてくれた留学での経験と、歌う意味を見つけることが出来た難民の方達への支援。大嫌いだった日本を出た事で、無知が構築した偏見から解放され、人の美しさや他者との関わりで生まれる豊かさを知ることが出来た。言葉を必要としない音楽によって日本にも、多種多様な豊かさをもたらしたい。世界との共存のために彼女はこれからも歌い続ける。
留学前の自分を振り返ってみて
留学前の私は日本の社会や当たり前を尊重することが嫌いでした。今思えば、当時日本のことなんて何も知らなかったのに、中学生ながらかなり頑固だったと思います笑 高校進学する時に理系と文系に別れたりするのにも疑問を持っていました。
そもそもそういう社会に違和感を覚えたのは何故ですか?
もともと小さい頃からディズニーチャンネルやアメリカのドラマを見ていて、その自由さやオープンさに惹かれていたからだと思います。ずっと仲よかった親友がアメリカに引っ越しちゃって、中2の時に2週間語学学校に通いながらその子と過ごして、より海外への思いが強くなりました。日本のテレビなどはあまり見ず、海外に思いを馳せていましたね。
もともと海外のカルチャーに馴染みがあったと。
はい。その影響で英語と、歌が好きだったので音楽も学びたいなと思いました。
実際ニュージーランドに行ってみて、どうでしたか?
すごく教育に自由でした。高校では必須教科の他に自分の好きな教科を最大3つまで取れました。学年が上がるにつれて選択肢が増えて、美術系とかコンピューターと演劇とか、みんな将来や目標に合わせて専門的なものを学んでいましたね。私は、音楽と演劇と家庭科を3年間学びました。
留学で印象に残ったことは?
人との関わりですかね。高校生とかってクラスに幾つかグループができるじゃないですか。オーストラリアでもそれがあって。私は日本人のいない場所に行こうといろんなグループにトライしました。各グループ1週間ずついて、そこで自分の居場所なのかどうか決めようと笑。結局半年かけて、1つのグループに溶け込めるようになりました。
後は、難民支援のために参加した40 Hours Famineも印象に残っています。40時間自分が何かを我慢してその頑張りに対して寄付してもらう、クラウドファンティング様なものです。2年間続けて私は40時間何も食べないチャレンジをしました。
自分から行動していく中で、価値観や考え方の変化はありましたか?
多国籍国家にいたことで、カルチャーショックもありましたし、日本のことを客観的に見れるようになりました。留学前の私の様に、何も知らないまま好き嫌いの判断をするのは良くないですよね。
また、日本だと日本人の当たり前がありますが、宗教や人種、いろんな人がいると当たり前がないから、何にでも受け入れられる。あんなに頑固だった私ですが、以前よりも寛容になりました。人に寛容になった分、自分を晒け出すのも恥ずかしくなくなりましたね。
当たり前をなくし、自分の殻を破ったことで、挑戦出来たことはありますか?
大好きな音楽を真剣に始めることができました。あとは、人前で話すことが苦じゃなくなりました。それは演劇のクラスで身につきましたね。プレゼンも好きになりましたし。
留学に行かなかったら今どうなっていたと思いますか?
殻を破ること自体しなかったし、東京に来ることもなかったです。三重出身なんですけど。ずっと自分や周りが作り上げた当たり前の中で生きていたと思います。今は大好きな歌を大勢の前で歌え、表現できることが幸せです。
あと、今大学で難民について学んでいるのですが、自分の好きなことや強みが学びに活きているのを実感できて楽しいです。
今は難民問題について学んでいらっしゃると、そのきっかけは留学での経験ですか?
そうですね、そもそも留学で初めて”難民”という存在を知りました。日本にいたら知る機会は無かった気がします。きっかけは、難民の人たちを遥か遠くのニュージーランドから支援している団体があって、そこと学校が提携していたんです。40Hours Famineもその団体主体でやっていました。世界で起こっている問題を肌で感じられた事、その支援に微力ながら関われた事で、もっとその人達の力になりたいと思いました。
難民のリアルを感じて、日本に置き換えた時、堀内さんは難民の方々受け入れに賛成しますか?
私は賛成です。でも何も無い状態で受け入れるのには反対で、環境のインフラ作りが必要だと思います。日本語も理解できず、仕事を見つけることが出来ないまま帰国する人も多いと聞いたので、ちゃんと彼らを受け入れるためのサポートをしていかなければならないと思います。
具体的に、支援するためには何が必要だと思いますか?
異国から来た彼らを受け入れるコミュニティーですかね。海外には日本人コミュニティーがあるじゃないですか、その様な感じで、日本にいてもその人たちの文化を理解している人や言語を話せる人、安心できる場は必要だと思います。
政府に要請するのも必要ですが、そのコミュニティーで雇用などの相談もできるようになったらより多くの人を救えるかなと。バザールみたいなものも、文化や言葉の壁を無くすにはいいと思います。
音楽と難民問題、一見離れているようで、重要なキーになっているのですね。今将来に向け特に頑張っている事は?
音楽です。音楽は言語関係なく人を癒し繋げることが出来ますよね。私は心理学者でも無いし、その地の文化を作る専門スキルもないので、音楽と私の歌で、世界中の人を幸せにしていきたいです。異なる国同士の壁を音楽で壊していきたいです。
プロフィール
堀内智咲海:三重県出身。高校3年間をニュージーランドで過ごし、帰国後横浜の大学に入学。大学では移民、難民について学ぶ。入学を機に歌を始め、現在はSNSやライブハウスで自身の歌声を披露している。