【不動産取引】実家を売却した記録①
実家を売却することになったので、売却完了までの記録を備忘録として残そうと思います。
何度か不動産の売買取引をした事があるので、私が母の代理人となって実務を行うことになりました。
実家の周辺に知り合いの不動産屋さんがいないので、まず近隣の不動産屋さんに売却価格査定に来てもらいました。
売却価格の査定を依頼する
取引銀行の紹介からM不動産販売と地場の個人でやっている不動産屋さんにお願いをしました。
売却時に知り合いの不動産屋に頼んでも良いのですが、地域毎の特性(学区や居住層による人気の有無)などに詳しい地場の業者にまずは査定して情報をもらいます。
仲介業という職業においては、査定価格より担当者の誠実さが何よりも重要な要素であると私は考えています。
営業マンの多くは最低限に誠実そうな雰囲気を纏ってやってきますが、色々と世間話をしていくとその人物の本質が垣間見えてくるかと思います。
売り出し価格の決定をする
売り出し価格はこちらで決定できますので、売り急いでなければ過去の取引事例を参考に「このくらいで売れたら嬉しいな」といった価格の売り出し価格で良いかと思います。
あまりに相場とかけ離れていると、案内も入らず長期間売れ残り印象が悪くなるので相場より多少高いくらいで良いかと思います。
売却時期を急ぐ必要がなければ相場よりも強気の価格で問題ないでしょう。しかし「この辺りでこんな価格で売れるわけありません!」と強引に安い価格で売ろうとしたりする業者には注意です。
不動産業者は一般の買い手以外にも、デベロッパーや戸建て専門の建売業者やリフォームして市場に売り出す業者など様々なコネクションを持っています。
安く買い叩いて横流しする業者もあります注意しましょう。
また大手仲介業者で「物件隠し」が問題になっていましたが、今でもやっている所はあるので、この段階で見分けることは難しいです。
よく不動産業者の登録番号が古いほうが安心といわれますが、古いところでもやっているところは全然あるのであまりあてになりません。
売却物件を預けてから不動産業者のふりをして電話して「物件の案内可能ですか?」「お客さんから買い付けをもらったので話を通してほしい」などと問い合わせをしないとわかりません。
※「物件隠し」とは?
売却物件を売主さんから預かった後に自分で買主を見つけたいがためにレインズという不動産屋共通のインターネットサイトに登録後(一般媒介で受けてレインズに登録しない場合もあります)、他の業者からの問い合わせがあっても「商談中です」などと言って案内をしないことを言います。
仲介業者は売主からの手数料に加えて買主からの手数料ももらえるので2倍の売り上げになります(両手取引)、不動産仲介業者の担当者は誰でも可能であれば両手の手数料を狙っています。
真っ当な業者であれば、売却の依頼を受けてレインズを登録するまでの期間などは、スーモ、アットホーム、ホームズ等の不動産情報検索サイトに登録したり、輪転で刷った手巻きのチラシを近所に投函したりとできる限り自社で買主も探して両手取引の成約を目指して努力します。
周辺の相場を熟知している業者であれば、査定価格は不動産価格を決めるマニュアルがあるのでどこでも似たような価格になるかと思います。
物件を自分のところで預かりたいがために相場よりも高めの査定価格を出して媒介契約をとろうとする業者もいますが、決してうかれることなく冷静に判断して誠実で売却力のある業者に頼みましょう。
いま「この地域で物件を探しているお客さんがいます」などというチラシがポストに入っていることがあると思いますが話半分に聞きましょう。
不動産業者は売却物件を預かることが出来れば、売却が決まれば片手の手数料は確約されたも同然なので売却物件を預かりたいと考えています。
業者はとりあえず高い査定価格で売主から媒介契約を受けてしまえば、売れないから価格を下げていくという作戦がとれます。
居住用財産の譲渡所得の特例とは?
売却時に居住用財産の譲渡所得の特例が適用されるかどうかについてですが、税法上は居住の用に供さなくなった日又は災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡であればOKとされています。
■10年超の居住用財産の譲渡の場合
①居住用財産の3,000万円特別控除の適用要件を満たしていれば
⇒譲渡益から3000万円を控除する。
②軽減税率の特例(課税の免除制度)の適用要件を満たしていれば
3000万円控除後の課税譲渡所得が‥
⇒6000万円以下の場合
税率14,21%(国税10,21%、地方税4%)
⇒6000万円以上の場合
8,526,000円+(課税譲渡所得-6000万円)×税率20,315%(国税15,315%、地方税5%)
所有期間が短いと税率は高くなります。
短期(保有期間5年以下)は39,63%
長期(5年超~10年以下)20,315%
タワーマンションなど短期売買でのキャピタルゲインを狙った投資用物件が5年や10年を過ぎて同時に市場に出だすのはこれらも関係しています。
今回の売却(所有期間10年超)は買い替えではありませんので買換え特例(課税の繰延べ制度)については省略いたします。
実家の売却査定額と問題点について
売却査定額については、M菱不動産販売が業者買取価格 4150万円を提示してきました。
築年数が相当に経っている実家の建物部分は査定価格ゼロで土地値のみとの回答です、むしろ建物の解体にお金がかかるとの想定通りの回答でした。
しかし実需向けに売り出せばもっと高く売れるはずであると考えていた私は、仲介手数料の安い個人の不動産業にお願いして一般のエンドユーザーに向けて売り出し価格5200万円を設定しました。
ゴールとしては、200万円前後の指値が入り5000万円前後で売却できれば御の字だと考えていました。
家族から「周辺の売り出し価格帯や取引事例からもう少し高く設定できないのか?」と聞かれました。
確かに過去の取引事例から周辺の土地の坪単価100~120万円での取引があったようですが、これは更地でこれから建物をすぐに建てる事ができる状態での価格です。
土地として売りに出す為には解体費用が鉄骨造(7万前後/坪)として延べ床面積が、約200㎡(約60坪)×7万=420万円が必要となります。
さらに、実家にはいくつかの問題点がありました。
増築した2階・3階が未登記
中古住宅として売却する場合に、増築未登記や築古物件は銀行での住宅ローン付けが難しいので一般のお客さんは手が出しにくい。
住宅ローンは建築確認をした建物であれば、建築計画概要書が必要なところが多い。
※建築計画概要書とは?
市町村の建築指導担当部署に備え付けられ誰でも閲覧できます、配置図・建物と敷地の関係・道路の建築基準法種別や要セットバック部分等が記載されています。
仮に未登記部分を登記しても建築計画概要書と現状が異なった場合、住宅ローンが通らない可能性もあります。
ただし例外的に銀行によってはローン付けが可能なところもあります。(※K銀行は比較的緩め・M銀行は建蔽率・容積率など1.2倍までオーバーは許される等…)
もちろん現金一括購入していただけるのであれば何ら問題はありません。
また登記する事を条件として、買い付けが入る場合もあります。
現況測量、仮測量
費用 約20万前後(法的効力なし)
境界確定測量(立ち合い必要)
費用 約50万~100万前後(やってみないと正確な金額はわからない)
※費用目安は知り合いの登記測量事務所(土地家屋調査士)に頼んだ場合
価格帯が微妙である
土地は前面道路も8mあり間口広めで南向き、文教地区と言われている場所ですが古家付土地で5000万円という価格帯はすぐに買い手がつくような価格帯でない。
おそらく5000万円を出せる人は少し狭くても30坪程度で住宅ローンの使える新築を選択する傾向が強い。
5000万円出して築年数が40年オーバーの増築未登記、リフォーム必要、土地の境界未確定の物件を購入するだろうか?
土地で売り出す場合は建物解体費や土地境界確定が必要
中古住宅として購入する場合は境界確定まで求めない場合も多いのですが、これは購入するお客さんによります。
内覧や買い付け証明の時には何も言わなかったとしても、重要事項説明時に資料から境界が未確定だと知った場合に急に心配になって買主が求める場合もあります。
引き渡しまでに境界を確定するといった条件にすると、隣人と境界でもめる可能性もあるので契約書には※白紙条項等を盛り込む必要があります。
※白紙条項では契約自体がなかったことになり、預かっていた手付金も返金され仲介手数料も請求されません。(一方で解除においては契約自体はなかったことにはなりません、仲介手数料も必要となります)
一般的に白紙撤回ができる特約には以下のようなものがあります。
ローン特約
引渡し前の滅失毀損
住み替え特例
確定測量が不調に終わった時
日本政策金融公庫の根抵当権
日本政策金融効果から借りている事業資金の残債があるので土地に根抵当権が付いています。
よって実家の売却が決定した時に売却金額で事業資金として借り入れていた残債を抹消して根抵当権を外す事になります。
住宅ローンの抵当権の抹消は売却時の元金返済で経験がありますが、この手続きは初めてなのでちょっと心配です、上手くいけばいいのですが…。