韓国妊婦生活#4 超少子化社会の不安
今日は韓国で妊娠して、肌で感じた少子化の原因や生きづらい社会についてのお話です…。
韓国は超低出生率が叫ばれて久しいです。
中流階級がいなくなる、なんていう話もありますし、本当にどうなってしまうんだろうと思います。
男女が結婚して一人も産まないか、もしくは一人しか産まないから、そりゃ人口は減ります。
もちろん二人以上産む人もいますし、ショッピングモールや食堂、産婦人科など子供や妊婦さんはたくさん見かけますが、それはその場所が子供連れに対応している施設だから集まっているだけで、小学校は廃校になるところも多いし、塾の経営などの競争はますます激しくなるでしょう。
こうなってしまった原因は色々あると思いますが、やはり一番は広い意味で言う"お金"だと思います。
お金があるかないかが産むか産まないかを決める一番重要な要素になっています。
(これは私の体感上、日本よりもお金の重要度が高いと思います。人口が日本の半分な分、生き方の多様さも半分という感じだからでしょうか。)
その証拠に、韓国では富裕層はそうじゃない層よりも出産率が高いです。
お金があれば育てられる。お金があれば幸せにできる。
当たり前のように思える考えですが、その考えが私の想像よりもうんと濃いんじゃないかな、という感じがします。
というのも、韓国で妊娠してみてまず感じたことは、必要だと思われているもの(大抵はお金で解決するもの)がとてつもなく多い、ということだったからです。
出産まではある程度の支援があったり、保険でどうにかなることもありますが、問題は産後。
まず韓国では産後調理院というところに1~2週間入るのが一般的とされています。
病院を退院後、調理院にいる間は三食+おやつも三回ほど出て、洗濯や掃除、マッサージもやってくれますし、ヨガのプログラムや母乳育児のためのケア、沐浴指導など、新米パパママが必要なことをお手伝いしてくれます。
もしこの施設に入らない場合も(もしくはこの施設を出た後も)、産後のお手伝いさんを派遣してくれる業者にお願いして、資格を持った女性に家に来てもらうシステムもあります。
料理をしてくれたり、日中は赤ちゃんの面倒を見てくれるので、利用する人はとても多いです。
どちらも育児に本格的に入っていく前に、まず母親の健康を整えるという趣旨なので、とてもいいなと思っていたのですが……。
何せ高い。物価高のせいでどんどん値段は上がっていて、少子化なのに人気があるところの競争率は逆に高くなり、お部屋の眺望のよさやホテルのような施設を謳ってプレミア価格をつけているところも多くあります。
そしてそういうところに入り、インスタに上げることがステータスになり、それこそが"幸せな出産"、"成功"であるかのように見え、それができない夫婦が劣等感や罪悪感を抱く。
調理院だけでなく育児グッズについてもそうです。
一年ほどで買い替えるという新生児のためのベビーカーが200万₩(日本円で20万以上)近くし、もちろんそういう機種があるのは問題ではありませんが、それが買えることが子供を育てる上で必要なようなマーケティングをする。
家に広いスペースがないと置けないような大型の哺乳瓶の消毒器、自動粉ミルク製造機、おむつ替えの台、"国民アイテム"と名前をつけられ、さも必須であるかのように売られている輸入ものの高価なベビーチェア。
もちろんあれば便利でしょう。
でも、なくても方法はあります。
便利アイテムがあるよりも少し時間や手間がかかったりするかもしれませんが、それでも人一人、しっかり育てることはできると思います。
大きくなれば次は塾。子供に楽しい時間はあるのか心配になるほど教育熱の高い韓国です。
良い大学に行けるか、留学に行けるか、給料の高い職業に就くことはできるか。
子供がどう育つか、何をしたいかは関係なく、まずこれらをさせてあげられる家であることが望まれているような感じがあります。
私は誰かに言われたわけではないですが、日々のニュースや塾の広告、SNSを見ているとそう思ってしまうんです。
これもある程度両親が準備しておくことは大事ですが、子供がやりたいことを考えて塾に行くなり行かないなりの選択をしてもいいという考えは少数派のようです。
それならば子供がいないまま夫婦で豊かに暮らしていきたい。もしくは気楽に一人で……。
そう思う人が増えました。
子供を産むかどうか悩む若い夫婦はこんな現実をよく知っています。自分が今まで大きくなるまでに勉強や競争で苦しかった記憶を持っている人も多くいますし、親がどんな苦労をしてきたかもわかっているからです。
ましてやようやく社会に馴染んできた二十代後半~三十代前半ならなおさらです。
こんな社会で産んで、産まれてくる子は幸せだろうか。
私もそんな風に思っていました。
妊娠前後、何度も夫と話しました。
そして、まだ答えは出ないです。わからないからです。
正直自信はないし、ずっと不安でいっぱいです。
でも、少なくとも私たちは幸せにしよう、(とりあえず)三人で幸せに生きようという気持ちで育てていこうと思っています。
それは誰かと比べて何かを多く持っているとか、そういう幸せではなくて、私たちだけの幸せです。
ブランド物はなくても、私が両親と一緒に笑っていたように笑えればいいなと思いますし、その子に必要な手助けがあれば全力でやりたいです。
それなら十分私たちにもやってあげられることだと思います。
(もちろんお金に余裕があるに越したことはないので、私も夫も頑張るつもりですが)
でも悲しいかな、「お金がないと……」とか「女性のキャリアが……」と子供は絶対いらないと言っている女友達をもし説得するとなったら(しませんが)、それは難しいなと思います。
それはこの社会が、政治が少しずつでもいいので変わらないといけない部分だろうと思います。
この部分に関しては日々勉強が必要ですね。
*つづく*
読んでいただきありがとうございました:)