人見知りには、本を読むように生きるのがちょうどいい
前の記事にも書いたけれど、私は超・ひとみしりだ。高校生になっても、スーパーのレジにすら並べなかったし、飲食店に入るとまず、店員の死角になる席を探す。
でも、人が嫌いなわけじゃない。本の読者と登場人物みたいな距離感が、自分にはちょうどいいんだと思う。
本を読むように世界を眺めていたい。
小さいころ、たくさんの物語を読んだ。自分とはまったく違う性格や境遇の主人公たち。私は物語を一方的に眺めているだけで、彼らと直接会話することはないけれど、ストーリーが進むにつれてどんどん相手が好きになり、かけがえのない存在になっていたりする。
でも。もし、夢中で読んでいた本の中の人物が、外からみている私に気づいて「今日はいい天気ですね!」なんて話しかけてきたら、「どうか!私は無視して!そっちのストーリーを進めてください!!!!!」と必死でお願いするだろう。読みたいのは本編のつづきだ。余計なものは必要ない。
あこがれの彼女がいなくなる日
高校1年生のころ、ひそかにあこがれている女の子がいた。部活に入らず、ピアノに打ち込んでいて、派手目な女の子たちと仲良しグループだった。直接しゃべったことはない。
でも、本を読むように教室をながめていればすぐにわかった。ピアノのレッスンと勉強を両立して、好きなことには一生懸命に、友達といるときは楽しく、つつみこむようにやさしく接する彼女。自分に自信がなかった私にとっての目標だった。
1年生3学期の終わり。彼女は転校することになった。音楽学校に編入するのだ。お別れのあいさつのとき、涙ぐむ仲良しグループ女子のたちに交じって、私は号泣していた。目を真っ赤にした私をみて、彼女はちょっとびっくりしていた。周りのクラスメイトも若干引いていた。
もちろん、彼女のことを好きだった気持ちに後いはない。もう会えないのだから涙が出るのも当然だ。
けど、一読者のくせにうっかり本の中に足をつっこんで、彼女の友情の物語に水を差してしまった自分がちょっと恥ずかしかった。