読書メモ 『米朝置土産 一芸一談』

 桂米團治監修『米朝置土産 一芸一談』(淡交社、2016年)という本を読んだ。桂米朝師匠が朝日放送でやっていたラジオ番組「米朝のここだけの話」も活字にしたものです。ですと言ったって別に聞いていたわけではない。私の生まれる前なので。「はじめに」で米團治師匠がそう書いてました。

 こういう本は歴史の証言みたいなところがあっていいですね。あるエピソードが実は誇張されたものだったって本の中でわかるところとかもうこれは資料になるんじゃないですかね。もちろん対談なのでもしかしたら記憶違いもあるのかもしれないですが。小松左京のファックスやらワープロにまつわる話とか最高でした。橘右近師匠の話も歴史的に価値のある話だったなぁ。こういうの生で聞きたかったですね。でも考えてみると今何の気なく生で聞いたものが後々歴史になるのかもしれませんね。「生」が難しい今の時代だからこそそう思わせられます。

 あと、言葉の口調が好きですね。もともと米朝師匠の落語は聞いてて好きだったんですが、対談ということでやっぱりしゃべり言葉の色が強いのか、非常に強く感じた。お相手が明治の生まれなんて回もあって、もしかしたらより古い上方の言葉があったのかもしれない。詳しくないので知らないけど。でも大阪出身の友人のなまりとはまた違うので、関西でも細かい場所や時代によって言葉も変わってるんでしょうかね。米朝師匠自身も出身は兵庫だし。

 前編ともいえる『一芸一談』も読みたいなと感じた。
 いい本でした。皆さんもぜひ読んでみてください。

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