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#87 2020年11月10日、夕方。

サッカーを見始めたのも野球を見始めたのも小学校2年の時でした。
よくよく考えたら、見始めた年にガンバもサンガも阪神も優勝って凄い…何気に持ってるよね。33-4の記憶なんてないけども。


当時の阪神はスター揃いでした。
4番には金本知憲が君臨し、1〜2番を鳥谷敬と赤星憲広で固める。そしてなんと言っても、キャッチャーを務める矢野輝弘のミットに白球を投げ込む投手陣の、そして球界史上に残るリリーフ陣として「JFK」がいた。ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之……あの頃に買ったパワプロやプロスピでも、律儀に7回久保田、8回ウィリアムス、9回藤川ってやったもんですよ。野球を見始めたばかりの私にとって、JFKとはそれだけ燦々と輝くものであり、野球というスポーツは7回からはショーと化すものだと本気で思っていました。

JFKという鬼のような戦法、右腕から放たれる鬼のような豪速球、野球以外の道を進んだら正直どうするつもりなんだろうレベルに野球をやる為に産まれてきたかのような名前、甲子園を包むLINDBERGの「every little thing every precious thing」の大合唱……村田事件に代表されるように時折凄まじい被弾を喰らったりもあったけれど、それすら一つのロマンのように思えていました。
2016年に帰ってきて散々な成績を叩き出した時は正直もうしんどいか…って思いましたよ。それこそJFK全盛期にめちゃくちゃフル回転した分、どこかでそのツケが回る事はむしろ世の常だと。それでも2017年にプチ復活を飾ると、2019年…39歳にしてあのパフォーマンス。「9回に球児が三振で締める」……阪神ファンにとって、この形でのゲームセットがどんなサヨナラ勝ちよりも一番気持ちの良い勝ち方だったんじゃないでしょうか。

惜しむらくは、私個人としての「藤川球児運」が殆どなかったという事。
JFK全盛期に観に行った試合はどれも勝ちパターンに突入するより前にボッコボコに打たれましたし、近年はまた藤川が勝ちパに入ることも多くなっていたのもあって、まずリンドバーグ大合唱自体をあまり経験できていません。野手ならともかく、野球って投手目当てで観に行って御目当てのピッチャーを確実に観れるスポーツではないですからね。
実際に藤川を甲子園で見れたのは2回(+京セラと東京ドームで1回ずつ)。一つは上の動画にも貼ったCSの時で、先発のノウミサンが初回KOされちゃったもんだから中継ぎフル動員みたいな試合でした。もう一つが2016年9月8日巨人戦。この時点でピンと来た方もいたりするのでは…。広島優勝阻止と代打・坂本勇人の割と伝説化してしまってる例のアレです。

まぁ、それでも…テレビで見てるだけでも興奮と、そしてストレートの気持ちよさを教えてくれるピッチャーでした。叶う事なら一度、甲子園でで9回に出てくる藤川球児を、9回にリンドバーグを歌ってみたかった。そして三振を取った瞬間にジェット風船を飛ばしてみたかった、そもそも、自分が行けなくとも藤川球児の球児としての最後の瞬間はそうあって欲しかった……。あと30分ほどプレイボールとなる巨人との試合、しっかり目に焼き付けるように見たいと思います。

初めて好きになったクローザー…歴代で最も好きなクローザーは?という質問をされれば、野球を見始めたあの時も、今現在も、そしてこれから先も私の答えは一つしかないでしょう。「藤川球児」と……。

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