#108 好きな曲についてただただ語るだけのシリーズ【第2回 マーメイドラプソディー / SEKAI NO OWARI】

進撃の巨人が最終回を迎えたそうで。

私自身は進撃の巨人を読んでない………というか、読もうと思ったけど完全に出遅れて断念したんですけども。…正直なところ、私がセカオワで一番好きなのは実写版進撃の巨人主題歌だった「ANTI-HERO」なんですけど、今回は別の曲…「マーメイドラプソディー」です。



2014年に公開された映画「海月姫(主演:能年玲奈)」の主題歌で、シングル曲ではないですが2015年1月14日発売された4thアルバム「Tree」に収録されている曲です。

曲調もいいというか、セカオワといえば深瀬さん的な感じですけど、多分一番のバケモンってNakajinさんなんじゃなかろうかと思う曲なんですけど。
もちろん例外もありますが、セカオワの曲は基本的には作詞がFukase or Saori、作曲がFukase or Nakajinって感じなんですね。それでいてこの曲は作詞Saoriさんの作曲Nakajinさんという組み合わせ。

前述の通り、サビのメロディー感とかすごく好きな曲だったんですよ。発売当初から。海月姫は映画観に行きましたけど、世界観にもマッチしてましたし。
それと同時に歌詞も……テイストとしては一応ラブソング仕立てにはなってるんですけど、根底のところはラブソングとは違う意味を持ってるんだろうなぁと。

元々独特な世界観を武器にヒットチャートで躍進してきたバンドなのであまりそういう印象にはなりにくいんですけど、個人的にセカオワって「主題歌の歌詞書かせたらめちゃくちゃ上手いバンド」だと思ってるんですよね。セカオワに対するイメージの割に、かなり作品のイメージを下敷きにした歌詞を書いてくるというか、作品の補足になる(or作品を捕捉としている)感じの歌詞が多くて。
代表的なので言えば「映画クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!」の主題歌になった『RPG』は映画の内容を総括するような、或いはその延長線上にあるような歌詞でしたし、前述した実写版「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(前篇)」の主題歌になった『ANTI-HERO』は実写映画の酷評っぷりとセカオワ自体が当時結構アンチを集めていた時期だった事が重なり、歌詞自体も映画やそれまでの原作で描かれていたものからは唐突な内容だったので「合ってない」と結構批判されていました。ですが進撃の巨人が最終回を迎えた今、「あの曲の歌詞はクライマックスのエレン(主役)の心情とリンクしてる」「あの曲自体が伏線みたいになってる」と6年越しの再評価と掌返しを達成。なんでもこの曲、制作時点でFukaseさんは原作者の諫山創氏に映画をも飛び越えた漫画の物語の結末を聞いていたらしく、それでこんな感じの歌詞になったんだとか。だからまず、この曲自体も「海月姫の映画を観た後に聴く曲」、或いは「海月姫の予告で挿入される曲」として凄くマッチしてるんですよね。


ただ、ここまでは前振りというか、あくまで「海月姫の主題歌として聴いた『マーメイドラプソディー』」。

ここからは完全に私の主観と偏見100%です。実際にSaoriさんがどういう意図、考えで歌詞を書いたのかはわからないですし、そもそも海月姫の世界観を前提にして制作された楽曲ですし。
あくまで私個人の解釈というか、こういう見方もできるよね程度である事を前提に読んで頂ければ幸いです。



今の時代になってこの歌詞を読むと、まず思うのが「『自由』とはなんぞや」という話です。これが結局、冒頭で述べた「ラブソングであってラブソングでない」というところに繋がってくる訳です。
歌詞中には「自由」という言葉が7回、「不自由」という言葉が8回も出てきますが、サビ以外はこの2語は全て「」付きで記載されています。結局のところ、自由と不自由は対義語でありながらも表裏一体なわけで、「自由がもたらす不自由」もあれば「不自由がもたらす自由」もあると。この歌詞は当時から結構好きだったんですけど、ここ2〜3年の社会の動きというか…色々なものを見ていると、すごくこの曲で扱われる「自由」と「不自由」が相当沁みるんです。


この曲と歌詞は人魚の物語がベースではあるのですが、自由の捉え方は人によって違うし、自由は不自由から生まれ、また不自由は自由から生まれる。そしてそれは時として形さえも変わり、見え方や捉え方だって違う訳で。もちろん、マーメイドラプソディーが主題歌として発表されたのは2014年9月末なので、この曲は遅くとも2014年7〜8月には完成しているでしょうし、今の時勢に反映さえた訳ではありません。ですが当時以上に…例えばTwitterは意見表明の場というよりもポジショントークの場という意味合いが強くなり、求めてもいない代弁者が声を大にする時代です。発売から5年の時を経て、この曲の歌詞の意味は変わってきたなぁ…と。巷で踊る色んなニュースを見てそれを思いました。

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