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独りで何かと戦って、どうにも悲しくなったときにとてもよい、短編小説。たぶん十数分あれば読める。
主人公「私」は太宰治、著者本人。
そんなとき、雑誌社の若い記者が「上野の浮浪者と太宰が一緒に写っている写真を撮りたい」と妙な話を持ちかけたので、太宰は記者と共に上野へ向かった。
太宰は上野の地下道で、10歳前後の浮浪児達が煙草を吸っているのを見かけ、哀れみを感じ、咄嗟に焼鳥を買い与えた。
太宰は、浮浪児達が皆、美男子であったこと、どん底に落ちても煙草を吸わなければならぬことが、どうにも他人事とは思えなかった。
…どうにも孤独で、何かと戦って、悲しくてやってられないときが自分にもいろいろ思い当たる。
それこそ酒や煙草の力を借りないとやってられない。
世の中のせい?自分のせい?何のせいだろうが、やってられるか、という思いが全て。
浮浪児も太宰自身も、他のいつの誰もが皆、この世に降り立つ場所は違えど、翼が消え失せた天使たち。
孤独を感じた時、どんなきっかけでもいい、とにかく視点をぐいっとマクロにすれば、存外に笑えるのかもしれない。