蒼空の巫女たち
深い青空の下、重火器と翼とエンジンに包まれた「巫女」達が超低空を飛び抜けていく。一瞬遅れて轟音が届き、ケロシン臭のする暴風が襲いかかってきて、すぐに伏せなかったことを後悔した。
気を抜けば吹き飛ばされそうな風の中、一瞬甘い香りを感じて、思わず空を見上げる。
巫女の一人が急上昇しながら空中で半回転、追いすがる飛鬼を次々に狙い撃つ。その背後に回り込もうとした飛鬼の一群を、他方からの銃弾が撃ち抜く。
「何してる!早く避難を!」
警官の言葉に返答できないほど、巫女達の空中戦に魅入られていた。
光軸に撃ち抜かれ、巫女の一人の飛行ユニットが火を吹くのを見た。巫女は回転しながらみるみる高度を落とし、住宅地へ墜落。え?僕の家じゃんあれ。
「僕の家だ!」
制止を振り切り、避難路を逆走。家が燃えてる。ドアをこじ開ける。
屋根に大穴が空き、散乱した家具が燃え盛る部屋の中、倒れた少女の姿が目に入る。
僕は炎の中へ飛び込んでいた。
【続く】