SOLITUDE DARKNESS FANTASY 55
パトルが本を閉じると、その表面がまるで生き物のように変形し始めた。ページは重なり合いながらゆっくりと広がり、やがて本全体が一枚の地図に姿を変えた。古代の文様が縁を飾り、地図の中央には四つの印が刻まれていた。印は、それぞれ異なる場所を指し示しており、山、湖、砂漠、そして現在パトルがいる廃墟の位置を示している。
「これが結晶のある場所か……」
地図をよく見ると、ただの道案内ではないことがわかった。印の周囲には複雑な紋様が描かれており、そこには古代の防御魔法や封印の術式が練り込まれているように見えた。これは、ただ辿るだけでは結晶にたどり着けないという暗示なのかもしれない。
パトルは地図を手に取り、再び探索の意欲が湧き上がった。廃墟を出る前に、彼は地図に描かれた四つの場所を頭に刻み込み、まずどこへ向かうべきかを考えた。現在いる廃墟には何も残されていないと判断し、次の目的地として山の頂を選んだ。
地図を持ち、廃墟を出て歩き出したパトルは、森を抜けて遠くにそびえる山の影を目指した。灰色の木々が途切れると、冷たい風が吹き抜け、まるで彼の行く先に立ちはだかる試練を予感させるかのようだった。
その時、ふいに地図が光り出し、パトルの進むべき道を一筋の輝きで示した。それはまるで、古代の魔法が彼の旅を導いているように見えた。