SOLITUDE DARKNESS FANTASY 56
パトルは足を速め、灰色の森を駆け抜けていった。木々の間から次々と虫が飛び出してきたが、大剣を振り払ってそれらを弾き飛ばしながら進んだ。虫たちは再び群れを成して追いかけてくるが、その数は減っていき、やがて森の外れに近づくとほとんど見えなくなった。
灰色の木々が途切れ、目の前には広がる大地と、その先にそびえる険しい山の姿が現れた。冷たい風が吹き付け、パトルの頬を冷やす。その風は、森の中の重苦しい空気とは異なる、まるで清浄な場所へと導かれるような感覚を彼に与えた。
「ここから山を登る……か」
パトルは地図を広げ、山の頂にあるという結晶の在り処を再確認した。険しい岩壁と険しい斜面が、これからの旅を一筋縄ではいかないものだと告げている。だが、彼の胸には、先ほど見た幻影と地図が示した光によって燃え上がる決意があった。
一歩踏み出し、山道へと足を進めたパトルは、岩壁に沿って急な斜面を登り始めた。登るにつれて空気が薄くなり、足取りは重くなるが、それでも彼の目は頂を捉えて離さなかった。地図が指し示す先にある結晶と、そこに秘められた古代の力を手に入れるために、彼は一歩一歩を確実に進んでいった。
その時、不意に足元の岩が崩れた。パトルはとっさに大剣を突き立てて踏ん張り、崩れ落ちる岩を避けながらバランスを取り戻した。気を引き締め、再び登り始めると、山腹のあたりに小さな洞窟の入り口が見えてきた。中からはかすかな光が漏れており、どうやらそこが一つの通過点のようだった。