雨と水たまりとあめんぼの思い出
雨の降る日はほんと憂鬱だ。
朝から降ったり止んだりを繰り返している。用事があって外に出たら、風が思いのほか強く、傘がさすことができず雨にびしょ濡れになり、さらに気分は滅入ってしまう。
カーペンターズの曲「Rainy Days And Mondays」でも、「雨の日と月曜日は憂鬱だ」なんて歌詞があるけれど、大人になった今は、その気持ちが良く理解できる。
この前、今日みたいに雨が降っていた時、外を歩いていたら、下校途中の小学生に遭遇した。こども達は、青やピンクのカラフルなかっぱを着て、じゃぶじゃぶ水たまりに入り、楽しそうに遊んでいた。
それを見て、なんだかふと懐かしい気持ちになった。私も小さい頃は、あんな風に水たまりにじゃぶじゃぶ入って遊んだなぁ。そして、長靴を水浸しにして母親にものすごく叱られたっけ。
そんな風に感慨にふけっていたときに、ふと「あめんぼ」のことを思い出したのだ。最近は、めっきり見かけなくなってしまったが、私の子どもの頃は、雨上がりの水たまりにあめんぼがいるのが、あたりまえの風景だった。
<画像引用元:analogicusによるPixabayからの画像 >
子どもだった私は、あめんぼが雨上がりにどこからともなく現れるのが不思議でならなかった。それに、水面の上をスイスイと移動する生き物を、あめんぼ以外で見たことがない。
「あめんぼって、実は宇宙人かもしれない」。誇大妄想を膨らませて、勝手にワクワクしていた。そうなると、あめんぼが一体どこから来るのか突き止めたくなる。
まずは、早起きして水たまりを見張ろうと考え、いつもより2時間くらい早起きをした。しかし、早起きの甲斐もなく、すでに水たまりにはあめんぼ達が水面をすいすいと移動する姿があった。
もともと早起きが苦手な私は、次の日も早起きして見張ることもせず、そこで諦めてしまったのだ。やがて、「あめんぼ宇宙人説」もあめんぼと一緒にいつしか消えてなくなってしまった。
そんなことを、小学生の遊ぶ姿を見ながら思い出していた。子どものときは断念してしまったけど、大人になった今なら、あめんぼがどこからやってくるのか、はっきりさせることができる。
ということで、早速調べてみると、あめんぼはどうやら飛ぶことができるということが分かった。池や湖など水のある場所を探すために、飛んで移動しているそうなのだ。水面を沈まずにスイスイ移動できるのは、足に生えてる細かな毛からロウ状の成分を分泌して水をはじき、浮力を維持しているからなのだそう。
また、あめんぼは田んぼに生息する害虫をエサとし、駆除してくれることから、古来から益虫とされきた。あめんぼという名前は、飴のようなあまい匂いがし、体が棒のようにも見えることから「飴棒」と呼ばれたことが由来しているようだ。
あめんぼが飛べるとは以外であった。今まで、飛んでるあめんぼなんて見たことが無かったもの。でもこれで、あめんぼの謎がすっきりした。
あめんぼのことを調べながら、子どものとき、雨ふりを愉しんでいた頃の気持ちを思い出してみた。
I walk down the lane
With a happy refrain
Just singin',
Singin' in the rain
「雨に唄えば」の一節。
大人になっても、雨の日をどこかで愉しむ気持ちをもちたいものだ。