60.その後の話
前回からものすごく時間があいてしまった。
私たちのその後を待ってる人はいないだろうが、興味があったらまた読んで欲しい。
結果的にまだ彼とは続いているということは先に伝えておく。
さてどういったことがあったのか書き記そう。
あれから彼の電話にもあまり出なくなった。
彼の電話がかかってきそうな時間を予測して行動するのをやめたから。
その結果、私のスマホの着信履歴には彼からの不在着信が目立つようになった。
かけてもタイミングが合わない方が多いからかけなくて大丈夫だよ、と私が言っても、いや、ワンチャンを狙いたいからかける。と根気強くかけてくれていた。
たまたま出れてもなんとなくギクシャクした。
彼が逢おうと言ってきた。
学がないから、LINEしても文面ではうまく言えないし、全部跳ね返されてしまう。LINEよりも電話よりも、逢って直接話したい。逢ったところで伝えられるかはわからないんだけど。と。
提案を受け入れ、彼と逢った。
私の機嫌が悪くなってちょうど20日が経っていた。
いつものところで待ち合わせて彼の車に乗り込んだ。
彼はごめんなさい。嫌な思いをさせて。と紙袋を差し出した。
私の好きなチョコレートだ。
そしてもう一つ紙袋を差し出した。
リボンのかかった小さな箱。
開けるとピアスが入っていた。
私がピアスを開け、初めてつけるピアスを買って欲しいとおねだりしていた。
彼はそれを覚えていて、買っていてくれてた。
私の好みをわかっているチョイス。
ごめんなさい。ほんとに。と彼が何度か言った。
私は、悲しかったんだよ、嫌だったんだ。と話し始めた。
「私が傷ついてる時はちゃんとフォローして欲しかった。わかってることでしょ。って割り切ってるようなこと言わないで。それならそういう子と付き合えばいいじゃない。そういう感じにされると前に言われたこととかを思い出して悪い方に考えてしまう。夫婦生活がない。子供が家にいるから。2人きりにならないから。って前にあなたは言った。それなら子供が家にいなくて2人きりになったらしたいんかよ。できない理由聞いてるんじゃないよ、したくない理由聞いてるの。奥さんとできないから私とするの?奥さんとできるようになったら私要らないの?したいの?私は代わりなの?普段から仲良くしていて、奥さんとしたいんだったらそっち口説きなよ。」
捲し立てるように私は言った。言葉をぶつけた。
彼の顔を見たら しょんぼり という言葉しか当てはまらないような顔をしていた。
後半部分の私の問いかけに
「んーん、違う。そんなこと思ったこと一度もない。」とだけ答えた。
とにかく嫌だったと言いまくり、彼がそれに対して、「あなたがNo.1なんだ。ずっとそう。そこは全然変わらない。大好きだ。1番大好きで大切。どっか行かないで。」と言った。
「ずっとそうだよ、あなただけ大好きだ」と。また繰り返し言った。
今日、逢いたかったけど半分は怖かった。もう終わりって言われるかとも思ってたから。
どこにも行かないで。別れるとか離れるとか言わないで。あなたがいないと元気が出ない。
そう言われた。
私の気持ちは100%元には戻らなかった。
わがままなのはわかる。どうこうして欲しいわけではない。単に彼を困らせてるだけなのもわかる。
不倫って、単なる性欲の解消なのだろうか。そう思えればいいのだろうか。
彼は、仲の良い家族を演じているだけだと言った。うまくいってる風にしているだけで、家庭内で恋愛しようなんて思いもしない。
あなたが大好きだからあなたとこれからも逢いたい。
そんな言葉を言われた。
そう言われても私は、うまくいってる風でもなんでも、うまくいってるなら別に私は要らないでしょと思っている。
とりあえずこの日は怒りをおさえた。
でも私はもう彼のために時間を合わせたりはしない。
そっちが良ければそっちに行けばいい。私がいいなら私のところにいればいい。私はどちらでも構わない。のスタンスになった。
彼に好かれるようなことは一切しなくなった。
自分のために時間を使うことにした。
友達に誘われたら行くようにした。
気持ちを色々なところに分散させるのが1番だと気づいた。
娘の大学進学による引っ越しで3月はバタバタしていた。
そんなこともあり、気持ちが色々なところに分散していた。
彼はそれ以来挽回しようといつも以上に愛情表現は激しめだ。
私がLINEの返事を放置してると、かなしくなる、彼氏に対する態度じゃない、と拗ねてくる。
そう言われてもなお私は、我が道を行っている。
家庭内でも変化があった。さっき書いたように、娘が大学に進学した。県外に引っ越すので準備や買い物、そして1泊2日で引っ越し作業。夫と過ごす時間が増えた。
娘をマンションに残し、引っ越し先からの帰り道は2人きりだ。
話すこともないと思っていたが、娘を共に育て、送り出し、なんだか達成感でいっぱいになった私たちはまさに戦友で、絆が深まった気がした。
互いに讃え合い、自宅に戻った。
まさに同志。これもまたいい関係だと思った。
彼は私がいない2日間は寂しがっていた。いつもは彼が家族と帰省で何日もいない時私が寂しがると「帰省だからしかたないでしょ」という彼だが、自分がその立場になると寂しかったらしい。
私の気持ちがわかったと言っていた。
それからも定期的に週1会ってはいるし、毎日の電話は今まで通りだ。
ただどうしても、「なんでもいいや」や「戻りたきゃ戻ってね」の気持ちはなくならなかった。
彼も私の変化がわかったようで、なにか心境の変化があるなら教えて欲しいと言われた。
この時彼は色々と私に信用して欲しくて飲んでる時の写真や、ゴルフコンペの案内文書の写真などを送ってくるようになった。
「俺はここにいます」とアピールするためだろう。
思わず私は
「今までは、私以外見ないで!という感じだったけどあれ以来、どこで何をして、たとえばそれで私よりいい人ができたりやっぱりこっちがいいと戻ることがあったとしてもそれでいいと思うようになった。だからどこにいるか写真を送ったりしなくていい。」と言った。
彼は、「あなたよりいい人なんていない。探してもないし、いない。あなただけだ。」と必死になって言ってくれた。
そらそうでしょ、誰だと思ってんのよ と心の中では思っていた。
ずっとそこからその心境。
夜のおやすみも、他の言葉は添えず、おやすみのみ。
彼は必ず、私への想いや感謝を混ぜておやすみを言ってくるが。
そんな状態になってもなお、一応は続いている。
GWに入り、また家族で帰省の日が近づく。
彼は何も言わない。何日に行くのか、何日までなのか言わない。
そんな彼にも苛立つ。
前に約束した、
帰ってきたらこの日に逢おうねの言葉ももちろんない。
家族と仲良くしてればいい。戻ればいい。
適当な言葉で私を繋ぎ止めないで欲しい。
仲がいいふうに振る舞っている彼を想像しては嫌気がさす。
さよならがしたくなってきた。