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54.夢みたいな1日

金曜日。彼がいつもより長く一緒にいられるように仕事や家庭のことを調整してくれた。

とにかくこの日が来るのがとても楽しみだった。

朝早く起きて、シフォンケーキを焼いた。彼が前に美味しいと言ってくれたシフォンケーキ。こんなことくらいしかできないけど、何かあげたかった。


彼が持って帰ることはできないから、カットして2人で食べる分だけを紙袋に入れた。

メイクをして、寝癖を直し、アイロンで髪を伸ばす。少し内巻きにして、可愛らしくしたい。

自分史上最高に可愛くなるために頑張る。

女は誰もがこうなるだろう。とてもウキウキしている。


早く逢いたい。彼に逢いたい。


そう思って準備をした。


タクシーで少し離れたスポーツ店の駐車場に向かう。
メーターが1970円を示した。それならお釣りは要らないと2000円を出し、そのまま降りた。

待ち合わせは11時。あと1分だなーと思っていたところに彼から「着いたよ」の電話。

キョロキョロ探すと大きい車が入ってきた。

車に乗り込み、おはようの言葉を交わした。

ホテルに行き、一緒にお風呂に入った。

長く入っていられない彼は先に上がった。
私はそれから体を洗い、上がった。

歯磨きをしていた彼がすぐさま駆け寄り、「拭いてあげる!」と言う。
大丈夫、自分で拭ける。と私が言う。

これはお決まりのパターン。

歯磨きを終えた彼がベッドで私を待つ。

バスローブを着た私が歯磨きをし始めた。

しなくていいよー。 早くきてー。と彼が私を待つ姿が愛しい。

わざと長めに歯を磨き、ベッドに行った。ハグをしていたら、これ、脱いで。と彼が言う。肌と肌がいい。とバスローブを引っ張る。

バスローブを脱がされて、私たちの愛の時間。

いつもと同じく、丁寧に抱いてくれる。

1回戦は一緒にイッた。この上ないほどの幸せだ。

大好きな彼の重みは全くと言っていいほど気にならない。離れてしまうのが嫌で足でホールドした。

その後シフォンケーキを食べ、2回戦。

シャワーを浴び、昼飲みに向かった。この時点で15時。まだ帰らなくていい。まだ一緒にいられる。ただただ嬉しかった。

セックス後にご飯を食べるのは初めてのことだった。

でも変わらず彼は私の隣に座るし、ご飯を食べながらお酒を飲みながら、時折キスをして、頭を撫でてくれる。性欲が満たされた後でも優しい。心から可愛がられてる気がした。

一年だねー。と何度も彼が言う。
こんなんでいいの?こんなに可愛いのに、こんなんでいいの?といつも思ってるんだ。と言った。

なんで?かっこいいし優しいし楽しいし、最上級だよ。と答えると嬉しそうだった。

拗ねちゃまになるのも可愛いんだよ。可愛いからしゃーねーなってなる。

めんどくさいからやめようと思ったことは一度もない。けど、また拗ねてる…どうしよー!って思ったことは何度もある。と言っていた。


この一年で何が1番嬉しかった?楽しかった?と聞かれ、嬉しいのは毎日嬉しい。地元につれてってくれたのはわぁぁってなったよ。あとはあまり自分から逢いたいとかは言わないようにしてるからこの一年で数えるくらいしかないと思うんだけど、私が逢いたいって言ったらその日か翌日には時間作って逢ってくれるのはほんとに愛されてるなぁって思う。と答えた。


そうなんだよ、だから拗ねることなんてないんだよ。拗ねる必要ないんだ。と力説していた。

私がいて、毎日が楽しい。嬉しい。幸せ。張り合いがある。とも言ってくれた。


私が役に立っているのなら嬉しい。


たくさん食べて、飲んで、たまにキスをし、本当にいつもと変わらない。私がくっついたり、触れたりすると嬉しそう。事が済んだ後だし早く帰りたいんだよなーなどとは全然思ってなさそうなのが嬉しかった。

一軒目を出て二軒目。もう何も食べられないと言う彼に対し私は、メニューの中からラーメンを見つけ、注文。このお店はカウンターだった。ずっと、もう何も食べられない、と言うのでカラオケにすれば良かったねと私が言うと、「それだ!もう出よう!」と二軒目は40分ほどの滞在。

支払いを私がしようとすると遮られた。


カラオケに行く途中、「2週間前くらいにカラオケ行きたいなって思ってて、あなたと行こうと思って、Spotifyにバスタイムっていうプレイリスト作ってずっと風呂場で練習してた」と言っていて、可愛かった。そして、私と行こうと思って、のひとことが嬉しい。

カラオケに行き、2時間歌って合計得点が低い方が支払いをするという勝負をした。悪いが結果は見えてる。あまり上手に歌えない歌をチョイスしていたが、点差は開く一方。一旦喫煙所に行こうと移動した。

すると喫煙所から楽しそうな声が。先客がいるようだった。「誰かいるからあとにする?」と私が言うと、「なんで?だめなの?喫煙所だから入っていいだろ。」とストロングな彼。2人で入るとそこには私よりは年上の女性2人が。
すぐに「こんばんはー」と声をかけられた。
こちらも、「こんばんはー」と返した。

その女性2人は結構酔っ払っている様子で、なかなかに話しかけてくる。

「2人で来られたんですかー?」と聞かれ、「はい。」と言うと、「すごい歳の差ですよね??!」と言われた。彼が「歳は全然僕が上なんで歳の差はありますよ。48なんで。」と答える。
なんとなくこれ以上は触れてはいけないような、そんな雰囲気を察したのか女性2人は「あー。へー。」みたいなことを言って、一本吸った私たちが先に喫煙所を出た。


「歳の差気にしてたね」と私が彼に言うと、「俺の方がだいぶ歳上に見えるんだよ」と彼が言った。
普通のカップルには見られないのかなと思うと少し悲しかった。


終了10分前の電話がかかってきて、あーあ。もう帰らなきゃか…と思っていたら、あと30分延長する?と聞かれ、うん!と答えた。あと30分一緒にいられる。嬉しい。

最後に何曲か歌い、最後はお互いのリクエストに応えるという形に。

彼は私にFirst Love、私は彼にOne more time one more chanceをリクエストした。

ほんとは私が聴くたびにボロ泣きするLOVE AFFAIR~秘密のデートをリクエストしたかったが、少し気が引けたのでこちらにした。

合計得点は、計算するまでもなく私の勝利。彼がお支払いを済ませた。

最後に喫煙所に寄った。そこに行くまでの廊下で手を繋いでくれた。嬉しくて、嬉しくて、私の体が数センチ浮いてるんじゃないかなと思うくらいに嬉しかった。

先ほどの女性たちはおらず、2人で楽しかったね、を言い合った。

エレベーターで3階から1階に降りる間もキスをしてくれた。もうこの時間が終わってしまうと思うと胸の奥がきゅーっとした。


私はタクシーで帰ろうとしたが、彼が代行乗っていく?と聞いてくれて、いいの?と聞き返したら、いいよ。一緒に乗って行こう。と言ってくれた。10分でもまだ一緒なことが嬉しい。

代行に乗り、私の家の近くまで送り届けてくれた。

彼が懇意にしている代行だから、運転手さんから見えない位置で車内で手を繋いでくれた。


おやすみなさいとごちそうさまとありがとうございましたを伝え車から降りた。

家に着いたら22時30分だった。

11時から逢って11時間半。あっという間だったけど、彼がこれほど長い時間を作るのにどれだけ大変だったかがわかるので、感謝の気持ちでいっぱいになった。

大事にしてる。拗ねる必要なんてないんだよ。と言った彼の言葉を思い出した。

その通りだと思う。私は大事にされている。

帰宅した彼から寝る前のLINEがきた。

今日はたくさんの幸せな時間をありがとう。全部大好きだ。楽しかった!!
と書いてあった。


12月は繁忙期でなかなか逢えないから11月は日帰り温泉行こうと言ってくれたのでまた楽しみなことができた。


彼との時間が本当に楽しくて、前に私が勢いで言ってしまった「私には隙間時間しか使ってくれない」って言葉をずっとずっと反省している。

何が隙間時間なものか。きっとありとあらゆる調整をして私との時間を捻出してくれている。

そして一緒にいる時は携帯の着信が鳴らないように、iPhoneのサイドのボタンで切り替えてることも知っている。

普段、昼間はひっきりなしに電話がくることも知ってる。いつも仕事中に電話がしてる時はしょっちゅうキャッチが入って「掛け直すね」と言われるから。

でも私と過ごす時間は、着信音が鳴ったのは初回の時だけだった。その時も、誰からの着信かを見ることもなく、こっちが大事だと電話には出なかった。それからはいつもマナーモードにして目の前にいる私のことに集中してくれている。

きっといろんな人から問い合わせなどが来ていて、翌日は忙しくしてるのだろう。


ひどい言葉を言ってしまったこと、謝りたいのにまだ謝れていない。


私が寂しがらないようにしてくれていることがたくさんある。

今度逢った時に謝ろうかな。今更だけど、ずっと気にしていたこともちゃんと言おうと思う。

彼は、「そんなの全然いいよ」と言うかな。
それとも「ほんとだよ、あれ言われたのはショックだったなー」と言うかな。

どちらにしても彼は笑って言うだろう。

さっきまで彼の笑顔に包まれていたのに、またあなたの笑顔に逢いたいな。


ベッドに入り今日2人で歌合戦した曲でSpotifyの新規プレイリストを作った。


すぐに再生した。あの時間に戻った気分を味わうため。


いつかも同じようなことがあったな。と思い出す。


このプレイリストにどんどん彼との歌を入れていこう。何年も何年も追加し続けていきたい。





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