59.修復不可能
1月が終わり、２月ももう終わりだ。
時が経つのは早い。
1ヶ月のうちに彼に逢える時間はせいぜい20時間くらい。毎日電話をかけてくれるから、毎日繋がっているけれど、顔が見れるのは20時間程度なんだな、そう考えると寂しくなる。
なにもしがらみがなければもっと一緒にいられるけど、毎週1回、4〜5時間の時間が私たちの精一杯だ。
仕方がないことだから、1ヶ月のうちに20時間…だなんて考えないようにしよう。
普通のカップルでも、同じような頻度の人たちもいるだろうし。
抱かれている時にたくさん大好きだと言われる。
逢ってない時でも私は彼が大好きだ。
彼も同じだろう。早く逢いたいと思ってくれてるだろう。
それでなんとかいつも心が保たれている。
ある日いつものように待ち合わせをして、彼の車の後部座席に乗り込んだ。
ちょうど彼が電話中だったため、静かに乗る。
隠れるように後部座席に寝転ぶ。
彼が電話をしてるから、寝転び、ぼーっとしながら運転席後ろの足マット付近を見つめていた。
何か落ちているのが目に入った。紙だ。
手を伸ばそうとしたが、シートベルトをしたまま寝転んでいるため届かない。
よく目を凝らして見た。
ガチャガチャのカプセルの中に入っている説明書の紙だった。
娘さんのだな。と思った。
それ以上考える前に彼の電話が終わり、
「ごめん待たせたね」と声をかけられ、普段通りに2人の時間を過ごした。
帰りも後部座席に寝転びながら紙を見つめた。
なんだか、モヤモヤが始まった。
その日は何も言わずに帰宅し、翌日彼に言ってみた。
運転席の後ろ、なんか紙が落ちてたよ。と。
彼はその場で確認をするとこう言った。
あぁ、ガチャガチャのやつだよこれ。
娘乗せることもあるよ。送迎だってするし。
あ。へー…。
そうだけどさ。
と私が言うと、
ごめーん。怒らないで。と言った。
正直に言おう。なんなのこいつ。と思った。
休日に家族でお出かけしてガチャガチャなんかをして、子どもが後ろに乗るってことは当たり前だけど奥さんが助手席に乗る。
私は後ろに寝転んで乗ってる。
私何やってんだろ。
そんな気持ちになった。
そこから1週間、連絡はするけど逢わない日々が続いた。
1週間後に逢った時もまだ私の怒り虚しさはおさまらない。
元気がないよ、ずっと。どうしたの？と聞かれた。
もう逢わないにしよっかなと思ってる。
悲しかった。と伝えた。
ガチャガチャの紙から想像をしてしまった話と、仲良しなら私要らないんじゃない？と完全に拗ねた。
要るよ！要る！逢わないなんて言わないで。と言われた。
彼の答えは大間違い。
これを読んでる彼女がいる男子は間違ってもこんなセリフは言ってはいけない。
まずは仲良し を否定しろ。
余計に悲しくなった。
嫌な言葉をぶつけた。何を言ったか覚えていない。
帰る時は少しだけ機嫌を直したけど、
ずっと私の悲しみは残っていた。
夜電話が来た時、
彼が何も言わなすぎて悲しみから怒りの感情が強くなった。
思わず、「あなたみたいに、あたたかい場所がある人は私みたいな存在を作ってはいけない。
家族で出掛けることもご飯食べに行くことも日常的にある幸せな家庭があるなら、よそに女を作ってはいけない。」
私はこう言った。
この日彼は、従業員の親御さんの葬儀に出るため4時間運転をしていた日で、大変お疲れの日だった。
それなのに私がこんなふうにキーキー言ってしまった。
彼は「ちゃんと考える。今日はあまりにも疲れて思考回路がめちゃくちゃだから明日考える。」と言った。
到底怒りが収まらない私は、「私への想いを500文字で提出して」と注文を出し、電話を切った。
その夜は普通におやすみがきた。
だいたいなんで普通のLINEが送れるのだろう。ごめんもない。
翌日もおはようと。
嫌気がさす。
もう知らない。
私がどんな想いだったのかを考えてくれると信じながらも、放置されてる気持ちにもなっていた。
その夜、LINEが来た。
500文字以上で、“私の好きなところ”が綴られてきた。
頭の中が、？？？になった。
好きなところ？？なんで？？
あなたが私を好きなことはわかっているわけで。
どうして私の気持ちが伝わらないのだろう。
彼に、「私の好きなところを500文字で言ってって話じゃない。」と送った。
「じゃあなにを500文字で送ればいいの？」と返事が来た。
この人は1年4ヶ月私と一緒にいて、そんなこともわからないのか。がっかりした。
何度かやりとりをしていたら、めんどくさくなってるよね？と言われた。
たしかにめんどくさくなっていた。
勢いで私は
今までありがとうと送った。
もうどうでもよくなった。
その後彼が何度もLINEと電話をくれたけどフル無視。
もうどうでもいいと思った。
伝えても無駄だと思った。
こんなに喧嘩が長引いているのは初めてだ。
もう嫌いかもしれない。