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【悪夢】深い洞窟を突き進むと・・・

洞窟探検中に化け物と遭遇した悪夢の話。

ある自然豊かな山の中に奇妙な洞窟がぽっかりと穴を開けており、命知らずな冒険者を待ち構えていた。
先が見えない真っ暗な入口を前にして、ある勇敢な冒険家グループが無謀にも洞窟の中に入ろうとしているではないか。

何かを成し遂げようとしてグループが結成されたようだが。

私はそのグループの一員だった。
老若男女10名ほどだったが、不安な顔をしているものは居なかった。
洞窟探索の目的は、今となっては思い出せない。
何らかの使命感のようなものがあったのだろう。

洞窟の形状は最初は地下にラダーやロープを使って降りていき、途中で広場があったり横へ続く道があったりする竪横複合洞だった。
最初からかなりの高難易度である。

グループは何の迷いもなくひとりずつ洞窟に入っていった・・・。

真っ暗闇の中、ランタンや懐中電灯の明かりを頼りに先に進んでいくと、途中で洞窟内が人工的なものに変わっていった。
ごつごつした岩肌がコンクリートに覆われた室内に変わっていく様は奇妙としか言えない。

外観は人の手が加わっていないような自然な洞窟だったのに、中は予想外にも人工的な感じである。
人が・・・いや、これは人の手で掘られたものかどうかはまだ分からない。
人外なるモノの手によって造られた洞窟かもしれない。

しばらく歩いて行くと何かの音が聞こえてきた。
地下水が流れている川が見えてきた。
川もコンクリートで固められており、こちらも人工的に作られているもののようだ。

川の流れは洞窟の奥に続いている。
このまま先に進んでも大丈夫なのだろうか?
私は少し不安に感じたが、他のメンバーは黙々と先に進んでいく。

グループは更に奥に進んでいくが、何となく違和感を覚えてしまった。
何かが足りない・・・一体何が足りない?

ああ、人の数が足りないんだ!
途中でグループが2手に分かれてしまっているではないか。
おかしいな、いつの間にはぐれてしまったんだ?

そこそこいたメンバーも徐々に数が減っている。
黙って消えるもんだから、こちらとしては予定が狂ってしまう。

私は2~3人ほどのメンバーと共に奥に進んでいくのだが、はぐれたメンバーと再会できそうな予感はしなかった。

ひたすら黙って突き進んでいく。
川の流れはいつの間にか視界から消えてしまっていた。
コンクリートに塗り固められた洞窟の壁が重苦しく感じる。
今にもこちらに迫ってきそうである。

このまま、何も起きなければいいんだけれど・・・。
変な出来事が起きないことを祈っていたが、そうは問屋が卸さないようだ。

目の前に黒い大きな影が姿を現した!
どうやら巨大生物と遭遇してしてしまったようだ。

ぐるるるるるるる・・・獣の唸り声が聞こえてくる。
メンバーは逃げるどころか奴と戦う気満々である。

姿を確認するために徐々に近づいていくと、茶色と灰色を混ぜたような巨大熊だった。
私達の姿を確認するなり両手を大きく広げて巨大熊が襲い掛かってきた。

もの凄い勢いでこちらに走って来る熊に私は覚悟を決めて交戦モードに入る。

ツルハシやピッケルを駆使して攻撃を仕掛けたり巨大熊の反撃を防いでいくが、奴は軽々とこちらの攻撃を受け流している。
こちらの攻撃は一切通用しない、相手の攻撃を防ぐので精一杯。

まずい、このままでは体力が尽きた時に奴に喰われてしまう!

私は頭の中で「もっと強い武器を使わなければ!」と考えを張り巡らせていたところ、なぜかお祓いで使うようなお札が手に出てきた。

なぜお札が出てきたのか、それを考える暇がなかった。
もう破れかぶれだ!

そのお札を熊に投げつけると熊は大きな悲鳴をあげて消え失せてしまった・・・。

まさか、除霊のお札が通用するとは思わなかった。

目の前に現れた巨大熊は生きている存在ではなくて、死んだ動物霊だったのかもしれない。

熊が消えた後も洞窟探索は続けていたが、奥にたどり着く前にいつの間にか目が覚めていた。

探索メンバーの目的やあの巨大熊の正体は分からないままだ。
まぁ、不安な気持ちにさせられた悪夢だったので、もう二度と見たくはない・・・。