【人怖話】素直に自由に輝く人
とても憂鬱な気持ちにさせられたある話。
上司「系列店にAちゃんって人がいるんだけど、君と同世代なんだよね」
上司「でもね、性格は全然違うんだよ」
私「自由にのびのびと生きているんですか?」
上司「いや~、どちらかというと好き勝手に生きている感じだね」
私「どんな人なんですか?」
上司「家風が自由みたいでね、好きなように生きろ、欲望の赴くままに生きろって教えられたらしいよ」
上司「そして家族関係も良好ときたもんだ」
私「それで、自分の好きなように生きているんですか?」
上司「そうそう、お酒もお金も大好きで異性をいつでも追っかけてる人でね」
上司「自分のやりたいことの為なら何でもするよ、だからスマホの扱いも凄いし詳しい」
私「情報収集能力が高いのは長所だと思いますよ」
上司「でもね、欲望赴くままに生きてるから人に迷惑ばっかりかけてるよ」
私「私はAさんが羨ましいです」
上司「そういえば君の家はかなりややこしいんだったね」
私「親の職業柄仕方ないのは頭では理解しているんですが、昭和時代のカビが生えたような家風ですよ」
私「男尊女卑、男が偉い、女は男の言いなりが良い・・・という家です」
上司「相当苦労してきたね」
私「私はその家風のせいで押さえつけられて生きてきました、そのせいで男性不信で重度の人嫌いになりました」
上司「今は令和の時代なのにね、困ったもんだね」
私「自分に自信がありませんし、ちょっとしたことですぐに動揺してしまいます」
私「今まで人から必要とされてきたという実感もありません」
上司「いやー、僕は君のことは職場では必要な人だと思ってるんだけどなぁ」
私「子供の頃から刷り込みのように言い続けられたことで、そう簡単に考えが変わらないことで苦悩しています」
私「頭では従う必要のない古いしきたりだと理解していても心が過去の言葉に反応してしまうんですよ・・・」
私「親や兄弟の顔色を伺って生きてきて、親戚には舐められているんですよ、だからあまり家族関係も親戚関係も良好ではありません」
私「子孫が途絶えた方が苦しむ人がこれ以上増えなくて済むのにって考えたことはありますね」
上司「あー気持ちは分からないでもないよ、そんな家じゃね」
私「まぁ、兄夫婦も弟夫婦も親戚の人の家でも子供が生まれませんから、滅びは確定していますね」
私「そういう話を元上司にもしたことがあったんです」
上司「どんな反応だったの?」
私「そんなに家が嫌いならさっさと縁切りして失踪すればよかったのにって言われました」
上司「そんなこと言われたんだ?」
私「元上司曰く、さっさと家族と縁切りすればパートの人達からこそこそと影で家の事情のこと悪口言われなくて済んだのに・・・だそうです」
私「家族と縁切りって相当な覚悟が必要ですよね、それを簡単に言われるのもちょっと驚きですが、正論と言われてはそれまでですが」
上司「それはキツイなぁ」
私「元上司がそんなこと言わなければ、私はパート先の人のことを警戒したり不信感抱くことはなかったんですよ」
私「何を思ってそんな情報を私に与えてきたのか分かりませんが、そんなこと聞かされたら誰が味方で誰が敵か分からなくなります」
私「それまでは家の事情のことを心配してくれてていい人達だなぁって思ってたのに、それは偽の顔で裏にはとんでもない本性があったわけです」
私「ただでさえ家族と確執があるというのに、パート先でも確執が出来たら心の休まる場所なんてなくなります」
私「だから表面上だけは冷静な顔をしていますが、実際はもっと複雑な感情が入り混じってます」
私「だからAさんのように自由にのびのびと好きなように生きられる人がうらやましいんです」
私「好き勝手な生き方は時として誰かに迷惑をかけるかもしれません、ですが人は誰かに必ず迷惑をかけて生きています」
私「だから人の顔色を伺って窮屈に生きて人嫌いになるよりは、好き勝手に自由に生きてても人が好きだって人の方が人生充実していると思います」
私「また、自分らしく生きている人に他人は引き寄せられると思いますよ」
私「Aさんがどんな人か分かりませんが、きっと私よりは人が好きで私よりは他人を信じて、私よりは輝いてると思います、私もそういう生き方がしたかったです・・・」
私は話に出てきたAさんがとても羨ましいと感じた。
欲望赴くままに生きていることで周囲に迷惑をかけているかもしれない。
だが、自分の気持ちに素直に生きられるのはいいことだ。
私には眩しく輝いて見える。
私も、Aさんのように自由になりたかった。
自由に生きたかった。
だから、大人になった今では「もう一生独りで生きていってやる、自分を守れるのは自分だけだ!」という気持ちで日々を何とか生きている。
ライオンズゲートの影響だろうか。
ネガティブな思考に陥って過去のトラウマのようなものが引っ張り出された気がする。
強くなったつもりである、冷静な顔をして何食わぬ顔をして生きている。
それは・・・あくまでも私の表に向けている仮面だ。
仮面を脱ぎ捨てて本当の私の気持ち、悲しみの表情を他人に見せる勇気がない。
弱い私を受け入れて、向き合う時期が来たのかもしれない。
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