【不思議な話】悪意の糸とお掃除屋
悪意の糸を垂らす毒蜘蛛とそれを駆除しようとする謎のお掃除屋さんの話。
むかしむかしのお話です。
あるところに大人しくて小さなてんとう虫がいました。
自己主張も出来ず、ただただ限りある命を燃やして生きていたのです。
ひっそりとこっそりと目立つことなくその日を一生懸命生きていました。
誰も、そのてんとう虫の存在に気付きません。
いつも一匹だったからです。
今日もてんとう虫は精一杯生きていました。
誰も居ない場所で大人しくしていました。
また平凡な一日が終わる・・・そう思っていたのです。
ところが。
少し離れた位置でてんとう虫を狙っている存在がいたのです。
目をギラギラと光らせて、今にも獲物に喰らいついて食べてしまおうと考えているもの。
禍々しいオーラを放っている毒蜘蛛が虎視眈々と狙っていたのです!
大人しそうで目立たないてんとう虫の存在に目をつけてしまったのです。
毒蜘蛛は見えない位置で様子を伺います。
てんとう虫はひとりぼっちです。
誰も側に居ません。
ニヤリ!
毒蜘蛛はチャンスとばかりに蜘蛛の糸を垂らします。
何も知らないてんとう虫は糸に絡まれて身動き取れません。
何ということでしょう、てんとう虫は恐ろしい毒蜘蛛に食べられてしまいました!
運が悪かったのでしょう。
てんとう虫は毒蜘蛛の餌として狙われてしまい、誰かに助けられることもなく短い生を強制的に終えてしまったのです。
自分の思い通りに事が運んで毒蜘蛛は大満足です。
何日かして、また毒蜘蛛は獲物を探しておりました。
また、大人しそうなてんとう虫を見つけたのです。
獲物を見つけたぞ、この前のように糸で絡めて食べてやる!
毒蜘蛛は様子を伺いながら糸を垂らします。
するするする・・・てんとう虫の前に降りてくる糸。
危ない!
また食べてしまうのか!?
ガシッ!
グチャッ!
嫌な音が響きます。
狙われたてんとう虫は何食わぬ顔をして飛んでいきました。
どうやら無事だったようですが、毒蜘蛛はどうしているのでしょうか?
・・・何と!
無残にもグシャグシャに潰されておりました。
一体なぜ?
誰が毒蜘蛛を潰してしまったのでしょうか?
???「悪い虫は駆除完了・・・」
毒蜘蛛を退治したのは人間でした。
てんとう虫には天敵だった毒蜘蛛をいとも簡単にやっつけてしまいました。
以上が悪意の糸とお掃除屋のお話である。
さてさて、この昔話を書こうと思ったきっかけとなったある興味深い話を今から書いていこうと思う。
あれは15年以上前だった。
数々のトラブルに悩んでいた私にある人がこんな話を聞かせてくれた。
「嫌がらせを受ける人と企んでいる悪意ある人がいるんだけどね」
「何も知らない人の前に悪意の糸を垂らすわけよ」
「何のためにあるのか分からないまま絡み取られるわけ」
「で、抵抗することも出来ずにやられてしまった」
「でもね、悪意ある人にも天敵がいるわけよ」
「悪い奴をしばこうとするものはたくさんいる」
「例えばさ、虫が嫌いな人は簡単に虫を駆除するでしょ?」
「ましてや毒持ってるって分かったら速攻でやっちゃう」
「姿を見かけた瞬間に殺虫剤撒いたり側にある道具で叩き潰すでしょ」
「どんなに自分は強いと粋がっている人にも叶わない相手がいるわけよ」
「強いと思っていたらいつの間にか谷底に落とされてるとかね」
「一見すると弱そうな奴だと思ってても、どんな手段で排除してくるか分かったもんじゃない」
「悪い奴にも敵がいる、それを排するお掃除屋さんがいるもんだ」
「どこから見てるか分からない、だから怖い」
「ちなみに、お掃除屋の中には人外だっていると思うよ」
「世の中には想像を絶するようなとんでもない存在がいるからね」
「まぁ、悪いことしてたら目立つから、狩り取られても仕方ない」
「まさに自業自得、因果応報」
「弱い強いは相手によって変わるというわけだ」