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【悪夢】幽霊会議
幽霊が会議を開いて誰かに反撃しようとしていた悪夢の話。
ある年の少し寒い時期に見たある悪夢について少し触れてみようと思う。
今まで見たことのある悪夢の中でも少し変わった内容だったのでよく覚えている。
気が付いた時には夢の世界に居た。
子供の頃に住んでいた田舎の古い一軒家の和室で眠っていたところからスタートした。
う~ん、う~ん・・・私は悪夢に魘されていた。
真っ暗な部屋の重苦しい空気が体を締め付ける。
動きたくても動けない。
どうやら金縛りにかかっているようだ。
周辺には暗い気配が蠢いており、ただ事ではないと感じた。
得体の知れない者達が私の側にいるが、それは様子を伺っているようだった。
一体何が起きているのか。
何故、気配は動こうとしない?
下手に抗っても先は見えなさそうだ。
成り行きに任せるしかないと思ったところで目が覚めた。
しかし、目覚めたのに夢の中と同じ場所だったことで、これは夢であることに気が付いた。
まさかの悪夢の多重夢である。
過去に多重夢を見たことは何度もあるが、悪夢の中の悪夢とは何とも奇妙な出来事だろうか。
ふと、何かの声が聞こえてきたので、そちらに視線を向けてみる。
それは隣の部屋からだった。
和室の隣には私の部屋があり、古びた机の上にはパソコンが一台置いてあった。
電源は入っており、検索サイトのトップページが開かれていた。
だが、なによりも驚いたのは机の周辺に黒い人影がわらわらと集まっていたことだ。
成人ほどの大きさの人影が複数、パソコンのモニターを確認しながらぶつぶつ何かを呟いていた。
幽霊A「こいつをどうするか?」
幽霊B「奴はとても迷惑な行動を取った」
幽霊C「徹底的にやってやろう」
幽霊D「こやつの罪状は何だ?」
幽霊E「名誉棄損だ」
幽霊B「そうだ、悪い奴だから許してはいけない」
幽霊D「こいつの悪事をどうやって裁いてやろうか」
幽霊A「まずは悪事を告発するべきだ」
幽霊E「どこに公開するんだ?」
幽霊B「ネット上に公開するのはどうだ?」
幽霊C「そうだな、ネット上で奴の悪事を公開してやるか」
幽霊D「相手の動きを見て次の手を考えるか」
どうやら、幽霊は誰かの悪事に腹を立てているようだ。
私は再びパソコンのモニターを確認してみた。
そこにはある人物の名前と何をしでかしたのかがでかでかと記されていた。
それを書いたのは幽霊達だと分かった。
私はぞっとした。
複数の幽霊に恨みを買うような行動を起こした人物の身にこれから先に起きることを考えると少し寒気がした。
・・・幽霊は私の存在を感知できないのか、相変わらずパソコンのモニターを眺めながら話し合いを続けている。
恨みを買った人物は一体どうなってしまうのか、まぁ、悪いことをした以上は自業自得なのだろう。
放っておくしかない。
気付いたら目が覚めていた。
いつもの私の部屋だった。
今度こそ本当に目が覚めた。
・・・幽霊達に恨まれている人物の名前には心当たりがある。
リアルでの知り合いではなく、ネット上で少しだけ関わったことがある人物だ。
といっても、ロクな記憶がない。
嫌な思いをさせられた相手だからだ。
もう二度とその人と関わりたくないし、名前すら見たくないと思っている。
その人との間にトラブルがあったのは悪夢を見る半年ほど前であり、もう忘れかけていたというのに、なぜ今になってこんな悪夢を見てしまったのだろうか。
もしかしたら、私の無念な気持ちがまだ心の奥底に残っていたことと、被害に遭った別の誰かの強い恨みや苦しみの想念が私の集合的無意識と繋がってしまい、複数の人間の記憶と念が夢を通じて幽霊界の何者かに届いてしまったのかもしれない。
人の魂は眠りについている時にはあちら側の世界、魂の本来の居場所となる世界に戻っているという説があり、その途中で幽霊の世界にも踏み込むこともあると聞いたことがある。
あれから何か月も経つがあの幽霊達は私の夢に出てくることはない。
悪事を裁くことは出来たのか、それともまだ話し合いをしているのだろうか?
悪夢の中の幽霊達は一体何者なのか。
誰かの悪事を裁いてやろうと話し合いをしていたという事は、幽霊界の裁判官のような存在かもしれない。
敵ではなさそうだが、味方と言えるのかどうかも分からない。