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【不思議な夢】ムシとり器
宇宙人が意外なモノを欲しがっていた不思議な夢の話。
気付いた時には夢の世界に居た。
見覚えのない知らない部屋に学習机とベッドが置かれており、昼間の明るさの中で眠りについていた。
すやすやすやすや・・・最初は気持ちよく寝ていたのだが、ふと気配を感じて目が覚める。
夢を見ているのに夢の中でも寝ているのは面白いものだが、目が覚めてもまだ夢の中だった。
何となく窓に目をやると、すぅ~っと何かが部屋に侵入してくるではないか!
閉じられた窓を開けることもなく素通りして入ってきたそれは地球人とはほど遠い容姿をしていた。
灰色のボディに真っ黒な大きな目がついている。
よくテレビで扱われるあの宇宙人に似ているが、それよりは少しばかり可愛さがある。
宇宙人は部屋の中を物色している。
しばらくすると、あるモノの目の前で動きが止まる。
ひたすらそれをじ~~っと見つめていたのだが、す~っと長い手を伸ばして掴もうとしている。
ムシとり器。
部屋に吊るしておくと小さな虫を捕縛することが出来るという便利なあのアイテムだ。
そのムシとり器が何故か未開封の状態で数十個陳列されている。
宇宙人はそれが気になっているようだった。
ただ、部屋に置いてある以上は私の所有物だと思われるのだが、私の許可なく勝手に持っていこうとしていた。
声が出なかったので宇宙人をガン見すると、相手もこちらに気が付いた。
バツが悪かったのか、何も盗らずにそそくさと逃げ帰って行った。
その時も窓を開けることなく素通りしていった。
・・・あの宇宙人は一体何者なんだ?
もしかしてムシとり器が欲しかったのだろうか。
あれだけたくさんあったのだから、ひとつくらいあげてもいいはずなのに、その時ばかりは「勝手に持っていくな!」と思っていた。
しーんと静まり返った部屋での一瞬の出来事に何が何だか訳が分からないまま再び眠ることにした。
数分後、またしても気配で目が覚める。
また、窓の方から感じる。
・・・やれやれ、またあの宇宙人が戻ってきたのか?
視線を向けると何かが勝手に入って来るではないか。
前回と同じように窓を開けることもなく、素通りで先程とは違う宇宙人が入ってきた。
今度は薄紅色のボディが印象強い、見たこともないような外見の宇宙人だった。
部屋をきょろきょろして何かを探しているが、大量のムシとり器を発見すると、迷うことなくそれを手に取った。
ぎゅっと握りしめて勝手に持ち去ろうとしたので、好きにさせるかと言わんばかりに宇宙人をガン見する。
私の視線を感じた宇宙人は驚いたのか何も盗らずにすごすごと逃げ帰って行った。
また部屋は静かになる。
ポツンと置かれているムシとり器を眺めながら、なぜ宇宙人はこんなものを欲しがるのだろうかと考える。
実は宇宙人の故郷には小さな虫が大量発生でもしているのだろうか?
だったら地球産のものを使うよりは故郷で生産されているものを使えばいいと思うのだが。
彼らには地球産のムシとり器が魅力的に見えるのだろうか。
私達地球人は100均やホームセンターで簡単に手に入るものなのだが・・・。
宇宙人よ、何故それが欲しいのかちゃんと説明さえしてくれればあげたかもしれないのに。
黙って持っていこうとするからいけないんだよ。
そう思った瞬間に目が覚めた。
何故か宇宙人がムシとり器を欲しがるという面白い夢を見てしまった。
今度買ってくるから、また夢に出て来てくれないだろうか。
その時には欲しがる理由を尋ねてみたいものである。