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【心霊体験】コンパクトミラー
所有者不明のコンパクトミラーがあるモノを引き寄せた話。
パート先の事務所にはパソコンを囲うように設置されている台がある。
その上にはカラーペンや神社で購入した札などが置いてある。
ただ、綺麗に置かれているわけではなくて乱雑に置かれており、前々から見苦しいと思っていた。
そんなある日のことだった。
小さなコンパクトミラーが台の上に開かれた状態で置かれていた。
鏡の面を事務所の窓に向ける形で置かれており、私は嫌な感じを受けた。
最初はパートの誰かの忘れ物だろうと思っていたが、開いたまま置くような大雑把な人は居ないはずだが・・・。
私は一瞬寒気がした。
背中がぞくぞくしてドブ臭いニオイが充満してきた。
嫌な気配もしてきた。
気配の方へ顔を向けると。
出た!
恨みがましい顔つきをした女の幽霊が突っ立っていた。
私から5メートルほど離れた場所にそれは居た。
グレーのワンピースを着ており、髪はぼさぼさでソバージュのように波打った髪は腰までの長さがあった。
女の幽霊はじーっとこちらを凝視していた。
予想外の出来事に私の思考は一瞬で固まってしまった。
こんなにはっきりと幽霊の姿を見たのは久しぶりだからだ。
なぜ、幽霊は私の前に姿を現したのだろう。
何も考えられず、動くことも出来なかった。
瞬きした瞬間に女の霊は消えてしまった。
その日は偶然霊感のある社員がパート先に来ていたことで、先ほど私が体験した出来事を説明することにした。
すると、こんな返事が返ってきた。
「それ、完全にとばっちりだね」
「君の上司の〇〇の背後には大量の女の霊が憑いているが、そういう女も憑いていた」
「おそらくは〇〇から離れた瞬間に鏡に引き寄せられてしまったんだろう」
「運が悪かったのか、偶然波長が合っただけかもしれないが、離れて漂っているところを目撃しただけ」
「心配しなくていいよ、憑いてるわけじゃないし、害を及ぼそうとしてない」
私は安心した。
私が見たグレーのワンピースの女の霊は私の上司に憑いていたものが離れた直後に私と波長が合ってしまっただけだったのだ。
問題のコンパクトミラーは誰がそこに置いたのかは分からないままだ。
誰に聞いても知らないと言う。
一番考えられるのは、女の幽霊に憑かれていた上司が無意識に置いたのかもしれないが。
謎の多いコンパクトミラーはもう処分してパート先には存在しない。