【人怖話】コンビニの理不尽な話2
真面目な人ほど損をする、ずる賢い人は影で何を言われようが気にしなければ強気でいられる。
周囲の人間達は自分に害が及ばなければ他人事、対岸の火事状態。
だが、いざ自身に降りかかるとギャーギャー騒ぎ立てて煩い。
ずるい人間は何があってもお咎めなし。
放っておかれるから調子に乗って暴走を始める。
そうなると余計に止められない。
むしろ誰も止めたくない、だって、面倒なことに巻き込まれたくないから。
立場の弱い人が苦しもうが知ったこっちゃないと見て見ぬふりばかりなり。
こんな理不尽な世の中にため息しか出ない。
前回更新した内容はコチラ。
研修を受けずに一番忙しい土日のシフトを希望し、周囲を振り回した男性バイトの話。
ちなみにそのコンビニはすでに閉店しており、当時のメンバーが今どこで何をしているのか全く分からない。
それでも、多少はフェイクを入れることにする。
ケース2 自称店長の右腕だが実は・・・嘘で塗り固められた女
ぽっちゃり体型だがどこか愛嬌のある30代女性の吉岡さん(仮名)。
彼女は本業としてコンビニに働きに来たバイトだが、ケース1の池田さんとは別の意味で強烈な存在だった。
ぱっと見は愛嬌があって人当たりの良さそうな顔をしている。
他人との距離感をうまく取れるようで対人スキルが高そうにも見える。
経営者曰く「今まで働いてきたコンビニでは立場はバイトでも店長の右腕として大事にされていた切れ者」らしい。
そのために経営者も店長も吉岡さんに期待しまくりだった。
だが、研修期間が終了してから、吉岡さんの目の輝きが少しおかしい。
何か企んでいるような感じだ。
他のバイトはあまり気にならなかったようだが、勘の鋭い私はすぐに疑いの目を向ける。
この人は何か企んでるかもしれないが・・・表向きの顔は人が良い。
こちらの動き方ひとつで自分の方が窮地に陥るかもしれない。
しばらく様子を見て、彼女の様子にどんな変化が起きるかチェックしよう。
私の警戒心を察知したのか、はたまた採用されたことで油断したのか。
1週間もしないうちに本性が露わになった。
そう、やはり裏の顔があった。
経営者や店長が評価するほどの人間ではなかったのだ。
一番最初に気になったのはマウントを取って相手を下げる発言がちらほら出てきたことだ。
あるバイトの男性はパソコン関連の資格を所持しているのだが、吉岡さんはそれを上回る資格を持っていると自慢しつつも、「私って〇〇って資格しか持ってないんですよね、大したことないんですよねー」とバイトの男性に自慢をする。
その話を聞かされたバイトの男性は気まずそうにしている。
自分の持っている資格より上のランクのものを所持している相手のじわじわと圧力をかけるような物言いは精神的にくるものがある。
それは裏を返せばバイトの男性が持っている資格の価値を認めていないようなもの。
そもそもその資格ですら取得するのが大変だと思う。
大変な思いをして取得した資格のことを下げられてはいい気はしない。
吉岡さんの意図はすぐに気付いた。
マウントを取って相手を下げることで精神的に優位に立ちたいのだろう。
そのためには自分の凄さを見せつけることが一番てっとり早い。
またあるバイトの女性はレジに立っていた際にやたらと横から変な視線を感じたので、それとなくその方向を確認してみると・・・吉岡さんがむすっとした表情で見ていたという。
その日の夜にバイトの女性のLINEに吉岡さんからメッセージが届いた。
内容は・・・サービス残業を強要するような内容だった。
サービス残業は経営者や店長からは禁止されていたために、バイトの女性はそれを守っていたが、吉岡さんはサービス残業は善意でやるべきだ、そんな簡単なことすら出来ないのか?みたいな感じでバイトの女性を罵ったそうだ。
バイトの女性はすぐさま店長に吉岡さんから届いたLINEの内容を見せて事情を説明した。
店長は困った顔をしながらも「吉岡さんが居ないとお店が回らないから」とバイトの女性をなだめていた。
資格持ちの人が居れば、そのプライドをへし折ることを平気でするし、コンビニの作業で大活躍しているバイトが居ると嫉妬の念を向けて無理難題を吹っかけて混乱させる。
こんな人が本当に店長の右腕として重宝された人物なのか?
みんな不審に思いながらも店長が褒めまくるから誰も意見が言えなくなった。
ただ、この吉岡さんだが、私相手には得意技が通用しなかった。
まず、私がどういう人物なのかを一切教えることはしなかった。
アレルギーを持っているから食べられる物と食べられない物がある、くらいの情報しか与えていない。
さすがにアレルギーに関してマウントを取るのは難しいと感じたのか、何とか私をやり込めようとしてきたものの、私の能力について下げる発言をされても人それぞれ個性は違うと理解しているので逆に「私はあなたと違って大したことない人間ですよ」とさらっと言い返したし、むすっとされても知らん顔、LINEのアドレスなんて教えてなるものかと思っていたので教えなかった。
私への嫌がらせがなかなか通用しなかったことで、段々ボロが出始めてきた。
この頃には店長も吉岡さんの裏の顔に気付き始めたらしく、そのことで店長と吉岡さんの間にちょっとしたトラブルがあったという噂も耳にした。
ちょうどその時に、経営者から呼び出される。
どうしたものかと少し不安になって事務所に足を運ぶ。
経営者「急で悪いんだけど、月曜日から〇〇店の方へ行って欲しい」
私「何か理由があるんですか?」
経営者「〇〇店には××って男が働いているんだけどね、車の免許持ってないんだよ」
経営者「その割には自宅はこのお店のすぐ近く」
私「××さんは家族の方に送り迎えしてもらっているのですか?」
経営者「そんな感じだね、だが、その家族がそろそろめんどくさいからやりたくないと文句を言ってるらしい」
私「自転車で通うにも遠い距離ですね」
経営者「そこで、君は確か面接の時にそっちのお店でもいいって話してたよね?」
私「はい、よく知っている場所ですし」
経営者「そこで、君と××君を入れ替える形にしたいんだ」
私「了解しました」
経営者の頼みで私は系列店の〇〇店に異動となった。
月曜日になり、〇〇店へ足を運ぶ。
そのお店の従業員達は・・・何と吉岡さんのことをよく知っていたのだ。
過去に吉岡さんと一緒に働いたことがあり、彼女の裏の顔もよく知っていた。
過去の彼女の失態なども従業員達から語られる。
なるほど・・・嘘で塗り固められた女だったのか。
資格を持っていることも店長の右腕と言われていたことも嘘だった。
あとで経営者から聞いたのだが、吉岡さんは〇〇店にだけは行きたくないと不満を漏らしていたらしい。
私に話が来たのはそういう理由もあったとのことだった。
まぁ、吉岡さんも素性を知られている人ばかりのコンビニになんて行きたくないわな。
結局は吉岡さんの弱みをたくさん握る形となったが、それを生かすチャンスはなかった。
何故なら・・・。
吉岡さんはミスが多すぎたことで経営者を怒らせてしまい、遠くの系列店に飛ばされてしまった。
その後は無断欠勤を繰り返してドロンと姿を消されたそうだ。
経営者が言うには今どこで働いているのか分からないとのこと。
・・・うん、私は知ってるよ。
吉岡さんは私の家の近くのコンビニで働いているよ。
何で知ってるのかって?
私が近所のコンビニに買い物に行ったらレジに立ってたんだよ。
吉岡さんは私の顔を見るなり変な表情していたよ。
そうだよね、困るよね。
吉岡さんの本性を知ってるからね。
でもね、言わないでおくよ。
だって・・・。
私とは無関係の場所で働いているから。
ずっとそこに居てくれたら私は何一つ嫌な思いしなくてもいいからね。
その場所でどんな嘘をついてるか分からないけど。
一切手出ししないから気にしないでね。
まぁ・・・近所だから高頻度で買い物には行くけど。
と、思ってたら数週間で居なくなっちゃった。
で、少し離れたコンビニに食玩チェックのために買い物に行ったんだけどね。
あらら、居たよ、吉岡さん。
今度はそこで働いているのか。
私の顔を見るなり不機嫌になったんだけど。
私何もしてないよ?
それに私だってあなたの顔を見たいとも思わないし。
ただ、食玩チェックしに来ただけだから。
もちろん、何もしないし言わないよ。
だから安心してそこで働いてね。
と、思ってたらまた数週間後に姿晦ましてた。
私は食玩チェックのために色々なコンビニに買い物に行ってるだけだから。
別に吉岡さん探してるわけじゃないから。
きっと日頃の行いが悪いから見つかるんだね。
でもそれは自業自得だね。
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