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フィンランド滞在記㉘

㉘イナリの古民家(3日目)

3日目の朝。窓を見ると紅葉が来ていました。

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そろそろこの辺りでも始まるのかな、紅葉の季節。

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離れの小屋を出ると、母屋の庭にトナカイを発見。
普通に放し飼いにしてあり、ほんの数メートルの距離。
隔てるものは何もありません。
こちらに気づき、またまた離れていきました。
(この理由は次の日に分かることになります)

流しの水を庭に捨て、シャワーを浴びて離れに戻り、朝食。
籠の中の薪をほとんど使い切ってしまいました。サウナの方も。
新しく調達しないと…。

母屋に行こうとした時、ちょうどおじいさんを発見。
薪の場所を教えてもらいました。
離れの1階に積んであります。
切ってすぐは湿気が多いからこうやって乾燥させてあります。
籠に薪を入れてサウナ側、離れ側どっちも補充。
グリルコタの横に薪割り台(切り株)と斧を発見。
少し薪割りして、小さな薪も忘れずに準備。
(これも今年の経験が生きてるなぁ…。5月のフィンランドと8月のLAMP野尻湖で薪割りをやりました)

部屋で着替えて今日もハイキングの準備。
外へ出るとおじいさんが木材の山の近くで台車に丸太を入れているところでした。
薪を作るつもりなのは見てて分かります。
近づいていってご挨拶。
上手く言えそうになかったのでスマホで翻訳画面を見せました。
「薪割りするなら手伝います。日本でもやっていたのでオノの扱いは慣れていますから」
おじいさん「ありがとう。今すぐにはやらないから大丈夫だよ」
笑顔を見せてくれたので手伝いたい気持ちは伝わったと思います。

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昨日と同じようにハイキング開始。
今度は昨日行かなかった脇道の方にも行ってみました。
別の民家があったので引き返したり、湖や広い土地に出たり。

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道路で動物の足跡も発見。
おそらくトナカイです。
今朝も庭で見かけたことから、今日は柵の外に放しているようですね。

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昨日と同じようにメイン道路まで出ていって、湖で休憩。
同じ景色をずっと見ているのですが、まったく飽きが来ません。
昨日よりも少し遅めに引き返し始めました。

帰り道、行き先の方から車が。
今日はおじいさんとおばあさんが乗っています。
「やあ、これからSajos(サヨス。イナリ中心部にあるサーミカルチャーセンター)にミュージックショーを観に行くんだ。夜には戻るよ。向こうで妻の妹家族にも会うんだ。良かったら一緒に来ないかい?」
(うーん。帰ってサウナの予定だったけどどうしようかな。ひょっとして昨日のベリー摘みの時も誘ってくれようとしたのかも知れない)
「楽しそうだね。行きます!」
車の後部座席に乗り込みました。

おじいさんは僕に色々と解説してくれます。おばあさんと僕はほとんどしゃべりません。でも、人見知りなだけで、おじいさんにはよく話していました。長年連れ添って出来た関係なんだろうな…。

18km走ってSajosに到着。イナリの中心部。
駐車場にはたくさんの車が停まり、多くの家族連れが建物に入っていきます。入り口にはこんな看板が。

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おじいさんよるとダンスあり、ミュージックあり、トークありの楽しいショーらしい。

チケットを買って、ホールのソファーに座って待っていると、奥さんの妹さん夫婦が登場。小さいお子さんも3人。「はじめまして」とご挨拶。子どもたちは僕を不思議な目で見ています。ロヴァニエミの時と違って嫌な感じはしなかったです。ホストファミリーとの繋がりのせいかな。
2家族で座って待っていると若いフィンランド人夫婦が挨拶にやって来ました。もうひとり、アジア人女性を連れて。

日本の方でした。僕と同じくAirbnbで滞在中とのこと。
こんなこともあるんですね。今までの道中の話を交換しました。
彼女は南の方で農場ボランティアで1ヶ月滞在してきて、帰国前にこのイナリにやって来たそう。日本語いっぱい喋れて良かった…。

開場時間になり、大ホールへ入場。
200人ぐらいのキャパシティー。
「イナリにこんなに人が居たの!?」が正直な感想でした(笑)
家族単位で並んで座ります。ほぼ満席。

コンサートが始まる前のザワザワした空気のなか、僕は得も言われぬ一体感、安心感を感じていました。
「あなたはみんなの家族。ここに居ていいのです」
そう思わせるような気持ち。
それは、日本でも感じたことのない不思議な気持ちでした。
ここにいるフィンランドの人たちが、ホストとして、ホストの家族として僕を受け入れてくれたからこそ、感じるものだと思いました。

コンサートは、サーミ人の衣装をまとった女性の独演から始まりました。
前座的な位置づけですが、このSajosでの彼女の演奏は特別な意味があったと思います。観客席からは、なにか尊いもの・大切なものを観ているという雰囲気を感じます。そう、例えば国歌斉唱を観ている観客席のような感じ。
彼女の楽器の音と歌声だけが響きます。それがヨイク(※サーミ人の文化における伝統歌謡あるいはその歌唱法)であることは僕にも分かりました。
僕もまた、尊いものを受け止める一員として神聖な気持ちで聞いていました。

独演が終わり、メインキャストが登場。5人のアーティスト。リーダーでまとめ役のDJ。男性ブレイクダンサーと女性バイオリニストがペア。男性ラッパーと女性クラシックバレエダンサーがペア。
二組のパフォーマンス対決。
お互いのパフォーマンスを出し合います。出し合ったら観客の拍手の量で勝ち負けを決めます。3~5セットくらいあったかな。
ひとりひとりの完成度が高く、個性が上手く調和していました。

目を引いたのがクラシックバレエの女性。凛とした強い女性の雰囲気。
開演前に見た感じだと彼女が座長のようでした。
ひとりクラシックバレエの世界を表現し、クールな感じがしていました。
…ところが後半、彼女は観客を巻き込んだジェスチャーゲームを始めます。
動物(カエルとか)のマネをしたり、恐竜のマネをしたりして、最前列の子どもたちに当てさせます。彼女のギャップ、プロっぷりが良かった。
そして子供達が生き生きしてるのも印象的でした。
無邪気な笑顔で笑い声を上げて動物を当てていきます。
彼女が犬のモノマネをした時、「Sushi!(スシ。フィンランド語で狼の意味)」と叫んでて面白かったです。

あっという間にコンサート終了。
日本人女性のホストにもご挨拶してお別れ。
夜9時前に家に到着。
離れに戻って、さて、サウナを温めようかな…と準備してたらノックする音が。

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おじいさんが夜食にベリーパンを持ってきてくれました。
聞いたら、おばあさんの手作りとのこと。
感謝とお礼を伝えて、味わって食べました。
ほんとに美味しかった。
もう一つ、明日の最終日の朝に「母屋へおいで」と。
朝のコーヒーを一緒に飲もうと誘ってくれました。
「はい、必ず行きます!」と答えてお別れ。

遅めの夜サウナをじっくり味わって、眠りにつきました。
ちなみに昨日も今日も雲が暑くてオーロラは見えず。。
明日からのイナリ湖湖畔のコテージ生活に希望を託しました。






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