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Chapter 2
どうも。
しつこいようですがハンモックビルダーのじろうon the trailです。
最近はなかなか製作が進まずにイライラ気味です。
…
さて、そんなこんなでmyogerになるべく情報を集め始めたわけですが、何せ情報がない!
まずは海外フォーラムを漁りはじめます。
グーグル翻訳が変な日本語に訳すので、なかなか苦労するねこれ。
thread injectorはミシンのこと。
toastyは暖かいこと。
日本で言うガレージメーカーはコテージベンダーとか、ベッドルームメーカーとも呼ばれてたな。
HIKER TRASHなんかはすごく好きな雰囲気の言葉で、思わずおーっ!って言っちゃったのを覚えてる。
グーグル翻訳が変な日本語を叩き出すもんだから、素人のおじさんは大変でしたよ。
ただ、こういうスラングをコミュニティ内で作り出すのは、人間のサガ。。。
HIP HOPなんかもそうだもんね。
夢中でGANGSTA RAPを聴き漁った頃を思い出したよね。
日本で言うと、“チョベリグー”みたいなのも同じ感じなのかね?
古い。
つまり、スラングを持つことでコミュニティの結束が増すんですね。
同じコミュニティの人間であれば、はじめましての人ともある程度通じ合えるようになります。
ハイキング/myogコミュニティの人達も例に漏れずボクを暖かく迎えてくれました。
Hey JIRO!
Welcome to the trail !
Let's HANG !
…
ところで、ギアを選ぶ時に
“こんな風にしたら便利なのに。。。”
“こんなのあったらカッコいいなぁ!”
ってことがあると思います。
経験を積んで、自分の歩き方が分かってくるとなおさら感じると思います。
そこで改造です。
バックパックの使わないストラップ類を外してみたり、なんかよくわからん小物を取り付けてみたり。
あまりに取ったり外したりするもんだからヴィンテージものみたいになっちゃった米軍払い下げのフレームザック。
どこの戦場を渡り歩いてきたの?ってくらい。
アメリカ海兵隊にいそうな顔とかはよく言われますが。
センパーファイ!ガンホー!
でもこういうの捨てるに捨てられないんだよね。
何も1から全て作り出すのがmyogではないんですね。
改造から自作まで含むのがmyogってことね。
つまり、自分のスタイルでハイキングするためにギアをいじることって定義かな。
まぁ向こうでは単純にDIYっていうことが多いようです。
DIY…日本ではなんだかのどかなイメージの言葉ですね。
お父さんの日曜大工的な。
日本では手作り品に対してなんかコンプレックスじみたものを感じちゃいますね。
必要以上に誉めてみたり、逆にクオリティが低いと思われたり。
誉めるときも(素人なのに)スゴーイ!っていう枕詞が透けて見えてしまう。
ひねくれててごめんなさい。
でもね、ハイキングなんてスポーツマンでもなんでもないただの素人が何十㎞、時には何百㎞も歩くんですから、そんなギアで良いと思ってます。
壊れたら直せばいいし。
そして、アメリカのガレージメーカーのタグやウェブサイトには必ずと言って良いほどこんな風な言葉があります。
Handmade and proudly made in the USA
…
初めてのハンモックはガタガタ。
いざ設計となってヘネシーのあっちを計り、こっちを計りしてみたものの、なんかしっくりこないんですね。
そこで少し視点を変えて、各部寸法の比率を出してみたのだ。
比率が分かれば、ボディ本体の寸法を変えても納まるはずです。
しれっとそれっぽいこと言ってますが、いきなりネット付きハンモック(本場で言うところのintegrated bugnet hammock:なげーよ!)から始める所がアホっぽいですけどね。
で、彼の地アメリカでポピュラーな、11ftハンモックでやってみたわけです。
ちなみに11ftとはボディの長さが11フィート(約3,350㎜)ということです。
もうね、今考えるといきなりこんな大物やっちゃうなんて完全にナメてます。
まず、まっすぐ縫えない。
ファスナーの付け方知らない。
いちばん苦労したのはバグネットの裁断。
一応大工なので原寸図を描いて型板を作ったんですが、ロータリーカッターもないしハサミで裁断。
いやー、ハサミではまっすぐ切れません。
UL生地ってヘロヘロだし。
とにかく、まあこんなもんだろうと勇んでハンモックを縫い始たわけです。
スゴいの作ったるから待ってろよ!
とか思ってましたね。
誰が待つんだ。
ところがまぁ納まりが悪い。
正確に裁断して正確に縫わないと、バグネットとボディ、ファスナーとバグネット/ボディの縫い合わせがズレるズレる。
縫い縮みや縫い伸びがあるなんて知らないし。
普段は伸びない木材相手の仕事なので、この感覚には戸惑いました。
布は引っ張れば伸びるんです!
大発見です!
結果的に、あっちを縫い直しこっちをタイラップで絞り。
バグネット付きなのに虫フリーパスの隙間とか出来るし。
逆にどうやればこんな隙間できるの。
今でも謎です。
でもなんとか乗れるところまで漕ぎ着け、初めてそれでキャンプした時はちょっと感動しましたね。
大人になると感動って減るものですけど、思わず唸っちゃいましたね。
やっぱり寝心地は気にくわなかったけど。
…
ハンモックの寝心地を左右するものって何でしょうか。
第1にはボディの長さです。
前回で少し触れたdiagonal position、いわゆる斜め寝をするためには適切な長さがないといけません。
いわゆるシングルタイプのハンモックは、だいたいどのメーカーのものでも9ft。
幅は4ft前後。
シングルタイプはバグネットが付かないのが普通です。
この大きさのハンモックでは、適切なdiagonal positionをとることができません。
このポジションはハンモックの中心線に対して30°ほどの角度が良いとされていますから、斜め寝できなくはないけど、足や頭がハンモックから飛び出します。
そこで縦に寝るわけですが、腰が下がりすぎないようにするにはハンモックを張るときにテンションをかけなければならず、そうするといきおい裾が巻き込みます。
ミノムシ状態。
もしくはサヤエンドウ状態。
まぁ、それは人の好きずきなので、それが好きだよーって人もいます。
ボクは苦手です。
やはり広い居住空間で、余った生地の垂れ下がりや巻き込みは最小限にしたい。
では、斜め寝に最適なハンモックの長さはどの程度かというと、10.5ft~12ftくらいがよろしい。
これは使う人の身長にもよりますから、日本人であれば10.5ftくらいがちょうど良いかと思います。
ボクの作るハンモックは、今では全てこの長さで設計されています。
というか、ボクの身長に合わせて全てのハンモックは作っています。
テストと試作を繰り返してこの寸法に収まりました。
自分は平均的日本人だと思っている典型的な小市民がボクです。
第2に重要なのは幅です。
前述のdiagonal positionをとる場合、最低でも1,320㎜必要です。
また、軽量化したい場合は長さよりも幅を落とす方が大きく貢献します。
ただ、幅を落とすとエンドギャザー部分の強度が落ちるので注意が必要です。
他のUL装備と同じで、軽くするそれ相応の理由と耐久性に対する理解が必要になります。
幅を広くすると、重くなる代わりに強度が増します。
また、diagonal positionもとりやすくなるので、自分に合った寝心地を探す余裕も生まれます。
最近は全てフルワイドで作っています。
フルワイドと言っても、使う生地によって最大幅は様々です。
普通ロットは1,450㎜程度。
XLロットになると、1,600~18,00㎜程度で作ることが出来ます。
第3にはバグネットのデザインです。
左右対称のシンメトリーバグネットは方向性がありませんから、頭をどちら側にも置くことができます。
ただ、体重がかからない部分が出てきますので、寝転がった時に目の前辺りの生地が垂れ下がります。
寝心地には特別関係のないことですが、できたらピンと張った方が気持ちがよろしい。
いや、ボクはね。
余る部分があるということは、余分な重量もあるということです。
左右非対称のアシンメトリーは頭と足の位置が決められています。
ボクは基本的にはright rayと呼ばれる方向のものを作っています。
これを逆にしたものも作ることができます。
アシンメトリーは形に無駄がなく、余分な重量を節約できます。
ところが、アシンメトリーの長辺と短辺の比率で寝心地が大きく変わるので、設計には注意が必要です。
ボクはバグネットのいちばん低くなる部分、つまり長辺と短辺の接する部分に頭もしくは足が来るように設計します。
ヘネシーのように、そこを超えた所に頭もしくは足がくるようにすると、体が頭のてっぺんから圧縮されるような感じを受けます。
これはボディに体重がかかることによって生地が巻き込むからだと考えています。
そうすると、寝ている間に体は無意識に圧縮から逃れようとして、diagonal positionからハンモックの中心線に近づくように動きます。
朝起きると、斜め寝からまっすぐ寝に近づいていることがあると思います。
また、中途半端なまっすぐ寝だと、踵や腰、腿のあたりに違和感を覚えたりもしました。
これはボクの使用感ですから、そうではない人もいると思います。
ですが、ボクはやはり自作のハンモックの寝心地が一番だと思っています。
だって、自分で作れちゃうんだもの。
寝心地も使い勝手も自由自在にできる可能性がある。
この可能性があるってやつが大事だと思ってます。
じろうon the trail