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chapter3

すっかり更新をなまけていたじろうon the trailです。

今更ながらこのハンドルネームが気恥ずかしくなっております。

ボク、そんなに歩いてねーし。

というか、前回ハンモックの寝心地で最重要項目であるリッジラインについて書くのを忘れてました。

穴があったら入りたい。

とか言ってる割に今回はスルーしていきます。

リッジラインについてはまたいつか。

スリーピングシステムについて


初めてのハンモックを作り終えたボクは当時一番欲しかったアンダーキルトを作り始める。

だって寒かったんだもの。

ハンモックを使ってキャンプする場合のスリーピングシステムは少し変わっていて、アンダーキルトとトップキルトで身体をサンドイッチするように断熱/保温する。

トップキルトはともかく、アンダーキルトの作り方はいたって簡単。

シェルとなる生地を裁断します。
バッフルを縫い付けます。
ダウンを詰めます。
口を閉じます。

以上。

おい真面目にやれよ!って思ったでしょ?

ホントに手順はそれだけなのでそんなにイライラしないでください迷惑です。

まぁとにかく、ハイシーズン以外でのハンモックキャンプは下からの断熱が重要です。

マットを入れる人もいますが、まぁ寝にくいよね。
マットすぐズレちゃうし。

せっかくのキルトのロフトを潰しちゃうと意味がないから、アンダーキルトはハンモックの下にぶら下げます。
使い方もいたって単純。

こういう、原始的な手法をハイエンドの素材でやっちゃうのってすごく好きなんですよ。

バカみたいで。

アンダーキルトはぶら下げた時に下側にロフトが出るようになっています。
なのでハンモックに接する内側は平滑に、外側は寝袋とかでお馴染みのモコモコした見た目になるのだ。

あ、ロフトって膨らみのことね。

じゃあ日本語で書けよって?

だって英語の方がそれっぽいじゃん。

内側も外側もモコモコだと一見暖かそうなんだけど、どっこいそうでもない。

自分の体重でこのロフトを潰してしまうととっても寒いのだ。

たっかいダウンを使って作った無駄に大きいよくわからない荷物くらいの意味しかなくなるから気を付けよう。

見た目がオシャレになるわけでもありませんから本当にムダになります。

そこでオシャレじゃないけど使えるものにするためには、内側の生地幅を外側よりも狭くしてダウンが膨らんだ時に外側に膨らむようにしてあげるのだ。

いわゆるディファレンシャルカットってやつ。

ショックコードでハンモックに吊るすので体重がかかってもハンモックと連動するし、内側が平滑なら体重がかかってもロフトが潰れることなく暖かさを保てるというわけだ。

やるな、アンダーキルト。

上手く作ると、内側にくるんと巻き込んだような仕上がりになるんだけど、これがまたセットしたときのフィット感を高めてくれるってんだから、原始的なもののくせによくできてやがる。


アンダーキルトができたとくれば欲しくなるのはトップキルト。

まぁ寝袋みたいのものですそれでいいですもう。

フードは無し、なんなら背中も無し。

背中はアンダーキルトあるし、フードは極寒でもない限りは必要ないもんね。

wohoo!合理的ー!

フットボックスはジッパーで開けられるようにして、暑い時はここを開いて掛け布団のようにしてもOK。

掛け布団モード。

これはシェルターやテントで寝る時も重量節約になるのだよ。

スリーピングマットあるし、寝袋の背中側必要なくね?ってぶっ飛んだ人が考案したにちがいない。
背中ねぇならフードも付けらんねぇジャン!yeah!
とか言ってそう。

いくら軽量化したいからって思い切った人もいたもんだ。

とにかくこのトップキルトってやつが秀逸で、ハンモックや狭いギリギリな居住空間しかないシェルターの中で出入りする時に本当に便利。

まず足を突っ込んで、あらかじめコードで締めたネックに頭を突っ込むだけ。

ズボっとな。

突っ込みたい放題である。

寝袋みたいにジッパー開け閉めしてモジモジする必要がないのである。

さぁ、ハンモック、アンダーキルト、トップキルトと揃ったらもう外に行くだけだ!
hurrah!

野生の王国へGOだ!



断熱性の計算


トップにしろアンダーにしろ、どうせ作るならモコモコダウンで作りたいんだけど、日本じゃ売ってない。

前にも書いたけど、アウトドアファブリックや断熱材の仕入れはここJAPANでは大手の独壇場。

ちんけな個人に小分けで売ってくれる奇特な企業様は存在しません。

だからといって与えられたもので満足するほどヤワな人間じゃないぜオレは!

とよく分からない情熱を燃やしつつ調べましたとも。ええ。

ripstopbytherollに売ってるじゃありませんか!ダウン!

選べるオプションは800fpと850fp。
サプライヤーは最大手ALIED。
買うでしょこれ。
なんか変なこと言ってます?

オンス単位で売ってるので自分の作りたいものに合わせてちょびちょび買えるのがステキ。

でも単価は少しお高いかなぁ。

いちいち書きませんが他にも小売りしてるとこけっこうあるのね。
さすがmyogの国アメリカ。
これぞフロンティア精神。
…なのかどうかは知りませんが。

今はloose goose down supplyというごく小さな会社から買ってます。
ここは若いハイカー二人でが2年程前に立ち上げたばかりのサプライヤー。

なんてこった、そんな奴らがひしめき合うハイキングコミュニティやべえ!
しかも業界最安値!

850fp~1000fpまで選べてしかもホントに安い。
まとめて買うととってもお得。
毎回手書きのお手紙付き。

「ユーはロックだなジロウ!新しいプロダクツ見るのが待ちきれないぜ!俺達をワクワクさせてくれよな!」

てなもんです。
どうやら日本からの初めてのお客さんだったみたいです。
そりゃそうだ、彼らが会社立ち上げて次の週には買ってましたからねボク。

今でもたまにメールでやり取りしてます。

loosegoosedownsupply

いつも箱にパンパンに詰まった状態で送られてきます。

さぁ材料が手に入ったら製作なのだ!

ところでダウンをどれだけ封入したら良いかがよく分からない。

fp値というのは、1オンスのダウンに圧力をかけて、圧力解放後24時間でどれだけ復元するかという風に定義される。

細かいとこは忘れた。

単位はオンスとインチ。

つまり800fpというのは圧力解放後24時間で800立法インチまで膨らむという定義、らしい。

この値が高いほど、より少ない量でより大きく膨らむ良いダウンということに。
当然、fp値の高いダウンはお値段も高いです恐縮です。

とにかく、この値の意味が分かれば、ダウンの量を計算することも可能になるってわけ。

作りたいキルトの面積を計算→バッフルの高さを決める→マキシマムロフトを設定→房室ごとに容積を計算→fp値を元にダウン量を計算→オーバースタッフ(多めに入れる量ね)を設定→封入と…。



メンドくせーーーーーーーっ!

でもこの計算を間違うとぜんぜん膨らまないのね。
計算大事。

最近ではエクセルシートでやってます悪いですか?

ちなみにバッフルとは房室を仕切る隔壁で通気性を取るために普通は超軽量のメッシュを使う。
マキシマムロフトっていうのは、寝袋のモコモコ部分。
仕上がった時にモコモコしてるとこの厚み。

基本的な断熱性能や保温力の設定はバッフルの高さで決まって、マキシマムロフトで最終的な耐寒性能が決まります。
いくらモコモコでもバッフルが低いと性能はそんなに上がらない。
逆にバッフルが十分高ければモコモコじゃなくても基本性能は高くなります。
ここら辺は重量と性能を天秤にかけて設定してあげましょう。

これはモコモコ少なめバージョン。

そう、ここまではまぁ知ってる人は知ってるレベルなんですが、じゃあ一体どれくらいの厚みでどれくらいの保温力が担保されるのかっていうのは、やってて謎だったんですよね。
大手のメーカーなんかはきちんとした根拠で温度定格を謳ってるハズだけど、その根拠が分からない。

ええ、すべてフィーリングで作ってましたとも。

スプレッドシートを手に入れてからはとりあえずそれに出てくる温度定格をあてにしつつ、フィーリングでやってましたー(笑)

ところがあるもんですね、資料。

1955年刊行の「ACBurton's Man in a cold environment」という本に出てました。


60年以上前の本のデータですが、各ダウンギアメーカーのスペック表や自分の体感から、これがけっこう正確だと分かる。

ちなみにこの資料で言う所の断熱材は、コットンやウールを想定しているみたいです。
時代が時代ですからね。

しかしこうして見ると素材の進歩や移り変わりはあるけど基本的な所はずいぶん昔から変わっていないんですね。
いろいろ考えさせられます。

この表で言うところの「断熱材の厚み」はキルトや寝袋ではバッフルの高さに置き換えられると思われます。

ガレージメーカーだと、baffle heightとmaximum loftはだいたい出てるけども、だいたいこの表と一致している。

個人で作る場合も、基本的な性能はこれで設定しつつ、マキシマムロフトで調整できるハズです。

自分だけの夢のキルトが作れる!かも知れません。

次は薄めの3シーズンのトップキルト作ろうかなぁ。


さぁ、外に出よう

ここまで揃ったらやることは一つ。

外に出るんだ!

それしかねぇだろってハナシ。
行くしかねぇだろってハナシ。
This is 決められた道だメーン。

装備を自作するといろんなことを学びます。

どうしたら快適になるか。

どうしたら軽くなるか。

どうしたら丈夫になるか。

それはとりもなおさず、歩く道のことを考えることでもあります。

使用状況をイメージしないと作れないからね。

自分の体験からしか答えは出てこないのよこういうのって。

そしてその体験を具体化するのは理論や科学だったりするんだけども。

体験と、それを分解する論理的思考。

だからあんまり器用不器用とか関係ないんだよね。

不器用だと思うなら、ゆっくり丁寧にやればあとはミシンがやってくれるし

必要以上に怯えることもないし、別にすごいことでもない。
初めから完璧にノウハウを知ってる必要もない。
なんならやりながら調べても良いしね。

あなたの使っている装備だって人間が作ってますからごめんやけど。

今は大手になったメーカーでも、より良いものを作ろうとして研究を続けてるわけだし、同じ人間なんだから個人で出来ないハズないでしょってハナシ。
資金とか時間とかは限界あるけども。

あとはやるかやらないか。
そのどっちを選択しても良いし、ちゃんとしたメーカーのものを買う方が安心できるっていうのもあるからね。

でも、アウトドアをもっと能動的積極的に楽しみたいと思ってるなら、自作は絶対オススメですよ。

なんでも良い。
簡単なスタッフサックでもナップサックでも。

自分の人生や楽しみに対しては当事者であり続けたいね。

ボクは単なるコレクターとか評論家にはなりたくないからね。

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