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ハイキング1

宮崎の徒歩旅を終えて、実家の居間で少しホームシック的な寂しさを感じている時にふと思い付いて次の旅を考え始めた。

別のトレイルに行こう。

手元に「日本のロングトレイル」というガイドブックを取り寄せ眺めていると、高島トレイルに引き寄せられた。

宮崎では街歩きが多かったので、山の中を行くトレイルが歩きたい気分だったのだ。

東海自然歩道や宮崎では整備されていない道を行くために自分でルートを引き直したり、特に宮崎では見たい場所などを自由に無目的に歩いていたけれど、「トレイル」として人が歩いている道もいいなと思ったのだ。

「スタート」と「ゴール」がある道を行くのも悪くない。

幕営指定地がないのも魅力的だった。
自分でルートを引くのに慣れると、幕営指定地によって行程が制限されることに微妙な反感を覚えていたことも高島トレイルに魅力を感じた一因だったと思う。

ふと思い立ったので準備期間2週間。

ふざけてる。

DAY1




4月29日に高島に入る。

天気は直前の予報通り雨。

今回の相棒と駅前の喫茶店に入る。
そこでモーニングを食べながらだらだら雑談して、この日はトレイルヘッドで一泊することにした。

こんな日に歩き始めたくない。

喫茶店を出てコンビニで少し買い出し。

駅の待合室でバスを待つ。

ハイカーはギア談義が大好きだ。

天気予報が気になる。

30日以降の天気予報は弱い雨と晴れを繰り返す。
ボクはレインウェアはスカート以外持ってきていない。
少し不安になるくらい外では雨が降っている。
動いていないとバギーショーツだけの下半身が少し寒い。

歩き始めれば暖かくなるだろう。

15時、国境行きのバスが来たので乗り込む。
期待感が高まるこの瞬間が一番好きかも知れない。

バスに揺られて20分ほどで国境に着く。
シーズンではないのでトレイルヘッドの国境スキー場までバスは走らない。

少し歩くのかな。
雨の中…。

そう思いながら降りようとすると、運転手さんが「スキー場まで行こうか?」と言ってくれた。

ありがたい。
ボク達は二つ返事でお願いすることにした。

スキー場に到着してバスが引き返すと、いよいよ退路が絶たれた感じがして、期待と不安が入り交じる。
雨も少し強まってきた。

相棒に登山届けを任せる。

オフシーズンで営業していないスキー場のレストランの裏手に幕営することにした。
自販機があったので喜んだのもつかの間、電源が入っていない。
水は自宅から汲んできたので問題ないがコーラ飲みたかったなぁ。

雨の中幕営すると、やっと横になれた安心感で二人とも饒舌だ。

トルティーヤで火を使わない夕食を済ませて周りをうろうろするとスキー場の周りもブナやコナラの雑木林で、低山縦走の期待感で胸がいっぱいになった。

DAY2




朝5時くらいに目が覚めると、ボクのDCFテントから少し空が青いのがフライ越しに透けて見える。

外に出ると雲が切れ始めている。

幸先が良い。

トレイルを眺めていると、登っていく人がいる。

ボクらも準備をして出発だ。

スキー場のゲレンデを詰めていく。
なかなかにキツイ。

ようやく登り詰めていよいよトレイルへ。

低木を掻き分けるように進む。

乗鞍岳北尾根を越えるとガスが濃くなってきた。

霧のブナ林は幻想的だ。

この時はまだまだ二人とも元気だった。

バカな話をしながら進む。

乗鞍岳はいつの間にか踏んでしまったようで、電波塔まで一気に来てしまった。

ガスの中にぼんやり見える電波塔は不気味だ。

芦原岳から猿ヶ馬場を越えてブナ林に入る頃には太陽が出てきた。

日の光の暖かさに気が緩む。

ほどなく休憩地点の黒河峠に着くと、そこには立派なトイレが。

ここがトレイル中、最初で最後のトイレだ。
水場も近く、補給したあとに長めの昼休憩を取る。
昨夜の濡れたテントや湿ったキルトをここぞと乾かす。

何人かのハイカーが行き来しているのは安心感があった。

のんびりと休憩したあとにふたたびトレイルへ入る。

前日の雨で途中にある水場は流れが豊富だ。
太陽も顔を出して暑い。

この辺りまでは水を補給しながら歩ける。

三国山のピークは踏まずに明王ノ禿へ向かう。

山頂は本当に禿げている。
ここだけ樹木が全くなくて、不思議な光景だ。

ここから先を見ると赤坂山に向かう縦走路が臨める。
粟柄越から寒風、大谷山あたりまで草原が続いているはずだ。

休憩後、出発。
雲行きが怪しくなってきたと思ったら雨が降り始めた。
麓の予報では1㎜の雨。

ところが稜線上では風がとてつもなく強い。
雨も強い。

ソフトシェルにスカートしか着けていないのでみるみるウェアが濡れていく。

風のおかげで体感は2~3度くらいだろう。
濡れていたのでもっと低かったかも知れない。

必死になって休憩もせずに歩く。
いや、ほとんど競歩だ。
歩かなければ体温が下がるので止まれない。

後ろを行く相棒を置き去りにする勢いでザクザク歩く。

相棒はボクのことをさぞ鬼だと思ったことだろう。

なんとか大谷山を越えてブナ林に入る頃には雨も弱まってきた。

もうすぐ幕営予定地の抜土だ。

到着するとすでに何人か先客がいた。

早速砂利の林道に設営。

ペグ刺さらねぇじゃねえか。

一本曲げたところであきらめて、石を使ってなんとかテントを立てる。
相棒は苦戦している。
目も死んでいる。

水場に行けば石があるだろうと水場へ。
水と石を補給してようやく人心地だ。

今日は18㎞、なかなかのペースだ。

明日は晴れるだろうか。

DAY3




朝、先客ハイカー達の出発の談笑で目が覚める。
やはり天気の話をしている。

ぼちぼち起きて行動食を腹に入れる。
冷えた身体を白湯で温めていると、ボクらのテント横を先客達が通り抜けていった。

のんびりと撤収してトレイルヘッドへ向かう。

朝から急登を登らされる。

視界がぐんぐん高くなる。

近江坂を越えてブナ林の中を歩くのはとても気持ちが良い。

二人とも写真を忘れて天井の高いブナ林をクルーズする。

大御影山、三重嶽を越えて水谷別れで昼食。

相棒は目が完全に死んでいる。
雨とアップダウンが多く険しい低山縦走にお疲れのようだ。
食事はしっかりと摂らなければ歩けない。
α米では歩けない。

昼食を済ますと、相棒が甦った。
人が変わったように饒舌で元気だ。

食べ物ってスゴイ。

相棒曰く「カロリーが脳を叩いた」らしい。

と、反対側から人が歩いてきた。

相棒2の登場だ。

どうやら朝にこの先の水坂峠に着いたが、待ちきれなかったらしい。
健脚だ。

談笑して、今日の幕営予定地の水坂峠に出発。
相棒2はピストンだ。

三人でワイワイ歩く。

武奈ヶ嶽までは天気が持った。

風は強いが気持ちが良い。

大きな雲がある。
まるで竜の巢だ。

「やーるぞー!きっとラピュタを見つけてやる!」

思わずパズーのポーズをとってしまった。

武奈ヶ嶽を越えるとキツイ下りが待っていた。
斜度は確実に45度を越えている。
転げ落ちそうになりながら慎重に下る。
周りはいつの間にか鬱蒼とした植林帯で圧迫感がひどい。
天気も下り坂だ。

やっと下りきると道がない??

すぐそこに舗装路が見えるのに…。

テープも付いているけど、湿地帯のようになった所に間伐された杉がゴロゴロしている。

足をぐしゃぐしゃにしながら舗装路に出て幕営できる場所を探す。

トレイルを少し登った沢のほとりに平坦な場所を見つけたので、そこまで下りて設営しようとすると、枯れ葉の間に蠢くものが…。

山蛭だ。

靴にもすでに二匹ほど取り付いている。

ここはダメだ。

疲れもあり時間も微妙なので、再び舗装路に出てこの日はバスで近江今津まで出て宿を探すことにした。

駅に着き、飛び込みでビジネスホテルへ。
飛び込みなので高く付いたが、これでテントを乾かせるしシャワーも浴びられる。
大浴場もあった。

軽くシャワーを浴びて夕食へ。
こんな時は中華だ!
生ビールに餃子だ!

相棒はまたしてもカロリーに脳を叩かれたらしく、頭を抱えながら中華丼を貪っていた。

宿に戻って大浴場で整い、洗濯して就寝。
硬めのベッドが心地よくてすぐに寝入ってしまった。

この日は19㎞。
ロードも含めると20㎞くらい。
よく歩いた。

DAY4




朝6時、宿を出ると雨は上がっていた。
それでも山には怪しい雲がかかっている。

バスの時間までにコンビニで補給する。

ボクはスニッカーズを大人買いだ。

相棒は3000円分も買い込んでいた。
どうやら持ってきた食糧だけでは不安になったようだ。

相棒2はキューピーコーワ錠を買っている。

フィッシュフライバーガーでエネルギーを入れてからバスで再び水坂峠へ向かう。

急登を二回こなして二の谷山まで出ればトレイルの中間地点だ。


桜峠に下る頃には再び雨が降ってきた。
道路の側溝には沢蟹がのんびり散歩している。

また雨か…。

そんな気分でロードを行者山のトレイルヘッドへ向かう。

雨が強くなってきたのでトレイルヘッド脇の廃別荘の軒下を借りて昼食にする。

あぁ、不安だ。

気温も気分も上がらない。

ボクは足首にできた傷からバイ菌が入ったのか少し右脹脛が浮腫んでいる。

昼食を済ませてから雨が弱まるのを待って出発。

キツイ斜面をトラバース気味に詰めて途中から直登で尾根に取り付いていく。

この頃にはすでに天気が再び怪しくなってきた。
行者山を踏んだあと、狭い尾根を下っていく。

雨は強くなる一方だ。

横谷峠に出る頃にはみんなズブ濡れだ。

ボクは二人を残して峠の林道を下って水場の確認に行く。

すると下から女性二人組のハイカーが上がってきた。

彼女達は少し登った所でビバークするようだ。
雨もきつくなってきたので、ボクらもその辺でビバークしよう。

しびれを切らして下りてきた相棒二人にもそう伝え、水を補給する。

雨で沢が増水して水は濁っている。

雨の中でみんな投げやりだ。
相棒の目はまたしても死んでいる。

とにかく早く幕営した方が良さそうなので、登山口に取り付いていく。

また直登だ。
この雨で滝のようになっている登りを詰めていく。

緩やかな登りに差し掛かったところで先ほどの女性二人組が声をかけてくれた。
彼女達はここでビバークすると教えてくれた。

もう少し上にも幕営できそうなところがあるようだ。

少し登ったところで幕営地を見つけ、急いで設営する。

雨と風で寒さが限界だ。

設営してすぐに着替え、キルトにくるまるが震えが止まらない。
末端が冷えきっている。

早速夕食の準備だ。

ものを口に入れてようやく身体が暖まってきたので、濡れたソフトシェルを着てその上にインサレーションを重ねて着乾かす。

末端もじんわり暖まってきたので微睡んでいる間も風が強く吹いている。

ゴーッという音が近づいては吹き抜けていく。
その度にテントが揺れる。
バタバタという音とともにアラレも降り始めた。

なかなかのギリギリ感だ。

18時頃、風は残っているがようやく雨は止んだ。

みんなタコツボから這い出る兵士のようにソロソロと外に出てきた。

見ると相棒はパンツにポンチョのみという妖精スタイル!
濡れたズボンが冷たくて脱いだようだ。
それにしても、その格好で出てくるのはヤバすぎるだろ…。

相棒2はアラレが降っている時は寝ていたらしい。
頼もしいかぎりだ。

みんなガイラインを締め直して就寝。

風は一晩中吹き続け、時たま雨がザッと降るの繰り返し。

この日は11㎞程度しか歩けなかったけど、とにかく疲れた。

DAY5




朝、空の明るさで目が覚めた。

そっとドアを開けると空が青い。
この旅で初めて朝から綺麗に晴れた空を見た。

5時頃に昨日のお姉さん達が登っていくのに出会った。

ボクらもぼちぼち撤収だ。

真っ青な空にみんな気分が高揚している。

当初の幕営予定地だった駒ヶ池を眺めながら駒ヶ岳を目指す。

駒ヶ越えあたりでブナの林の中を歩くのでとても気持ちが良かった。

この旅で始めて熊の爪痕を発見。
古いもののようなので用心しつつのんびり歩く。

快晴の中を駒ヶ岳、与助谷山とクルーズしていく。


桜谷山まで来れば水場ももうすぐだ。
相棒2は水がなくなり、元気がない。
一言も喋らないのだ。

桜谷山での眺めは素晴らしく、雲がパノラマ感を演出して実に気持ちが良い。

晴れて良かった。

みんなで喜び合う。

思わずパズーポーズも出ようというものだ。

木地山峠まで下り、そこからさらに少し下がった沢で水を補給した。

相棒2も水が補給できてニコニコだ。

峠で昼食だ。

相棒が張ってくれたラインでシャツとパンツを乾かす。

寛いでいるとチェンソーを持った林業関係の男達がやってきた。

今日の目標は地蔵峠だと告げると、その辺りはテープが張れない場所があるので注意するように教えてくれた。

休憩後、出発だ。

植林帯を抜けて再びブナ林の中を歩く。

この辺りから偽ピークが多くなってきて精神的にきつくなってくる。

それでも快晴に励まされながら百里ケ岳に登頂。

この時点で今日は地蔵峠までは難しいかもしれないと思い始めた。
地図を確認するとピーク803の手前に小さな池がある。
水場も近そうなので、地蔵峠まで行けなければここでビバークしようと決めた。

アップダウンを繰り返しながらおにゅう峠まで下っていく。

途中の根来坂は鯖街道と繋がっているようだ。

後から来た夫婦が看板を読んでいる。

ボクらは一息ついてから峠へ向かった。

おにゅう峠で林道に出ると、立派な祠と展望台があった。

ツーリングのバイカーや家族連れがいる。

ここから若狭湾が臨める。

天気も良く、休憩もとても気持ちがいい。

行動食をとって、15時に出発。
水も少なくなってきたので幕営地まで急ぐ。

所々眺めの良い場所で足を止めつつ、幕営地まで詰めていく。

水場が心配だ。

公式地図にはあるが相棒のヤマレコのマップにはないからだ。

途中、おにゅう峠でボクらを追い抜いていった夫婦が気持ちの良いブナ林で幕営していた。

テントはゴッサマーのthe twoだ。

やはりカッコいい。

ブナ林を抜けて、植林帯に入った所で地図とGPSを細かく確認しながら歩く。

アップダウンを繰り返しながら歩くと沢の音が聞こえてきた。

水場は近い。

少し下がった谷筋で水場を示す道標を見つけた。

相棒2が確認しに行ってくれた。
道標が古かったので、枯れ沢だったらどうしようと少し心配だったがほどなくしてニコニコで戻ってきた時はホッとした。

三人で水を補給して再び幕営地に向かって詰めていく。

やがて植林帯が切れてブナ林に入ると、2張りのテントが目に入った。

昨日話しかけてくれたお姉さん達だ。

ボクの熊鈴の音に気付いたのか、テントから顔を出して挨拶してくれた。

昨日はお互い大変でしたねぇ。

ボクらも早速設営場所を物色する。

小さな池のほとりで平坦な場所も多かったので、すぐに各々場所を決めた。

相棒は昨日寝床が斜めだったのが不満だといって場所選びに意気込んでいる。

暮れてゆく山でのんびり設営して、結露したsolビビィを木の枝で乾かす。

良い感じだ。

明日で終わりか。

そんな言葉も出てきた。
軽くなった荷物を眺めながら、少し寂しいような充実感がある。

この日は18㎞ほど。

テント越しの夕日も綺麗だ。

DAY6

最終日も朝から快晴だ。

行程が少し遅れたので4時に起床した。
お姉さん達の朝の談笑が聞こえる。

一服してのんびりしているとお姉さん達が横を通り抜けていった。

挨拶を交わしてからボクらもぼちぼち撤収だ。

歩き始めると快晴の中、雲海というには小さすぎるモヤが山肌を舐めている。

三国峠、ナベクボ峠と歩いていけば地蔵峠ももうすぐだ。

三国峠では京都大学の研究林を示す看板が立っていた。

少しバックパックを下ろして休憩して、下っていく。
この時点で水の残りが少なくなってきたので、分け合いながら下ることにした。

研究林の中はトレイルを示すテープはなく、鬱蒼としていて圧迫感がある。

踏み跡も不明瞭なので、相棒のGPSを細かく確認しながら歩く。

細い稜線のアップダウンと繁った枝でなかなかテクニカルだ。

やがて急な下りに差し掛かって、下りきると地蔵峠だ。

いよいよ終わりが見えてきた。

みんな上機嫌だ。

行動食の残り全てを食べて出発。

カベヨシ818まで登り返し、アップダウンを繰り返す。

最終日で急登がこたえる。

カベヨシの地味なピークを越えて、杉の巨木や、倒木から生えたブナを眺めながら少しずつ進んでいく。
やはり偽ピークが多くて苦労する。

最終日ということもあって休み休み登っていく。

アップダウンにヒィヒィ言いながら岩谷峠を越え、いよいよ終点の三国岳へ。

終わりの瞬間だ。

あとは下山後の美味いものを目指して下るだけだ。

あれが食べたい、これが飲みたいと賑やかだ。

ここからバス停のある桑原橋までは一気に下る。
膝が心配だ。
かなりの急勾配を下りながら、スラムダンクのゴリのセリフが口を突く。

今さら痛みが…
でももういいんだ…

丹波越えまで下って、いつもよりのんびりと休憩する。

降りたいような降りたくないような、みんなそんな気分だったんだろう。

あと2㎞で旅が終わる。

急勾配を下っていくとどんどんと植生が変わる。
下りきる頃になるといつの間にか周りは若い植林帯になっていた。

眼下の木々の間に家が見え始めた。

膝を騙しながら慎重に下ると、物置小屋の脇にあるトレイルの道標が見えた。

道標の脇を抜け、獣除けゲートをくぐると立派なトイレがある。

すっかり空になったペットボトルに水を汲んで腕を洗った時、このトレイルの終わりを実感した。


DAY EXTRA

歩き終わって、さてどうしようという話になった。

美味いものを食わないでそのまま帰るという選択肢はボクらにはなかった。

そうすると新幹線の時間があるので、安曇川駅までバスで出てから1時間程度しか余裕がない。

そこで、安曇川で一泊して飲みに行こうということになった。

まぁ当然の話である。

みんな、カロリーで脳を叩かれたかったのだ。
ガーンとくるやつが良い。

相棒2が首尾良くビジネス旅館の大部屋を安く取ってくれた。

ボクらはウキウキと短かった旅の思い出をあれやこれやと話していたので、バスが来るまでの2時間は退屈しなかった。

桑原橋のバス停からコミュニティバスで朽木まで出て、そこから市営のバスに乗り継いで安曇川まで出る。

合計1時間ほどバスに揺られて到着。

チェックインを済ませると、早速飲み屋を探して徘徊を始めた。

ところが宿は駅から遠く、近くの天下一品は閉まっていたので駅まで引き返すことに。

相棒が検索をかけると、元貴という居酒屋がヒットした。
しかも夜中の1時までやっている。

どうせなら地場の店に入ろうということになった。

入るとオヤジが一人で切り盛りしているようで、なかなか良い雰囲気だ。
壁に掛けられたメニューの数が半端ない。

ボクらが入ると客は若い女の子が二人だけ。

ボクらはカウンターの端に腰掛け、さっそく酒を頼む。

ボクはコーラハイと決めていた。
コーラと酒がいっぺんに味わえる夢の飲み物だ。

その後は、出てくるもの出てくるもの旨かった。

美味すぎて、そして話に夢中で最初の一杯以外写真がない。

結局12時近くまで飲み食いしていた。

ボクらだけになった店内で、オヤジがサービスのタコキムチやクラゲの刺身を出してくれたのが美味すぎて追加で注文したりしてしまった。

会計を済ませて宿に帰れば、大浴場で凝りをほぐして分厚い布団で寝るだけだ。

濃密なトレイルの余韻もやっと終わりだ。

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