老舗うなぎ屋のうな重が美味しくない。その理由とは・・・
こんにちは。しげです。
僕は2年前に東京の方に、引っ越してきた関西出身者です。
この2年間で様々な関西と関東の違いに驚かされていました。
例えば、
セブンイレブンの省略した呼び名の違い
卵焼きの味の違い
コンビニのおにぎりの海苔の違い
出店しているお店の違い
などなど、あげていくとキリがありません。
そんな僕でしたが、2年間も東京で過ごしていると流石に、驚くことも
ずいぶんと減ってきました。
しかしこの間、僕の中でとても驚く出来事と遭遇したのでこのnoteを書くことになりました(笑)その正体はうなぎです。
遡ること数日前。
僕はiPhoneの画面を眺めながら、考え事をしていました。
(ポイントが2万も溜まっていることやし、贅沢するのもありやな~)
10月より始まった政府の需要喚起政策「Go To イート」の期間限定ポイントの使い道について。
ホットペッパーグルメを主に使用し、10月中ほぼ外食を繰り返して、せっせとポイントを貯めていた僕。ホットペッパーグルメの仕様上の影響で、溜まっていたポイントは10月末や11月上旬にまとめて付与されました。
(いや、日々のランチに使った方が有意義に違いない…)
その結果が、僕を悩ませる原因を作りあげることになりました。
このポイントを使って、10月中と同様にランチもディナーも外食を繰り返すことも良いですが、外食続きには流石に少しうんざりしていました。
そこで僕は、いっそのこと。このポイントを小さく使うのではなく、大きくドカン!と使ってしまっても良いのではないかと思い始めたのです。
そんな風に考えながら、ホットペッパーグルメのお店検索をスクロールし続けていると、美味しそうなうな重の写真と共に日本橋宮川という文字が目に映りました。
(そういえばうなぎなんてこっちに来て以来、全く食べてなかったな~)
(いい機会やし、予約しちゃおっかなぁ~)
数分間悩んだ結果、僕が選んだ答えはうな重を食べるという選択に。
ポイントを使用し、予約を完了させます。
そして、待ちに待った予約日当日。
仕事している際中も、
(今夜はうなぎ♪うなぎ♪うな重だ♫)
という自作のうなぎソングを頭の中で流しながら、ワクワク。
仕事が終わるとスキップ気味な足取りで、お店に向かいます。
らんらんら-ん♪
お店に着いてさっそくうな重を注文。
並・中・上・特と4種類ありましたが、今回は一番安い「並」。
せっかくポイントを使って食べれるのだから、高いやつを注文したらいいのに…(笑)ここで特や上を頼めないところが、僕らしいですね(笑)
少し待っていると、店員さんがお重箱を持ってきてくれました。
待ってました!と言わんばかりにお重をオープン。
開けた途端、タレのいい匂いが僕の鼻孔をくすぐります。
(うお~~~!!!!早く食べたいぜ~~~!!!!)
はやる気持ちをグッとこらえて、パシャリと1枚。
写真からも美味そうという雰囲気がビンビンと伝わってきますね。
写真を撮り終えるとすぐに、
「いただきます!」
の掛け声と同時に、お重にはしを運びます。
ぱくっと一口食べた瞬間、
(うま、、って、え、思ってたんとちゃう)
なんだこれ。全然美味しいと感じられない。
このお店に来るまでのワクワク感が一気に消え失せてしまいました。
僕が思い描いていたうなぎと、さっき食べたうなぎは全く異なる味でした。
(え、ここってなんか老舗っぽいとこのうなぎでしょ?美味しくないってある訳…?)
なんだかべちゃっとした食感で、質素な味わい。
別にマズイ訳では無いんだけれども、美味しくないって感じ。
凄く楽しみにしていた反面、なんだかとてもガッカリ。
食べ終えると、しょんぼりしながら帰宅。しばらくはこのうな重に対して不満がいっぱいでした。(食べ物の恨みは恐ろしい)
うなぎショックの数日後、大阪にいる母から他愛もない電話がかかってきました。たまたま、先日食べたうなぎの話題になり、僕がうな重に対しての不満をこぼしました。すると母が、このように言いました。
「そりゃ、あんた、関西のうなぎを食べて育ったからやろ」
「関東は蒸すから味も食感も別もんやし、全然同じちゃうで」
え、それマジ!?
目からうろこがぽろり。いや、うなぎには鱗が無いか。
と、しょうもないことを思いながら、話を聞いていました。
そして、母親との電話を切った後、すぐに東西のうなぎの違いについて調べました。すると、3つの違いがあることが分かりました。この違いが生じる理由としては「社会構造の違い」が大きく関わっていました。
開き方
関東では「背開き」 関西では「腹開き」
江戸時代、関東は侍中心の社会であり、関西は商人中心の社会でした。
そのため、関東では切腹を連想させる腹開きではなく、「背開き」が主流に。反対に、関西では商人同士が腹を割って話そうということから「腹開き」が主流となったとと言われています。
縁起を担いだという理由以外にも、料理人の腕の違いという理由の説もあります。
うなぎには肋骨が無いそうです。
そのため、腹開きをするために、料理人の高い包丁の技術が要求されます。
関西の料理人、特に京都の料理人は、技術力が非常に高いことで有名です。例を挙げると、小骨が多く、調理が難しいために捨てられていた鱧。この魚を高い技術力によって、調理可能とし、鱧料理の多くを作りあげたほどです。そのため、「腹開き」も容易に出来たのだと、予想されます。
一方で背開きでは、背びれがとりやすかったり、うなぎがおとなしくなり裂きやすかったり、そこまで高い技術力は要求されません。
江戸では、単身者が多いため外食のニーズが高くありました。しかし一方で、需要に反比例して熟練した料理人の数が不足していたとのことです。
そのため、簡単に捌くことが出来る「背開き」が主流になったのだと思われます。
串の種類
関東では「竹串」 関西では「金串」
後述する仕上げ方に関係してくるのですが、東西でうなぎの焼時間が異なります。関東では短く、関西では長くなっています。
そのため、
火に短時間しか接することがない関東では、燃える心配が無いため、竹串。
火に長時間接する関西では、燃える心配があるので、金串が使用されているのです。
仕上げ方
関東では「蒸す」 関西では「蒸さない」
少し前述しましたが、うなぎの焼時間には東西で差があります。
その理由には「蒸し」という工程の有無が関わってくるのです。
江戸では、外食のニーズが高く、料理を素早く提供することが重要でした。
これを解決する方法として、下ごしらえとして蒸しておくという工夫が生まれました。こうすることにより、焼時間が短縮され、素早く提供出来るのです。また、蒸したため、身がふっくらとした仕上がりになるという特徴があります。
対して関西では、江戸に比べスピードがそこまで重視されていなかったようです。そのため、じっくりと焼き上げ、身を柔らかくしました。こちらは蒸すという作業が無いため、皮がパリッとした食感を楽しめるという特徴があります。
最後に
うなぎの調理方法が東西でこんなにも違うだなんて、23年間生きてきて全く知りませんでした。いい勉強になりました(笑)
僕は関西出身なので、パリパリのうな重が普通だと思っていたのですが、
関東の人からするとそれは普通では無かったのですね。
そのため、冒頭で、「日本橋宮川」さんのうな重をあんまり美味しくないと表現してしまいましたが、これは関東のうな重を食べたことのない関西人の感想なだけです。東京の方が食べたら、普通に美味しく感じるのでしょう。
「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」
とアインシュタイン先生が言ったとおりですね。
何事も決めつけてはいけませんね。
関東のうな重も好きになる時が来るのでしょうか。それはそれで、楽しみですね。今はまだ、僕は関西のうな重派です(笑)
あなたはどっち派ですか?
どちらか一方しか食べたことの無い方は、旅行した時にでも是非是非。
おしまい。