ダイブ?モッシュ?それってそんなに大事?
Twitterで昨日、こういうツイートを目にしました。
引用するのは少し気が引けるので、簡単に内容を纏めると…
ダイブ行為はライブハウスでは禁止されているけれど、あのバンドならやるのは『暗黙の了解』じゃないか。
ダイブしている人を支えるのは当然だし、それが嫌ならば後ろで見てろ!
という内容でした。
これに主催者の一人が反応を示し、
危険な行為を故意にするのはいけないけれど、基本的に誰が何処で何をしようといいし、自由にすればいい。
という意見を表明されました。
この意見は多くの賛同を得て、結果としてこの事に関しては終止符が打たれる事になりました。
しかし、個人的には非常にこの回答に関して疑問があります。
これ、『自由にすればいい』って言うって事は、「主催者として一切感知しない」って言ってるのと同じことなんじゃないのか?と。
そして自分達は責任は取らないとフライヤーで表明するのも疑問。
それは興行をする側の人間としていかがなものなのか?
その場が盛り上がってそれが分かれば危険な行為でも看過すると言っているのと同じなのでは?と思った。
実はこれ、主催者側が言ってしまうと問題があるんですよ。
仮にそのような危険行為において、大事故が起こった際にはそのライブハウスの監督責任が問われます。
アミューズメントパークの絶叫マシンを思い浮かべてください。
絶叫マシンのスリルというものは様々な安全対策を基に運営されています。
であるが故に不具合が起きた時は大きなニュースになるでしょう?
それは、利用者が暗にそこにキチンとした安全性を求めているからです。
そして、その不具合の責任は運営側にあり、その責任を負う事になる。
それと同じで基本的にその現場を取り仕切らねばならない運営元、つまりライブハウスに大きな責任が伴うという訳です。
その責任や評判が巡り巡って、アーティスト側にも大きな影響を与える事になり、それは結局の所運営している人たちへのリスクでしかないんです。
なら何故そんな危険行為を黙認しているのかと言うと、運営する側がその楽しさを知っているからです。
自分達もロックバンドのライブでそういう現場に遭遇した際の興奮を良く知っているからです。
ミュージシャン側も客が盛り上がっている事がよく分かるし、客側も思いっ切り非日常を楽しめている。
ただ、明確な安全策が取られている訳ではないという事をまずご理解頂きたく思う。
運営側は客の安全を担保しなければならない。
個人的に、ライブでのダイブやモッシュに関しては肯定も否定もしません。
「そういうもん」として捉えているし、何より自分は音に乗って体を動かすというよりは音自体を楽しみに行っている。
あるライブで、ステージに立つ人に言われた事があります。
ソールドアウトの公演で運良くちょっと前方で観る機会に恵まれた時、周囲はヘドバンしたり、逆ダイしたりしている中で音の鳴り方だったり、歌ってる歌詞に集中していたりして楽しんでいたんです。
そんな中で、ステージからも目立ったんでしょう。
そのバンドのよく喋る(笑)ギタリストの人が
「楽しみ方は人それぞれだし、別に激しく動く事だけで君たちが楽しんでるかどうかを判断してる訳じゃないから。ちゃんと楽しんでくれてる事は伝わってるし、むしろ暴れてるヤツらの方が音聞いてないやろ!!!!」
とこちらに向かって言ってくれた事で自分の楽しみ方が間違いじゃなかったと思えました。
そもそも、ライブに行く人たちが期待するものってその人たちの数だけあるとは思うけれど、共通しているのは皆、非日常を楽しみたいって事じゃないの?
同好の士でステージ上の人に愛を叫びたい人もいれば、静かにその人の作ったものを楽しみたい人もいる。
愛情表現なんですよね。ステージ上の人間に対する。
しかし、その愛情表現の際に他人を巻き込んで故意にではないにせよ危害を加える可能性のある事はやっぱり止めようね?
って事くらいに感じています。
だからっ!観る場所までとやかく言われるのはマジで腹立ちました。
むしろ何でダイブやモッシュするやつが前でやるのが暗黙の了解なんだよ?
音の鳴りとか殆ど関係ないんだから、むしろ後ろでやってろよ?
ゾーンを後ろに設定してもいいじゃん?
って思ってしまう訳です。
ステージを作る側としては機材などがあるから後ろでやられると支障があったりするんでしょうが。
そして愛情を受け取る方の我儘も当然ある訳です。
観客が暴れまくってる状況に愛情を感じる人がまぁ、殆どな訳ですよ。
だからこういうバンドマンの私生活はクz…(おっと口が滑りそうになっちゃったわ
ただ、ステージ上で愛を受け取る側にもその辺りのことは少し鑑みて欲しいというのはあるかなぁ?
実際に海外ではダイブによる死亡事故も起きていますし、昨今の日本でもライブでダイバーに顔面を蹴られて鼻の骨を骨折したという事例もあります。
そして、ここまでの規模でない限り露見はしません。
自分の好きなアーティストに迷惑はかけたくないでしょうから。
ただ、それに甘えるのはどうかと思うんですよ。
だからダイブ、モッシュを容認するステージ側の人間は堂々と表明しろと思うんですよね。
「何かあったら全責任は自分達が取る」位の事を言えよと。
それを言えないのにそういう行為を『暗黙の了解』で煽るのはとても卑怯。
数々思うんですが、ステージから観客をコントロール出来る演者がマジで少ない。
その空間を掌握してるバンドマンって本当に一握り。
ある人は言った。
「多くのバンドは客を盛り上げる事はできる。俺たちはそれだけじゃなく客を黙らせる事ができる」
巨大な狂乱を呼ぶ者はそれを収める方法も知らねばならない。