ユニクロのコラボレーションはデザイナーを殺す?

昨日、UNIQLOの前を通ったら何やら整理券の配布をしていたので立ち寄ってみると、+Jの新作発売の為の人員整理券でした。

+Jとは、UNIQLOがデザイナーにJILL SANDERを迎えたコラボレーション企画です。

テキスタイルエンジニアとして働いたのちに、ファッションジャーナリストとして活動した後に自らのメゾン『JILL SANDER』を立ち上げる。

その後2005年にメゾンを辞任、しかし、2009年にファーストリテイリング社とコンサルティング契約を結び、当時のUNIQLOの高級ラインとして+Jを始動。

しかし、大きく振るう事が叶わず2011年に契約を解消。

改めて2020年に契約を締結し、再び+Jのラインを担当する事になった。

という経緯があります。

元々彼女の提唱するミニマルなスタイルはユニクロの精神に合っているであろうとは思っていたので、すぐ入れるみたいだったのもあり、一回見てみるかー。という程度のノリで見てみる事にしました。

前回、様々な店舗で大騒動になったという事は様々なメディアで聞き及んでいたので、単純に今回はどんなアイテムなのかの興味もありました。

実際に商品を見て驚いたのが、今回のアイテムは非常にJILLらしいと言う事です。

そりゃ全盛期のJILL SANDERの作っていたものとは質は違うものの、この価格でこのデザインを両立させているのは見事であると思いました。

シャツなどは様々な型があり非常にシンプルな造りにもなっていて多くの人に受け入れられそうなデザインでした。

そんな事にも面白味を感じてしまい、シャツを購入しました。

ラインも綺麗だし、素材も非常に使い勝手の良いものを使われていてガンガン日常遣いが出来る。

それは人気になる事が納得できます。

これやられてしまうと多くのメゾンはたまったもんではないでしょう。

実績も名声もあるデザイナーがデザインをし、素材も平均よりも優れたものでありその上でお安いとなれば殆どのメゾンは敵いません。

現に、全身UNIQLOで歩いていても恥ずかしいと思われる事は昨今なくなりました。

これは非常に大きな功績であると僕は個人的に思っています。

そのカテゴリーの中で流行を生み出していけるというのは非常に強い。

しかし、それと同時にアパレル業界とすればこれほど刺激のない事は無い訳です。

それに加えてUNIQLOを始めとするファーストリテイリングのアパレルは、多くのコラボレーションを連発するようになっています。

現行、自らメゾンを始動しているデザイナーを招聘し、その資金力を生かして商品開発をする。

この手法は消費者にすれば非常に有難いものであるのは事実です。

普段、数万円しているようなメゾンの商品が、素材感やデザインが多少変わるとはいえ、千円台の価格で手に入るのですから。

しかし、そうなったとしてもデザイナー側のメゾンは一時的には潤うでしょうが、長い目で見るとそんなに旨味のある事柄なのか?とは思います。

今回のJILL SANDERのように、デザイナーとして第一線を退いた人間を起用する事は良いと思います。

しかし、現行のメゾンでコラボレートしてその後、大きく売り上げを上げているかと言えば決してそうではない。

寧ろコラボレートがきっかけで付いた客よりも離れていく客の方が多かったりするのではないだろうか?

昨今、UNIQLOとのコラボレーションで上手くやったなというのはUNDERCOVERくらいなのではないでしょうか?

当初、ロックテイストやストリートテイストの強いUNDERCOVERのアイテムを落とし込んでくると思われていましたが、

「家族で着られる服」

というコンセプトを用いて販売する事によって、自らのメゾンのテイストを守りながらも知名度を格段に上昇させたという方法は非常に上手かったと思います。

その後、コラボが無いという事は恐らく意図した所に落ち着かなかったんでしょう。

これはUNDERCOVERが上手くやったなと思わされました。

基本的に僕はユニクロのアパレルメゾンとのコラボレーションは反対の立場を取っています。

一時的には爆発的に知名度が上がるものの、その後の経歴としてこれは+に働く事は余りないと思うからです。

洋服を売るうえでデザインは命です。

それを他者の名前を付けて売られる事にもうちょっと危機感を持つといいかな?と個人的に希望しております。

あ!アーティストとかミュージシャンのコラボレーションはどんどんやってくれていいと思います。

BiSHとのコラボレーションとか個人的に凄く楽しみにしているので!

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