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室姫深というギタリスト。
ちょっと最近、自分でも通って来ることが無かった昔のバンドを聴いていたりします。
数々の伝説のバンドが再び動き出し、かつての解散よりも長い活動期間を迎えようとしている昨今、そう言えばこの人出てきてないよな…って思った方がいらっしゃいました。
それは…室姫深です。
この人の生み出す楽曲とそのフレーズは
ヴィジュアル系!というギターの代名詞と言っても過言ではありません。
現在V系のリスナーには是非知っておいて頂きたい人物であります。
ここでは、不思議と語られる事の少ない室姫深氏について少し語りたく思います。
さて、室姫深という人のバンドマンとしてのキャリアが始まったのは1990年にまで遡ります。
そのバンドは…なんと!
THE MAD CAPSULE MARKETS!
なのです!
って言ってもTHE MAD CAPSULE MARKETSの存在を知る人も古いのかな?
日本における、ミクスチャーバンドの先駆け的存在で、そんな言葉がまだない時から様々な音楽ジャンルをミックスした音楽を展開したバンドです。
結成当初から非常に評価の高いバンドであり、結成間も無くレッチリの日本公演の前座なんかを務めたりもしています。
現在AA=として活動されている日本を代表するトラックメーカーであります上田剛士氏が所属していたバンドという方がいまではしっくり来るのかもしれませんね。
物凄く格好良いバンドではあったものの、レコードのセールス面では大きく恵まれず、オリコンランキングのベスト10に入るのは結成から6年後の1996年。
日本でセールス的な恩恵を受けたのは2000年代に入ってからというから驚きです。
と、MADの解説はこの辺にして。
深さんのTHE MAD CAPSULE MARKETS所属期間は非常に短期であったものの、非常に個性的なギターが光ります。
しかし、たった1年で彼はこのバンドを脱退します。
その後、D'ERLANGERを解散後、次の活動を模索していたkyoさんと共にDIE IN CRIESを結成。
当時、kyoさんとの面識はなかったそうなのですが、kyoさんが
「パンクバンドなのにポップなギター弾いててクビになったギタリストが居る」
と聞きつけて深さんをメンバーに引き入れたそうです。
彼のセンスが大きく寄与し、殆どの楽曲の作曲を担当します。
その結果、数々の名フレーズを生み出します。
少し聴いていただくだけでも、特徴的なギターフレーズが耳に残ると思われます。
そして、このバンドの所属期間中にギターメーカーFernandesとライセンス契約。
今後彼のトレードマークとなる♂と♀を組み合わせた模様のギターも生み出されました。
このギターは布袋寅泰モデルを参考に生み出されたという逸話も残っています。
DIE IN CRIESは元々ビッグバンドに所属していたkyoさんやyukihiroさんにファンが付いていた事も相まって結成から瞬く間に大人気バンドになります。
しかし、メンバー間で嗜好する音楽の色が変わってきた事によって、たった4年でその活動に幕を閉じます。
その後、DIE IN CRIESと並行して進めていた自身のプロジェクトであるBLOODY IMITATION SOCIETYを本格的に始動。
奇しくも、自身が脱退したTHE MAD CAPSULE MARKETS的な音になっていて、そのルーツが窺い知れるものの、DIE IN CRIESで出来たファンを取り込む事は難しかったようです。
それから、再びkyoさんと共にBUGを結成。
しかし、またしても2001年に同バンドを脱退。
BUGは後任のギタリストが Guniw-TwoolのASAKIさんが加入し、凄くkyoさんに合った音を展開していく結果に。
これもまた格好良いので、興味のある方は是非に聴いてみて欲しく思います。
その後、MorrieさんがCreatureCreatureを立ち上げる際に、楽曲提供とバンドの初期メンバーとしてMorrieさんの復活に華を添えられました。
ちなみに最初期のレコーディングメンバーは深氏の他にBa.にtetsuya(L'Arc〜en〜Ciel)、Dr.真矢(LUNA SEA)を迎えるという豪華さ。
ex.DEAD ENDのカリスマヴォーカリストの音を当時のヴィジュアル系を聴いていたリスナーに届けるために、当時のDANGER CRUE総力を結集したスペシャルバンドでした。
この後、目立った活動としてはAcid Black Cherryのサポートメンバーであった事でしょう。
現在は主に盟友である上田剛士氏のサポートなどをされております。
というのが室姫深という人の主な経歴です。
華々しいバンドの立ち上げを何度も行うけど、結局途中で辞めちゃうんですよね。
第三者的に見ると勿体なく、損な立ち回り方をする人だなと思います。
多くの天才にありがちなのですが、色んな意味で彼を支えてくれる存在が居なかったのが原因ではないかと思っています。
同じギタリストでも、盟友でもいいから一緒に歩める人がなかった。
同年代でこの人と並べるのは当時CRAZE、ex.D’ERLANGERだったCIPHER(瀧川一郎)さんだったんじゃないかな?って思っています。
室姫深と瀧川一郎の決定的な差異、それは同じ目線で支えてくれる人の有無だったと思います。
あと、我を通す強さの有無。
そこが違っただけで両者は大きく道を違えたんじゃないかと思っています。
僕はCIPHERさんも深さんもどちらも好きです。
2人とも個性的なギターを弾かれる方ですから。
ただ、僕はCIPHERさんには憧れを、深さんには共感を覚えてしまうのです。
それは、単にそれぞれの目的達成の方法が要因です。
圧倒的な権限で手段を選ばず目的を達成しようとするCIPHERさんと、現状を鑑みつつ目的を達成しようとする深さん。
というイメージが僕にはある。
多分、カリスマと呼ばれる人間が前者で、優れた指導者と呼ばれるのが後者なんでしょう。
だからこそ、表舞台に立っても目立つ事はないが、その力は絶大なるものがある。
この人を重用しなければ全てが立ち行かなくなるの誰もが分かるんだよ。
けど、誰もがこの人の担ぎ上げ方が分からなかったんです。
だからこそ、室姫深の名前はその実績ほど大きくは轟いていない。
その事が非常に残念に思っています。
いつの時代も縁の下の力持ちの評価は低いものなんですよ。
しかし、僕は非常に格好良いと思ってます。
不器用な天才に幸あれ!といつも思う。
オマケ
同時代の陽と隠の間接的共演。
これやられた時、「あの我儘大王が他人の曲をコピーした?」と思ったものです。