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2025年1月29日

2025/01/29 20:43

いただきます、という話。

これ、半額になっていたからよかったら食べて!
元気よくお店に入ってきて私にそう声を掛けてくれたのは、斜め向かいにあるレコード屋さんの店員さん。齢はいくつか分からない。私の母親と同じくらいだろうか。

ご近所さんなので会えば世間話なんかする、そんな仲だ。
食べるものを恵んでもらえるのは本当に嬉しいし、気に掛けてくれている人が居るという事実は、ここに居ても良いのだと肯定された気がしてホッとする。
少々大げさかもしれないが、私はそう思っている。

大人になってしばらくは、ご近所付き合いとは縁遠い生活を送っていた。
昔住んでいたアパートでは仕事の関係で不在のことが多かったこともあり、隣に住んでいる人とも話した記憶が殆ど無い。
遅い時間に帰り、早い時間に出ていく。そんな生活の中にはご近所付き合いは生まれなかった。

私が今住んでいる場所は、商店街の中にある。
市内でも長い歴史を持っているこの商店街には、昔から住んでいる人々が沢山居る。今ではシャッターが目立ちお世辞にも賑わっているとは言えない場所だが、人と人との交流にはちゃんと温度がある。
形の無い、人々の交流はこの先も残していけるだろうか。
いや、形が無いからこそ、これから先もどんな場所でも残していけるかもしれない。
私に出来ることは、なんだろうか。

いつも半額でごめんなさいね。と、去り際にひと言。
いやいや、値段じゃないんですよ。お気持ちが嬉しいんです。ありがとう。
まずは、美味しくいただこう。それが今できることかな。

2025/01/29 20:58
タイマーが鳴ったので、今日はここで。

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