
2024年3月30日
2024/03/30 07:50
毎日鏡に映る自分の顔を見る。
歯を磨き、顔を洗い髪を乾かすことは誰しもすることだろう。
表情や肌の調子の変化に気がつくこともあれば気がつかないこともある。
今日は気がつくひだったようで。
眉間から鼻の頭を結ぶ筋の少し眉間寄りに横筋に入った薄い傷を見つけて懐かしい気持ちになる。
あれは小学校低学年の頃だっただろうか。
自転車に跨がり友達の家に向かっていた。
今考えると恐ろしいのだが、自転車のハンドルではなくブレーキの部分を握って運転していた。どうなるかなんて少し考えれば分かるのにその日はなぜかそこを握って運転していた。
理由なんてない。
ブレーキ握り運転で住宅街を抜ける途中で転んだ。
道路工事をしていた人たちを避けようとしてハンドルを切ったらバランスを崩し、こんな時にこそ必要なブレーキはデンジャラスな運転者によって握られて力を発揮することができず盛大に転んだ。しかも顔から転んだ。
大きな音とアスファルトにぶつかる衝撃は相当なものだった筈だが、とにかく恥ずかしさが優先して一刻も早く立ち上がりすぐにその場を後にしたかった。
「大丈夫!?」
大人の男性の声がした。更に恥ずかしくなって動作を早める。
「ちょっと待って」
呼び止められてしまったから動きを止める。
「よし、これで大丈夫」
男性は私の鼻筋にできたばかりの傷に大きな手で優しく貼ってくれた。
転んだ理由を聞くわけでもなく咎めるわけでもなく、ただ心配そうな目をして。
見て見ぬふりもできた筈だ。それでもその男性は手当をすることを選んでくれた。
恥ずかしくてお礼もまともに言えなかったと思う。
だが、その優しさが嬉しかったことは今でもちゃんと覚えている。
お礼が言えなかった分、私も誰かに優しくしたい。
2024/03/30 08:05
時間が来たので今日はここまで