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ボートレースで勝つためにオッズと向き合う

はじめに

ボートレースAIを目指すにあたり、私が1番重要だと思っているのは何を買い何を買わないかの判断です。
そのために必要なのはオッズの性質を理解しオッズとうまく向き合っていきたいと思います。

オッズについて

実はボートレースをはじめとするギャンブルのオッズと本来のオッズは異なります。脇道に逸れますが整理のためにまずそこを区別つけましょう。

本来のオッズ

オッズとはギャンブルの分野では配当率を示すことが多いですが、実は元々確率を示しています。
あるランダム性のあるものに対して、成功a回するために失敗b回発生するときに

$$
odds = \frac{a}{b}
$$

で定義される値です。
基本的にコインは表の確率が$${1/2}$$のように私たちは表現するのでちょっと直感的じゃないですね。確率$${p}$$を使った形に変更しましょう。

$$
\begin{equation}
\begin{split}
 p &= \frac{a}{a+b} \\
 1-p &= 1 - \frac{a}{a+b} \\
 &= \frac{b}{a+b}
\end{split}
\end{equation}
$$

となるので、

$$
\begin{equation}
\begin{split}
 odds &= \frac{a}{b} \\
 &= \frac{a}{a+b} \cdot \frac{a+b}{b} \\
 &= \frac{p}{1-p}
\end{split}
\end{equation}
$$

となります。
つまり、本来のオッズとは当たる確率と外れる確率の比になります。

公営競技におけるオッズ

公営競技におけるオッズは的中した場合に返還される倍率を意味します。
シンプルなパターンですが、2艇しかいないパターンの単勝を考えます。
購入数もシンプルに

  • 1号艇: $${8}$$票

  • 2号艇: $${2}$$票

とするとしましょう、するとオッズは合計$${10}$$票を的中した票数で分けるので

  • 1号艇: $${10/8 = 1.25}$$

  • 2号艇: $${10/2 = 5}$$

となります。
ここで支持率という概念を持ち込みます。
支持率とはそれぞれの対象が全体のうちどれだけ掛けられているかを示す値です。上の例では

  • 1号艇: $${ 8 / 10 = 0.8 }$$

  • 2号艇: $${2 / 10 = 0.2 }$$

と計算されます。つまり、ギャンブルにおけるオッズは

$$
\text{}\\
odds_{g} = \frac{1} {支持率}
\text{}\\
$$

で計算されます。
仮に参加者の集団が十分合理的で、支持率がそのままそれぞれの発生確率とみなすと、

$$
\begin{equation}
\begin{split}

odds_{g} &= \frac{1}{p} \\
&= \frac{1}{p} - 1 + 1 \\
&= \frac{1-p}{p} + 1 \\
&=\frac{1}{odds} + 1

\end{split}
\end{equation}
$$

という紐付けができます。
本来の定義としてのoddsとギャンブルにおけるオッズの意味は関連はあるが払い戻しを計算するしやすくするために変更されいることがわかります。

補足

実際のオッズはこれでは計算できません。
実は公営競技は参加者から集めたプール金から一定割合を胴元の売り上げとして回収し、残りを参加者の中での的中者に分配しています。つまり参加者に全てのお金が返ってきていません。
なので「他の参加者の総意」よりも自分が賢かったとしても、その賢さの差分が度合い小さい場合は胴元に回収される分で相殺されます。
ボートレースの場合は25%が胴元に回収されているので返還されるのは75%になってます。
なので、実際のオッズの式は

$$
\text{}\\
odds_{g} = \frac{還元率}{支持率} \\
\text{ボートレースの場合 } \\
odds_{g} = \frac{0.75}{支持率} \\
\text{}\\
$$

のようになります。

ボートレースとオッズの役割

結論から言うとボートレースで勝つためにはオッズが必要だと考えています。それを見ていきましょう。


ボートレースで勝つためには当たる舟券を買う?

仮に、原子レベルですべての情報を把握し、未来を正確に予測できたとしましょう。(これは、ラプラスの悪魔として知られています。)
参加者が全員この能力を持つ人の場合、全員が同じ舟券を買うために全てオッズは全て1倍になるのでこの場合負けはしないが勝つこともありません。

実際には情報は不確実なので完璧な予測をすることはできません。
つまり参加者は各々情報を集めレースの結果を予測します。
しかし、結局自分と同じ能力程度の能力を持つ人たちが参加している場合、どれだけ正答率が高くても、勝つことも負けることもありません。

どうなればボートレースで勝てるのか

上の例でみたように的中率100%の完璧な予測ができたとしても勝てないことが分かりました。
つまり、的中率は重要な要素であるがこれだけでは勝てないことが分かりました。
当てるだけではダメなことはわかりました。つまり「どうすれば」ではなく、「どうなれば」勝てるかを考えてましょう。

そもそもボートレースの還元率は100%ではないので、基本的に参加者側は負けます。
理由はシンプルで胴元が勝っているので、参加者側としては負けるというわけですね。
ボートレースで勝つためには自分以外の参加者が相手になり、他の参加者に対して一定以上勝てれば胴元に取られる分を差し引いて勝てることができるはずです。
つまり、勝つためには

  1. 自分が「他の参加者の総意」に比べて正しい予測をしていること

  2. 正しい予測度合いが胴元に回収される分以上を超えていること

の2つを満たした状態になる必要があります。
重要なポイントとしては、どちらも自分の能力だけに依存せず、他の参加者の影響を受けることです。
つまり、そもそも勝つためには参加するゲームを正しく選ぶ必要があることが必要です。

これを実現するために必要なことは2つあります。

  1. 「他の参加者の総意」を把握すること
    -> オッズから支持率を計算することで実現できる。

  2. 自分の予測を「他の参加者の総意」と比較できる形で表現すること
    -> 自分の予測を支持率に値するもの、つまり各舟券の確率を予測することで実現できる

一般的にAI予測のように記載されている記事では2をやってることが多いですね。
これに加え、「他の参加者の総意」を把握することが重要だということ、そしてこれを把握するためにオッズが重要な役割を果たすことを理解しました。

まとめ

結局ボートレースはどういうゲームか

今までの議論を踏まえるとボートレースの舟券購入は以下の流れで行われます。

  1. レースの情報をもとに特定のロジックで舟券の確率を予測する

  2. 予測した確率とオッズを比較し、条件を満たした舟券を購入する

この一連の流れは買い方に対する期待値を計算していることに他なりません。
もちろん確率を推定するロジックは複数あってもいいので、私たちは手札として「ロジック(=買い方)」を持っていてそれぞれのロジックの期待値を計算し、期待値がプラスのロジックを選択肢切るゲームになります。

現実的な話として、実際他の参加者と自分の間で大きな情報量の差はないはずなので、還元率を超えて自分の予測と差があることは全体的にみると考えにくいです。
ただ、いろいろな要因で特定の選手を過大評価や過小評価されているレースは必ず存在します。
例えば、特定の選手のファンの人が多く参加している、予想配信・予想記事などでその舟券に偏るなどが考えられます。
このようなときに、自分の予測と照らし合わせ自分の方がいいと自信があるときに参加できると勝てる確率が上がるはずです。

これまでを踏まえたこれから

これを実行するための課題として、私たちは「他の参加者の総意」を正しく把握した上で購入する判断を下せないことです。
他の参加者の総意には自分の総意も一部含まれるために、自分が買うときには確定のオッズではなく未確定のオッズを使う必要があるためです。

未確定のオッズでも締め切り直前に取得することで「他の参加者の総意」を推定することはできます。
ただレースによっては直前1分からでも結構オッズが変化するレースはあります。私たちの今回の考え方では、締め切り直前から締め切り後に対して、お得になった舟券は買うことができず、割高になった舟券は買うことができないのでかなり問題です。

この問題を解決するために「未確定オッズから確定オッズの予測」をやりたくなってきます。
次はこの予測についてまとめればいいなと思っています。



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