ハロウィン番外編
11月も第2週。すっかり冬の装いのバンクーバーもここにきて少し気温が上がり雨模様、いつもの11月という感じ。ほっとします。
ですが、もう一弾、ハロウィンにまつわる我が家のレジェンドをご披露したいと思います。
前にもうこれでもかというくらいハロウィンについての記事をこちらで紹介しました。
が、今回は我が家に語りつかれる伝説のハプニングについて。
ハロウィンが来るとつい思い出してしまうこの話。よかったら是非。
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あれはお兄ちゃんが1年生、弟君まだ就学していない4歳の年。ロサンゼルスから越してきてバンクーバーで初めてのハロウィンでした。
当時ハロウィンにまったく興味を示さない長男と対照的な次男坊。スパイダーマンにはまりまくり、蜘蛛の巣を飛ばすポーズをことあるごとにやっていました。もうこれは決まりだね、と私も早々にコスチュームを購入。準備万端でした。
このスパイダーマンのコスチューム、数ある中でもかなり本格的なもので、マスク、手袋、ブーツカバー付き。全部装着すると、もう完全にスパイダーマン。大分本物に近いです。
マスクは目のあたりがメッシュになっているので、本人曰くちゃんと見えるそうなのですが、はたから見たら完全にカバーされていて目が見えない。
これって夜、危なくない?マスクはしなくてもいいんじゃない?と危険フラッグを立てようとする私に「絶対に大丈夫」と全力で反撃。
まあお父さんも一緒だしね。走らなければ大丈夫か?
今思えばここでもう少し危険性を考慮して対策をしてあげたらよかったのですが。。。
当日5時半、お兄ちゃんのお友達Oくんとそのお父さんが到着し、カウボーイのOくん、お医者さんのお兄ちゃん、そしてスパイダーマンの弟君とで記念写真を一枚。
お父さん2人と子供たち3人で元気に出かけていきました。私も一緒に回りたかったのですが、やっぱりキャンディ配りもしないと、と一人家に残りトリックオアトリーターの相手をしていました。
彼らが出発してから10分の間、うちにもかわいい子供たちが次々にドアをノックして、静かな家でキャンディをあげて、何だか穏やかだなあとハロウィンを満喫していたら。
ドンドンドン
激しくドアがノックされます。まあ、ちょっとまってよ~と元気な子供たちを想像しながらドアをあけると、そこには
外したマスクを片手に、頭から水がぽたぽたと滴る泣き顔の次男坊。何があったのか訳が分からず、頭から下まで見ると、コスチュームはびっしょびしょ。更に水草が頭にもコスチュームにびっしりついています。
どうしたの!!
次男、「もういやだ!もうおしまい!」とただ泣きじゃくり、その後青くなって走って追いついたお父さんが慌てて事態を説明してくれます。
手っ取り早く話すと
少し先の家に行った時のこと。柵で囲まれていたその家の庭の入り口は狭く、大勢の子供たちが並んでいてちょっと混雑していたらしい。そんななかキャンディをもらい一早く隣の家に行こうと走った次男。みんながいる通路を通って門にいくよりちょっと芝生の上を走ってと小道を外れたら、
ズボーン
頭まで池の中に。なんと道の脇は池になっていてその上に水草がびっしり生えていたので暗い中では芝生に見えたとか。そしてその人工池、言っても1平方メートル程度のすごく小さいもの。なのに何故か子供が立っても足がつかないほど深かったらしい。。。
こんなことってあるんだなあ。。。私たちもこの近所にまだきて間もなかったのでこんなところに池があったなんて。。
突然視界から消えた次男坊にお父さん、大慌て。急いで次男坊を池から引き釣り出したといって、もう意気消沈。疲労感が半端ありませんでした。
ということで、事態を把握した私は俄然この事態の収拾に燃えます。次男に
こんなの余裕だよ。ちゃんとまた出かけられるからとにかく今はきれいにして来よう。
と、びちゃびちゃのスパイダーマンを抱っこしてバスタブまでダッシュ。そこで着ていたものをすべて脱がせ、シャワーを浴びさせます。
私がばたばた走り回っている間、浴室からシクシクが聞こえます。ヒックヒック泣きじゃくってます。
どうしてこうなっちゃうんだよ。
と次男坊の心の声。大丈夫だよ。絶対に何とかなるから!
私は昔から試練が訪れるとすごく燃えます(笑)。シュンとするということはなく、どうやってこの状況から脱却できるか、いつもはあまり使わないブレインをフルに稼働させます。それだけハプニングの多い過去だったからなのでしょうが。。
家にコスチュームの替えはありません。必死に考えてあるものを引っ張り出してきて、ここから何か作ろう。
考えついたのは一番簡単なバンパイヤ、吸血鬼です。
使っていない厚手のテーブルクロスをいい長さに切って、端から10センチのところをアコーディオンに折ってリボンをホッチキスで止めます。生地に光沢があってかなりしっかりしているので多分防寒もばっちり。これでなんとかなる。
もうやる気喪失、熱いシャワーの中で溶けてなくなってしまいたそうな次男に急いで出てくるよう指示。プランを説明します。
本当にそれでうまくいくのかなあ。。
半信半疑な次男坊。でももう涙はありません。私の勢いに押されてしぶしぶ、タオルで体をふき、私が用意した黒い上下のパジャマを着ます。
髪を速攻乾かしてジェルで立てます。黒いアイシャドウで目の周りを真っ黒に。肌が青白い彼にはよく似合います。怖いです。口紅で顔に傷を作り、口から血もたらします。その顔を鏡で見せると次男坊の顔がパット明るくなります。
これかっこいい!
でしょ??スパイダーマンよりずっとこっちのほうがいいよ。かっこいいしこわいよ!
本人ノリノリになってきました。ここにも!ここにも!と即席切り傷のリクエスト。もう大盤振る舞いです。私のやっつけマントを見せると更に興奮。
すごい~こんなのあったの??
なかったけど作ったよ。
肩から足まで伸びるマントをかけ、リボンを結ぶと襟がぴっとたってできあがり。どっから見てもバンパイヤです。ここまでの時間全部で20分。その間、今日はこれでおしまいモードのお父さん、私の代わりに玄関に立ってキャンディを配っていてくれました。
バンパイヤに変身した次男坊を見てお父さん。
お母さん、すごいなあ~。
と一言。
バケツを覗くと集めたキャンディは残念ながらすべてアウト。一見ビニール仕様の包装かと思いきや薄い紙に気持ちコーティングがしてあるだけなようで、もう全部ぐちゃぐちゃです。潔く全部捨て、パンプキンのバケツを洗って出発です。
20分のロスタイム、頑張って取り戻しといで!!
履こうと思った靴はすでにビチョビチョ。
長靴!と叫ぶ私に、そうか!と次男慌てて長靴に足を突っ込んで飛び出します。お父さんもジャケットを引っ掛けて慌てて彼を追いかけます。
走って行く彼等を見送りながら、ただただハロウィンの思い出が悲しいものにならないことを祈るばかり。
たくさんキャンディもらえるといいなあ。
そして2時間後、みんな戻ってきました。とっても楽しそう。出発してから10分後に長男グループと合流し一緒に歩き回ってきたらしい。次男坊ももう目がキラキラしてます。
子供たち3人でお店を開いて、交換したりお気に入りを思う存分食べたり。
本当はお気に入りのスパイダーマンでかっこよく走り回りたかったのだろうけど、「バンパイヤのほうが早く走れたよ。」と本心か負け惜しみかわからないことを言ってくれて、無事にハロウィンが終わってくれたことに感謝しました。
あれから12年。たまに散歩で池のある曰くつきの家の前を通るたびに思います。これ、必要?
このハプニングは次男坊のトラウマになることなく、今では我が家で語り継がれる面白エピソードに昇華しました。あの時は必死だったけど今思うと楽しかったなあ。忘れることのできない我が家の大事な思い出エピソードです。
長くなってしまいました。すいません。ここまで読んでいただきありがとうございます。
表紙は今日雨の合間、近所の紅葉が綺麗だったので一枚。是非みなさんにもバンクーバーの秋をお届けできたら嬉しいです。