陸に戻れば【2023/02/12】
先月末から月初にかけて、外部の研究機関の船に乗せてもらっていた。
メンバーはおおよそその道の研究者と、その道を志す学生に二分されるが、私はどこに属して振る舞えば良いのか、そこからいつも悩んでしまう。
とはいえ、学生たちは初めての航海な人もおり、皆等しくきゃっきゃしている。モテるだのモテないだのといったことで盛り上がっており、もはやその眩しさにさらされることが辛くなった私は研究者サイドに属することに疑いはなかった。
とはいえ、研究者はみな先方の組織内の人間で疎外感は否めない。
こういうときに上手にたち振る舞えるコミュニケーション能力がほしい。
絶望的にコミュニケーション能力がないというほどではないと思うのだが、なまじいろいろなことを察してしまうだけに、うまく会話の輪に入れず、一応同じ空間で笑顔で相づちをうっているときなどはむしょうに惨めで耐えられなくなってしまう瞬間などがある。
陸に帰ってきたときはそれなりに疲弊していた。
心を癒すために三軒もカフェをはしごしたが、船の乾燥でかさかさになった指先などが気になってあまりゆっくりできなかった。
追い討ちをかけるように、空港へ向かうバスで尿意に苦しめられることになった。危うく社会的に死ぬところだった。本当に危うかった。
陸に帰ってきてからは溜まりに溜まった仕事で、もう心はたくさんだった。加えて、俳句の仕事や〆切、学会の投稿もある。
何をしても拭えない焦燥感と抑圧された心地はこれらを片付けない限り消えないのだろうけれど、
むしろいま感じている感情自体はもっと原因の希薄な鬱にちかいもので、さらに救いのなさを感じている。
失恋をしたりするとショックで痩せるタイプだったのだが、こういう日常的なストレスの場合は、睡眠薬の副作用も相まって夜にものを食べてしまうことにより圧倒的に太る。というか太った。
こうなると、太ったこと自体も心に暗澹たるオーラを纏わせ、そのストレスでまた食べてしまい、という負のサイクル(正のフィードバック)を与えてしまう。
これってnegative positive feedbackって言うのかな。
どこかで区切りをつけたい。
何事にもきっかけがほしい。人というのは、最初の一歩が重いから。