2018/06/27 (回想録 Vol.9: イタリア[7])
聖堂の裏の広場には人が集まってきていた。ちょうど昼時だったので、ふらついていると次第にランチやカフェを目当てに人が増えてくるのが実感された。さっきまではいなかった大道芸の人が十字路の真ん中にボストンバッグを広げていた。
この小さな町のどこにこれだけの人がいたのかが不思議だったが、人に満たされたテラスは正しい状態であるように感じられた。
聖堂の脇にある酒屋は閉まっていた。店の前のショーウィンドウには日本のウィスキーが並べられていた。奥にはガラス張りのカウンターと、棚に積まれた木箱入りの洋酒が見えた。
裏路地の喫煙所にはゴミが詰め込まれていた。誤った場所とはいえゴミがきちんと集まってくるのが不思議だと思った。
小路の先に海の輝きのような光が見えた。海であるはずはなかった。おそらくあれは、川の光だった。