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ゼフュロス編|『アモールとプシュケー』あとがき

あとがき&設定資料集、今回はゼフュロスです。

次回は番外編のミルラ、ピュグマリオン。
そのあと、参考文献記事を載せて、グランドフィナーレとなります。




ゼフュロス


 ゼフュロスは西風の神。その風は、優しく心地よいそよ風と言われています。

 風の神々の中で、最も好まれたのがゼフュロスで、世界の果て、オケアノス河の向こうにあるとも言われたエリュシオン(極楽の野)にも、ゼフュロスの風が吹いていたとされています。


 彼はなぜか、神様なのに人間に身構えられたり畏れられたりしないようで、アプレイウス『黄金の驢馬』の中でも、プシュケーの姉たちに、あごで使われています(^^ゞ


 ゼフュロスの妻は、ひとまずは虹の女神イリスなのですが、絵画に描かれているゼフュロスは、花の女神フローラの恋人であることが多いようです。私自身はそちらになじみがあるので、当初はフローラのみ取り上げようかなと思っていました。


 ですが、ギリシャの抒情詩人アルカイオスによると、ゼフュロスとイリスの間の子どものうちひとりが、なんとエロース(アモール)だったそうなのです。または、エロースとイリスの息子がゼフュロスという説も。(異伝異聞がありすぎて、もうわけが分からないギリシャ神話です...)

 そのような理由から、イリスにもご登場願ったというわけ。

 世が世なら(?)アモールの父親だったかもしれないゼフュロスが、何くれとなくお節介を焼くのも納得...☆

(ちなみに、この物語の「父親」的要素は、ゼフュロス+ハデスが担っているのかなと思います。)

 ゼフュロスも絵画に好んで描かれる人気者ですが、髪はやっぱり茶系。でも、アルカイオスによると金髪。

 風の神が茶髪というのはどうしても違和感があるので、風や空のイメージから、金でもなく銀髪&蒼い眼にさせてもらいました。

 ちなみに、アフロディーテやクピードは、本によっては金髪碧眼。でも、クピードは何はともあれ甘く優しいイメージ優先で、茶色の髪と目にしました。



西洋美術ギャラリー


 ゼフュロスとフローラが描かれた絵画を数点。そして最後の彫刻は、プシュケーを運んでいる場面です。

Louis de Boullogne le Jeune : Flora crowned by Zéphire (1701)



Giambattista Tiepolo : Zéphyr et Flore (1750/53)



François Gérard : Flora caressed by Zéphyr (1802)


William-Adolphe Bouguereau: Flora and Zephyr (1875)


Psyche and the Zephyrs by John Gibson,
photographed by Yair Haklai • CC BY-SA 3.0


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