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【TOR】サンタンデール獲得

(Top画像は公式Youtubeのサムネイル画像より引用)
1月20日にブルージェイズはBALからFAとなっていたアンソニー・サンタンデールの獲得を発表しました。サンタンデールの加入に伴い、40人ロスター入りしていたブランドン・エイサートがDFAとなり、後にTBへ金銭とのトレードで移籍しました。

後払いやオプトアウトを含む複雑な契約

当初の契約は5年92.5Mと発表されましたが、そのうち61.75Mは後払いであることが判明しました。現在価値だと5年68.6M、年平均で13.7Mの契約です。
加えて、27年オフにオプトアウトの権利を有しています。ただし、28年と29年の年俸を2.5M(計5M)積み増し、かつ30年に17.5Mを保証することでこのオプトアウトを無効化できます。また、オプトアウトを行使しない場合は、30年に15Mのオプションまたは5Mのバイアウトが発生します。加えて、MVP受賞等の各種インセンティブも発生する複雑な契約となりました。

クラシカルなスラッガーを獲得

サンタンデールは24年にリーグ2位である44本塁打をマークしてシルバースラッガー賞を受賞した強打者で、長打力不足を打開する主砲としての活躍が期待されます。
パワーに特化し、ソリッドなアームがあるものの、守備走力は平均以下という一昔前の典型的なスラッガータイプ。過去3年ではいずれも150試合以上に出場して、OPS.800前後をマークした比較的計算できる選手でもあります。Chase%は毎年平均を下回るダボハゼ打者で、四球は少なく通算出塁率は3割を少し超える程度と、少し前のブルージェイズにはよくいたタイプの打者。24年は空振り率が改善されて四球率、三振率ともに平均以上の数値を残したので、この傾向が続くことに期待したいところですね。

まさかのブルージェイズに買い叩かれてしまったサンタンデール

初報では5年92.5Mの契約と報じられ、随分奮発した印象の強かったサンタンデールの契約でしたが、結果としてはまさかの現在価値で年平均13.7Mの契約に。クラシカルなスラッガーは今の環境でそれほど人気の出る物件ではないですが、シルバースラッガーを獲った選手が地区最下位のチームにこの契約で移籍したのは随分買い叩かれた印象があります。
なお、サンタンデールは同郷のOBかつ親密な関係であるビクター・マルティネスがブルージェイズの特別アシスタントであったことや、オフシーズンに同じ施設でトレーニングをするマノアらの繋がりも活かして契約にこぎ着けたそうで、大物選手に振られ続けたフロントとは思えないくらいこの契約ではリクルーティング活動がうまくいったようです。

政治的な側面を除けば、あまりフィットした動きとは言えない

サンタンデールとリーズナブルな価格帯で契約出来たものの、手放しでは喜べないトランザクションでもあります。ざっと挙げただけも、この契約には複数の懸念が存在します。

  1. 安定感はあるが飛びぬけた成績を望むのは難しいサンタンデールでは、地区最下位のチーム状況を変える存在として期待するのは酷である

  2. QO物件でドラフト指名や海外ドラフト契約金枠を手放してまで獲る必要性に疑念がある

  3. 将来的にDHが濃厚で、パワー特化型で打てなくなった場合のリスクが大きいサンタンデールに5年の契約は長い

  4. オフにゲレーロ、ビシェットがFAとなるブルージェイズが長期契約を抱えることの妥当性

ただし、ブルージェイズというチームは、必ずしもポストシーズンに出場できる可能性を出来る限り高めることや、編成における将来性を最重視して動くチームとは限らないので、この視点を持つとある意味で納得のできる動きでもあります。
つまり、今期のオフはソト、佐々木といった大物の獲得競争にも敗れてフロント批判も強まり、シーズンへの期待が萎んでしまいました。そこで同地区のシルバースラッガーを獲ることでファンに期待を持たせるためにサンタンデールを獲った、そうした側面も強いトランザクションなのではないかと解釈しています。
その一方で、こうした難しい状況下に置かれたチームにあえて加入してくれたサンタンデールには大変ありがたい存在であり、新たなトロントの顔となれるよう期待したいものです。

サンタンデール獲得により贅沢税ラインを既に13Mほど超過したブルージェイズですが、依然としてシャーザー、アロンソらFA選手の獲得を試みているようで、キャンプ前にまだ大きな動きがあるかもしれません。今後の動向にも注目ですね。

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