【TOR】イミ・ガルシアと契約
今年はロックアウトが懸念されていることもあってか、例年と比べてFA選手のサインも早期に締結されている印象があります。そして、ブルージェイズはFA獲得選手第一号として、FAのイミ・ガルシアと契約を締結しました。
契約は2年+オプションで11Mが保証されています。具体的には契約金が1M、22年が4M、23年が5M、24年はVesting Optionで、23年に60登板または60イニングの登板、または22-23年の合計で110登板または110イニング投げた場合は自動で6Mのオプションが24年に行使されます。この条件を満たさない場合は、24年は5Mのオプションまたは1Mのバイアウトが発生します。また、50イニングと55イニングをクリアした場合は250K、60イニングをクリアした場合は500Kのボーナスが与えられるようです。
ガルシアはドミニカ出身の31歳の右腕のリリーバー。メジャーデビューの2014年から2019年まではLADに在籍しました。2019年オフにノーテンダーFAとなり2020年はMIAに移籍し、今年の夏場にトレードでHOUに移籍となりました。
2016年にTJ手術を経験したものの、2019年以降は長期離脱もなくプレーしています。平均96マイルの直球を投げ、スピンレートの非常に高い選手。中継ぎながら典型的な2ピッチ投手ではなく、スライダーとカーブを投げ分け、たまにチェンジアップも放ります。スピンレートが高いこともあってかややフライの多い投手ですが、奪三振率、与四球率は優れた投手です。
ブルージェイズの現在のブルペンは絶対的守護神としてロマノが君臨し、トレードで獲得したシンバーがセットアップ、勝ち継投にはリチャーズ、メイザを織り交ぜる陣容です。また、ポテンシャルは卓越しているものの故障に苦しんだメリーウェザーもいます。また、アンソニー・カストロ、カービー・イェーツ、テイラー・サウセドらマイナーで好成績を残してメジャー定着を目指す選手や、トレント・ソーントン、ライアン・ボルッキら先発からの転向組がロスター入りする状況です。ガルシアは調子が良ければ勝ち継投に加わるような形になるかと思われます。
2020年オフのブルージェイズはFA選手としてイェーツ、フェルプス、チャッドウッドを獲得したものの、イェーツは全休、フェルプスは序盤で全休、チャッドウッドは5月以降制球難に陥りシーズン中盤でDFAされ、惨憺たる結果に終わりました。ここ3年はソリッドな活躍をしているガルシアを獲ることは、今年のブルペン補強の失敗を踏まえてという印象を受けます。
ロマノ、シンバー、リチャーズ、メイザに加えて、過去3年間ソリッドな成績を残したガルシアが加わることでブルペンがより強固になった印象があります。彼らに加えてメリーウェザーらポテンシャルの大きい選手が控える布陣となり、ブルペンの陣容は2020年オフと比べるとかなり充実しています。FA中継ぎ投手をもう1人ほど補強する可能性はありますが、いずれにしても中継ぎ陣は2021年シーズン開始時点と比べるとかなり期待できる陣容と言えそうです。
契約自体も2年10M+オプションと比較的流動性と確保できる契約となっており、上手く契約を締結したという印象があります。また、番記者のNicholson-Smith氏によると、ガルシアはブルージェイズよりも高額のオファーを他球団から受けたものの、コンテンドするチームでプレーしたいという理由でブルージェイズを選んだようです。高税率かつ唯一のアメリカではない都市に本拠地を置くチームをあえて選んだガルシアの決断はファン心理として素直に応援したくなる気持ちになります。(そもそもブルージェイズより良いオファーもらったのに来てくれるなんて奇特な人はこれまで聞いたことないような…)
ブルージェイズとしてはガルシアというソリッドなリリーバーと契約でき、肝心のセミエン再契約を含む野手の補強と先発の補強に力を注げる状態となりました。
また、今期オフの目玉FA選手の一人であるケビン・ゴーズマンにブルージェイズがかなりプッシュしているという情報もあり、今後の動向も見逃せないところです。ファン心理としてはゴーズマンと契約とサインすればレイの移籍は不可避で、複雑な気持ちではありますが、悔しいシーズンとなった今期を踏まえて積極補強するチームの今後の動向に期待したいところです。