【TOR】2023年ドラフト総括①
(画像はMLB公式より引用)
今年はオールスターと同時期にドラフトが実施されました。ブルージェイズはオフにQO物件であるバシットと契約したため、2位指名権を喪失してドラフトに臨むことに。
本投稿では1~10位の指名選手についてまとめました。
選手情報は上から、MLB及びBaseball America(BA)のランキング、出身校、ポジション、投打の利き手、年次、身長/体重、誕生日、契約金(10順目まではスロットも併記)となっています。ReportではMLB及びBAのスカウティングレポートの要約、Comments:は私見です。それではどうぞ。
1位(全体20位) Arjun Nimmala
MLB: 11位 BA: 17位
Strawberry Crest HS (FL)
SS
R/R
HS SR
6' 1" 170lbs
DOB:10/16/05
Signing Bonus $3.00m Pick Value $3.75m
Report: 今年のナンバーワン高校生遊撃手。両親が移民1世のインド系アメリカ人で、指名の際には多くのインド系アメリカ・カナダ人が歓喜した。指名時点で17歳と高校生の中でも若い。身体能力に優れ、打撃ではパワー面での評価が高い。コンタクト能力もまずまずであるが、アプローチ面はややむらがあるとの指摘も。走力は50と評されるが平均以上であり、肩も強いことから、SSに留まれる確度が高い選手。ブルージェイズがよく指名する、肩が強いが走力は平均以下で3Bコンバート不可避のなんちゃって遊撃有望株とは違う。
Comment: ニマーラの家はブルージェイズの春季キャンプ地でもあるダネーディンから車で1時間の距離であり、ブルージェイズは指名前から2週間の育成プログラムのオリエンテーションを提供していたそう。それもあってか、高校生ナンバーワンSSにも関わらず、契約金はスロットを大幅に下回る金額でサインに成功。スティールと言える指名でしょう。ブルージェイズはマノア、マーティン、ホグランド、バリエラに続いてフロリダの高校出身の選手を指名しており、フロリダ州に重きを置いたドラフトを続けています。SSに留まれる可能性が高い上に打撃のアップサイドも大きいので、大いに期待したいところ。
3位(全体89位) Juaron Watts-Brown
MLB: 67位 BA: 48位
Oklahoma State (OK)
P
R/R
4YR JR
6' 3" 190lbs
DOB:02/23/02
Signing Bonus: $1.5M Pick Value: $772k
Report: 高校時代はフットボール、バスケットボールでも名の通ったプレイヤーであった。大学1年目はフットボールでの故障によりレッドシャツとなり、今年指名されたものの大学でプレーするのは2年目。今年から現在の大学にトランスファーした。直球は90マイル前半、最速96マイルとそれほど速くはないものの、セカンダリーのスライダーの評価が高く、奪三振率が非常に高い。カーブ、チェンジアップも投げられる器用さがある一方、与四球率は高く要改善。
Comment: 大学生にしては素材型の選手で、リスクはあるもののアップサイドも大きい選手。カレッジレベルで制球難が露呈する選手の育成ノウハウがブルージェイズにあるかと言われればかなり懐疑的ですが、大化けする可能性も十分にあり。制球が改善されなければ、リリーフ転向でしょう。
4位(全体121位) Landen Maroudis
MLB: 72位 BA: 82位
Calvary Christian HS (FL)
P
R/R
HS SR
6' 3" 190lbs
DOB:12/16/04
Signing Bonus: $1.50m Pick Value: $547k
Report: フロリダ州屈指の高校生有望株。直球は最速96マイルまでに達し、チェンジアップへのフィーリングも良い。サードピッチのカーブもまずまず。コントロールも破綻なく高校生としてはハイフロアーな投手。野手としてプレーしており、深いイニングになるとやや精度が落ちるのは二刀流の影響とも見られている。
Comment: ニマーラの契約で浮いた750Kのスロットはほぼこのマローディスに充てられる格好となりました。アップサイドがありかつまとまっている投手で、高校生投手をあまりモノにできていないブルージェイズからしても良い指名だと思います。それにしても、ブルージェイズは野手としてもプレーする投手が大好きですね。(マノア、ホグランドらも大学では野手としてプレーしていました。)
5位(全体157位):Connor O'Halloran
MLB: 164位 BA: 162位
Team That Up North
P
R/L
4YR JR
6' 2" 190lbs
DOB:09/01/02
Signing Bonus: $338k Pick Value: $385k
Report: トロントの隣町であるミシサガ出身。アメリカの大学に進学後は先発投手としてソリッドな活躍を見せている。与四球率は非常に低くコントロールは卓越しているのが最大の武器。一方で、左腕とはいえ直球は平均で90マイル前後で、メジャークラスで通用するには球速アップが求められそう。
Comment: 大学は無名校であるものの、カレッジ出身者らしいソリッドな投球の出来る実力派。もう一回り成長してMLBでも通用するスタッフを磨いて欲しいところですね。中位でカナダ人を指名するのも19年のダサン・ブラウン以来でやや久しいこともあり、新たなカナダ人メジャーリーガー誕生に期待したいところ。
6位(全体184位) Jace Bohrofen
MLB: 66位 BA: 106位
Arkansas (AR)
OF
L/R
4YR JR
6' 2" 205lbs
DOB:10/19/01
Signing Bonus: $302k Pick Value: $305k
Report: クラシカルな両翼タイプのスラッガー。高校時代からドラフト3位以内の指名が有力視されていたエリートである。2年次から転校したアーカンソー大での初年度は苦戦したものの、昨年のCape Codでもトップクラスの成績を残し、今シーズンでもOPS1.0超えと強豪カンファレンスのSECを代表するスラッガーに成長した。木製バットでもしっかり長打を放てるパワーは強みである一方、やや三振率は高め。足は平均以下であるが、両翼として平均程度は守れるだろう。
Comment: 有望株ランキングからしても、本来はこの順位までスリップするはずのない選手であり、わずかながらアンダースロットでサインできたのは非常に驚き。シャパイロ/アトキンス体制下の2順目で指名したカレッジの外野手であるウッドマンやコーナインよりも期待できそうで、6位でサイン出来たのはまさにスティールです。
7位(全体214位) Nick Goodwin
MLB: 163位 BA: 138位
Kansas State (KS)
SS
R/R
4YR JR
6' 1" 205lbs
DOB:09/06/01
Signing Bonus: $236k Pick Value: $239k
Report: 大きな穴のないツールの揃った選手。昨年のCape Codではしっかりとパワーポテンシャルを示している。また、3年次においては四球と三振がほぼ同数とアプローチ面でも改善が見られる。走力もソリッドであるが、プロでSSに留まれるかについては評価が割れている。
Comment: 4~5位くらいで指名されてもおかしくない選手で、ほぼスロット通りに指名できたのは上出来と言えます。ツールは揃っており、木製バットへの適応も問題なさそうなので、早い段階で上のクラスに昇格もあるかもしれません。
8位(全体244位) Braden Barry
West Virginia (WV)
OF
R/R
4YR JR
6' 4" 190lbs
DOB:02/06/02
Signing Bonus: $148k Pick Value: $195k
Comment: メジャーカンファレンスで3年次には.290/.383/.511 24SBと好成績を残した選手。ややスロットを浮かせる意味合いの強い指名ではありますが、外野手の有望株は手薄なので、台頭のチャンスは十分にあります。
9位(全体274位) Sam Shaw
Lambrick Park SS (BC)
OF
L/R
HS SR
5' 10" 180lbs
DOB:02/26/05
Signing Bonus: $285k Pick Value: $176k
Report: カナダの高校生。飛びぬけたツールがあるわけではないものの、コンタクト能力の高さは評価されている。守備は2Bに留まれなければ外野手と見られている。
Comments: ブルージェイズはカナダ人高校生を結構指名しているのですが、合意に至らないことが多いです。(現ブルージェイズのザック・ポップもそうでした。) ショーには是非成功例となってこの流れを変えてくれることに期待です。
10位(全体304位) Josh Mollerus
Oregon (OR)
P
R/R
4YR 5S
6' 3" 215lbs
DOB:10/06/99
Signing Bonus: 48K Pick Value: $166k
Comments: 5年目シニアの選手で、明らかなボーナスプールを浮かせるための指名です。奪三振率の高いリリーバーで、早期にマイナーで結果を残すことが期待されます。