写真集を自家製本してみた
自分で撮った写真で写真集っぽいZine?ブック?を作ってみたいと以前から思っていたものの、何だかんだと先送りにしておりました。が、この度ちょうど良いきっかけがありチャレンジしてみたので、作り方や使った道具などをご紹介したいと思います。
まずは完成品
上製本(ハードカバー)
サイズ:B5判
ページ:80P
四苦八苦したものの初めての割には満足のいく仕上がりになりました。
コンセプト
世の中にはZineの作成ができる印刷サービスが沢山ありますが可能な限り自分で作ってみたいなと思い、写真の印刷だけ印刷業者に依頼して後続の製本作業と表紙の作成(装丁)は自分でやることにしました。今回の製作に関するコンセプトは大体こんな感じです。
上製本にしたい。
それなりのページ数にしたい。
でも無線綴じではなく糸綴じにしたい。
可能な限り手作りしたい。
販売はしない(のでほぼ1点物)。
予算は2 - 3万円くらい。
制作
1.写真の印刷
製本を前提とした写真の印刷を自前でやるのはハードルが高いのでグラフィックさんで中綴じ冊子をお願いしました。中綴じ冊子というのはホチキス留めされている小冊子みたいなやつです。予算やボリュームを鑑みて16ページ冊子を5種類で合計80ページとし、各冊子のホチキス留めを外して糸で1冊に綴じ直すというやり方にしました。
[発注内容]
印刷方式:オンデマンド印刷
カラーB5中綴じ冊子
16p・フルカラー
ヴァンヌーボVGスノーホワイト130kg
印刷部数:5部
→1部も5部も値段がさほど変わらないので練習用にも5部としました
同じ仕様で全部で5種類、7日納期で14,400円でした。
2.入稿原稿の作成
レイアウトに関しては手持ちの写真集の中で良いなと思うものを参考にして基本的には開いた時に右のページに写真を1枚だけ載せるという贅沢な?レイアウトを採用しました。
頭の中のレイアウトイメージを元に印刷の入稿データを作成します。グラフィックさんの入稿方式は幾つかあって、私はPDF入稿にしたのでAdobe PhotoShopで各ページの原稿を作成してPDF出力し、それをアップロードするという作業となります。
ちなみに世の中一般的にオンデマンド印刷はオフセット印刷よりも品質が劣るという事で若干心配でしたが個人的には全然良いじゃんという感想です。あと、今回は5部で発注していたのですがそれぞれ8部届きました。サービスで印刷部数を追加してくれる場合もあるみたいです。
3.糸綴じに必要な道具
各冊子を糸で綴じるにあたり以下を揃えました。裁断機があると仕上がりが綺麗になるのですが流石にそこまでは手が出ず他でなんとかします。
目打ち:各冊子に糸を通す穴を開けるための道具です。100円ショップで買ってきました。
糸と針:綴じるための必需品。こちらもそれぞれ100円ショップです。
穴あけガイド:すべての冊子に等間隔に穴を開けるためのガイド。プラスチックの30cm定規にドリルで穴を開けて自作しました。
ブックプレス:束ねた冊子を挟み込む為に使います。Amazonで専用品が売っていますが私は家にあったクランプと雑誌で代用しました。専用品だとこんなやつです。
製本のり:1冊に綴じた後に背を糊で固めます。専用品を買いましたが結局ほとんど木工用ボンドとスティック糊でした。
カッター・紙やすり:小口を揃えるために使います。カッターで小口を揃えるのは難しいので私は紙やすりを使いました。
4.製本に必要な紙など
表紙や見返しなど本体以外で必要となる紙系はこんな感じです。ちなみに本の各部の名称はこちらをご参照頂ければと思います。
見返し:写真一番左の白い紙で、用途は表紙と本の中身を接着するために用いられる紙となります。
表紙の元:写真真ん中のグレーのやつです。ハードカバーの元になる紙(芯材)で厚さ1mmのボール紙を買いましたが、実際作ってみると1mmだと貧弱なので最終的には2枚貼り合わせて表紙を作りました。
表紙の表:写真真ん中のグレーの紙に重なっているのはボール紙を包む表紙本体です。
寒冷紗:写真下部の丸まっているやつです。本の背を補強するための布で私はこちらを買いました。
花布(はなぎれ):黄色い布のやつです。花布とは天地両側の背と本文の接着面を隠すように貼り付ける細い布のことで、今回の写真集のテーマが八丈島なのでそれに合わせて黄八丈という絹織物で作りました。
5.製本 - 糸綴じ作業
ここから実際の作業となります。
まずは各冊子にガイドと目打ちで穴を開けます。5セット同じ箇所に穴を開ける必要がありますので少し工夫しました。
それぞれの冊子に穴を開けたらいよいよ糸綴じ作業になりますが、やり方自体はYoutube等に沢山あって私は以下を参考にしました。ややこしいように見えますが一度やるとすぐ出来るようになると思います。綴じ終えたらホチキスの針を外します。
そしたらブックプレスでプレスしながら糊で背を固めます。何回かに分けてたっぷり塗りました。
糊が固まったクランプから外して表見返しと裏見返しを貼ります。
どれだけ穴位置を揃えて綴じても天と地、小口は多少なりガタガタなるので綺麗に仕上げたいところ。裁断機があると良いのですが残念ながらそんなものは家にはなく、取り敢えず最初は定規とカッターでやってみました。が、滅茶苦茶難しくってもっとガタガタになってしまった(泣)ので方針変更して紙やすりで削って整えました。断面は少し荒れますがガタガタよりは全然良いです。
6.製本 - 表紙の制作
次は表紙です。まず最初は表紙の2枚と背の部分をボール紙から切り出します。それぞれサイズ感は↑のYoutube動画を参考にしました。
切り出したボール紙を糊付けする表紙がみを罫描いてからボール紙を貼り付ます。
表紙には箔押しでタイトルとか入れたい所ですが難易度が高すぎるので今回は見送りました。
7.製本 - 仕上げ
ここまで来たらあとは仕上げです。まずは本体に花布と寒冷紗をつけて完成させます。
あとは本体を表紙に糊付けして完成、、、なのですが、この作業が最大の難関でした。平たく言うと見返しに糊を塗って表紙に接着するだけではあるものの、糊の量や余白を考慮した位置決めなど微調整が必要で貼り直したりしている間に見返しが破れたり・・・。試作で何部が作ってみて失敗を重ねつつ何とかそれっぽいのが出来たという感じです。
ここからは写真を撮る余裕もなく。。取り敢えず完成品をもう一度。
8.まとめ
普段何気なく見ている本であっても実際に自分で作ってみるとこういう作りになっているのかと新しい発見もあったり、少しずつ上手に作れるようにもなって楽しい取り組みでした。費用と労力はそれなりにかかるので頻繁には出来ないけど今回を機に今後も年に1回くらいは作ってみたいなと思います。
9.最後にお知らせ
冒頭で書いた通り今回きっかけがあって制作したのですが、そのきっかけというのが写真のグループ展への出展でして。写真の展示も行いますがそれに合わせて今回作成したブックも作品の一つして展示してみたいなと思った次第です。
こちらの写真展に出展しますので、どんな感じの仕上がりが気になる方は是非ご来場頂ければと思います。
テーマ:「Unbound」
日時:2025年1月25日 12時~21時
2025年1月26日 9時~19時
場所:MIL GALLERY JINGUMAE
(東京都渋谷区神宮前4丁目25−28 2F)
ちなみに写真展への出展は初めてでしてその顛末はまた別の記事にでもできればと思います。
それではまた。