MBTIの応用例:就職面接における面接官のペルソナ設定
MBTIを利用した面接テクニックについて。筆者の経験則でしかないため効果の程はまったく保証しません。どうしても面接が勝てなくて途方に暮れている人向けです。
1.「先の先」「対の先」「後の先」
突然だが、武道においてこのような概念がある。武道は相対動作となるため、攻撃を仕掛けた際にタイミングの出勝ち・出遅れがあって、それを表した言葉になる。ざっくり表すと
という感じになる。
①相手の「初手」を読む
筆者は少年時代に空手を習っていたことがあり、大学時代に居合(古流剣術)をやっていたことがある。MBTIの話をした時にSP型は「間合い」と「当て勘」(=ペリパーソナルスペース)が優れているという話したのもこの経験に基づいていて、自分はそのセンスがまったくない。
センスのない人間が武道や格闘技を行う場合、相手の「初手」を読むことはかなり大事だ。安易なテレフォンパンチのように「初手」が相手に読まれてしまうと回避や対処をされてしまい、カウンターを被ったり体勢を崩されたりして不利な状況になってしまう。
だからプロの格闘技選手は対戦相手の映像を見て動作研究をする。どの技のK.O.率が高く、それをどのタイミングで打つことが多いのか、予備動作や呼吸のリズム、クセはあるのかといったところだ。
武道の場合は「型稽古」というのがある。相手がこう攻撃したらこう返す、特定の動作にこの対応をするとこういう形勢になる、というのがパターン化されていて、再現性が確保されているのである。将棋と同じだ。
ただし支点・力点・作用点が定まって正しく力を伝えないと効かないので、武道ではそれを繰り返し稽古をして体に覚え込ませるという感じだ。
②相手の力量を読む
相手の情報が無い場合は、対峙した状況での分析になる。拳ダコがある=打撃を使う、耳が潰れている=柔道・柔術使い、掌にマメがある=剣道家といった形で、相手の得物が何なのか、力量はどの程度なのか、ケンカになった時に勝てるのか、逃げ切れるかという判断になるだろう。
強い人は姿勢が綺麗で脚が太く、呼吸をしても型が上がらず、歩いても首や体幹がブレない。40歳以上でこういう人がいたら何らかのスポーツや格闘技、公安職経験などがあって身体能力が高い可能性がある。両手をなるべくフリーにする、壁を背にするという習慣も参考になる。
筆者はストリートファイト(路上ケンカ)の経験はもちろんないのだが、治安のよくない場所で育ったこと、ブルーカラーや営業職いったやはり治安の良くない仕事に現状就いていることで、仮に戦闘になった場合の自身と相手の力量差はチェックしている。趣味で夜景写真を撮ることもあり、繁華街の酔っ払いや反社に絡まられる可能性もある。海外なら尚更だ。
殴られた場合に拳を払えるのか。胸倉をつかまれた場合に手首取って返せるのか。追いかけられた場合に走って逃げきれるのか。一撃殴られて立てるか。弱者がその力量を見誤ると氏に直結する。
2.就職面接でのMBTI応用
ここから本題になる。筆者はMBTIの知識を就職面接で使っている。
長い間筆者が勘違いしていたことなのだが、面接の「相手方」は誰かという話だ。実は「会社」ではない。今机を挟んだ先に対峙している「面接官」である。つまり相手は「人」なのだ。コイツを認めさせないと先に進めない。
筆者は新卒就職活動は無い内定でフィニッシュしている。その後の公務員試験も面接がほぼ全敗という割と救いのないポンコツなのだが、今思い返すと志望動機や自己PRを話すことに必死過ぎて肝心の「面接官」がどんな人なのかという目線が抜け落ちていたように思う。
面接官がどんな人なのかがわからないので有効な対策ができず、志望動機やガクチカを正確に説明しようとしたり、逆にしどろもどろのアドリブになったりして、話が冗長となり落ちてしまう。大体いつもこんな感じだった。
そんなで筆者は29歳くらいまでフリーターをやっていた上、こんな性格なので転職歴も多い。営業職経験もあるためこの辺はスレており、慣れてしまった部分もあるのだが、面接を受ける際には面接官の人物特性や社会的属性をペルソナ設定して臨むことが多い。
要領は上の「先の先」と同じだ。相手の「得物」と「初手」を読み、「型」にはめ込んで対応するということになる。こうした人読み自体はMBTIを知る前からやっていたが、MBTIがあることで説明しやすくなった。
3.面接官のペルソナ設定
ペルソナ設定とはマーケティング手法のひとつで、「自社の商品・サービスを使用する典型的な顧客像」をイメージすることで対象を絞り込むアプローチだ。つまり仮想敵・攻略対象を想定することで「得物」と「初手」を読み、具体的なシナリオやトークスプリクトといった「型」を組むのだ。
筆者の場合はこんな感じでペルソナ設定を行って面接に臨んでいる。要するに主観による決めつけなのだが、完全出たとこ勝負でアドリブで望むと失敗するので、エンカウント率が高いタイプについてはある程度ペルソナ設定を行って面接に臨んでいる。
タダの決めつけに過ぎないので当然外れることもあるが、無為無策で突っ込んでアドリブで爆死するよりはマシだろうということでやっている。
ペルソナ設定の結果がたまたまISFJやESTJだったということもあり、就職面接のセオリーである「実際の体験(エピソード)」「その会社でどう役に立つのか」という、面接で肝要とされるセオリーとも合致している。
むしろMBTIでペルソナ設定を行ったことで「エントリーシートや面接はどうして具体例・経験が重要視されるのか」という積年の疑問が、「面接官や評価者にSJ型が多いから」という形で自分なりの根拠性・納得感が得られたため、結果的には迷いがなくなっていい方向性に向かったと思う。
4.採用担当者:30代前半・女性・直接部門経験なし≒ISFJ
①人事部採用担当者のペルソナ設定
まず面接官のペルソナ設定を行う。新卒採用の1次面接は集団面接になっている会社があるが、出てくるのは人事部採用担当者だ。人事部員は結構高い割合で女性になる。
まず外見でおおよその年齢は判断できる。そこでもし20代~30代前半くらいなら、キャリアとしては間接部門一筋か、数年の営業現場経験のあとは異動または転職で管理部門にやってきた人間である可能性が高いとみている。
───ではなぜ彼女たちは人事部にいるのか?若くして営業を辞めた理由は?
それはおそらく務まらなかったのだ。なぜか?お客様にプッシュして売り込むことがことが苦手だからだ。数字が取れない。ノルマのプレッシャーが怖い。結婚や出産もあるのでずっと続けていくのはしんどい。現業はやりたくない。オフィスワークがしたい。
けれどもこういった想いもある。人と話すのは好きだ。サポートなら実力を活かせる。チームワークを発揮したい。誰かの役に立ちたい。喜んでもらうのが嬉しい。感謝される仕事がしたい。
社会的な理由を加味する。日本のホワイトカラー職種において、未経験職種に転職可能な限界年齢は大体27~30歳くらいだ。これ過ぎても可能だが現実的なラインは30歳アンダーになる。この部分も根拠になる。
②ISFJ面接官への対策
MBTIも絡めた上で総合的に判断すると「人事部」として出てくる20代~30代前半女性のペルソナは、筆者的にはISFJとなる。ESTJ・ESFJ・ISTJは営業職でもある程度務まる中で、ISFJだけが営業職耐性が低いからだ。消去法かつ適材適所でISFJがこのポジションに収まりやすい。
彼女らはほぼ間接部門一筋なので営業・技術といった現場トーク・専門的な話は避けるべきだ。相手の回答はたとえ誤解があっても否定しない。また数値・実績・評価といった積極的アピールは避けるべきで、協調・協力・貢献といった要素を多く盛り込む。苦労話も作り込む。
また女性面接官特有の対策として「清潔感」には細心の注意を払う。「清潔感」とは要は「負の性欲」のフィルターをパスするための身だしなみで、具体的には制汗・体毛処理だ。女性面接官相手に「コイツはない」と一度思われたら、老若男女いかなる優秀人材だろうと一撃で落とされる。
一方で「この会社の好きなところは?」「働きやすいところは?」と聞くと嬉しそうに答えてくれることが多い。往々にしてISFJは愛社精神が高い。人事部という恵まれたポジションゆえに不満が少なく、組織集団に対する愛着・忠誠心も高いからだ。
ただしこの女性面接官=ISFJというペルソナ設定が使えるのは「30代前半までの採用担当者女性」だけだ。男性の場合、40代以降の女性の場合はキャリアが読めなくなるので、外見年齢や所属部署だけを見て絞り込むことはできない。
5.部門担当者:40代男性・営業課長・現場上がり≒ESTJ
①部門担当者のペルソナ設定
採用担当者と共に出てくるのは採用・配属される部門の管理職で、実際に上司になる可能性のある人物になる。つまり営業・技術における現場の人間ということになる。
営業職の場合は毎月のノルマがあり、成果を求められるのだが、それを20年近く続けてきた人間ということになる。このハードな仕事をずっと続けられるパーソナリティはそれなりに限られる。外向型でないとまず持たず、レスポンスの速さ・ミスの少なさを求められることから感覚型で、なおかつ競争心・達成意欲の高い人間だろう。
②ESTJ面接官への対策
実際に営業職として20年間長続きしそうなタイプにはESTJ、ESFJ、ESTP、ENTJあたりになるのだが、営業職は離職・中途入社が多く、キャリアの多様性やバックボーンが広いので絞り切れない。実際出てきそうなのはESTJ・ESFJということになる。ただENTJはレアなので切っていい。
筆者は代表してESTJとしてペルソナ設定を行って対策するのだが、彼らは学歴・資格といったスペック面には敏感で、数値・実績に対してはシビアな価値観を持っている。ESFJはやる気・貢献意欲になるが、結局数値が求められているのでシビアなことは変わらない。
だからこの相手には売上・利益・取引先数・表彰といった客観的実績や、資格・専門性といったスペック部分をアピールする。専門性については具体例を用いて、それがどう役に立つのかをしっかり説明する。相手が突っ込んできたらそこは相手が一番知りたいポイントなので出し惜しみせずに答えていい。あるいは分からない、少し考えたい場合はそう伝えてもいい。
またこちらは人事部員ではないので労働基準法・採用マーケティング・心理学などに詳しいとは限らない。よって会社の就業規則や待遇などの質問はしてはいけない。
③ESTP面接官は早指しルール
なおESTPは面接官をするのがおそらく苦手だろう。長時間座っていたり人の話を聞くのが苦手だからだ。しかしESTPは営業職として出世しやすいタイプでもあるのでたまに面接官として出てくることもある。そして出てきたらESTPはそれとわかる。
このタイプが出てきたら将棋の早指しのような展開になる。声を大きく、一問一答形式でテンポよく答えることが大事になる。長くしゃべったり、考え込んではいけない。
6.絞り切れないパターン
ペルソナ設定ができないパターンもある。この場合は正攻法で頑張っていくしかないだろう。
①部門の若手社員が担当する場合
新卒就職では人事部採用担当者ではなく、部門担当者の若手社員が駆り出されて一次面接を個人面接で行うパターンもある。この場合はMBTIによるペルソナ設定は不可能だ。20代という年齢および職種であたりを付けていくしかない。
SP型の場合はテンポ重視になるだろう。相手のノリが軽そうな場合は、あまり考え込まず一問一答形式でやっていた方がいいかもしれない。
②重役(社長・役員など)
最終面接で社長や役員が出てくる場合もわからない。ここまで上席になるとキャリアの歩み方が全くわからないので、やはりMBTIによるペルソナ設定はできない。
ただ中小企業の社長という人種は往々にしてESTPが多い。筆者の親父殿もそうだったが、ワンマン社長って大体そんな感じだ。組織化や制度化ができないから中小企業をやっている。やはりこの場合もテンポ重視だろう。
③ENFPというジョーカー
それから筆者が特に苦手とする面接官がENFPだった場合だ。忘れた頃に出てくるジョーカー的存在になる。
ENFPはその浮動性の高さからどのような環境にも一定数存在していて、人事部採用担当者としても、部門担当者としてもたまに出てくるのだが、何せとらえどころがなく、好感度となるポイントもまちまちなのでほぼパターン化や対策ができない。
面接でIQ3の藤原書記が出てくるようなものだ。あの早坂さんをもってしても戦績は5分5分がやっとで、絞り込みやペルソナ設定は不可能と言っていい。面接を行う上で真にコミュ力を問われるのがENFPと言えるだろう。
まとめ
今回は面接試験の話になった。筆者がこう考えた経緯はもちろん面接で落ちまくったからで「会社の志望動機」や「自己PR」が思うように作れなかったことによる。
そこで「とりあえず目の前の面接官を攻略する」という方向性にアプローチを変えたところ、面接通過率が上がったのだ。筆者は今まで4社転職を行っているので、割と自分には合っているやり方だと考えている。
MBTIを搦めると「ほんとぉ?」とうさんくさくなるのだが、人読み自体はいじめを受けてきた幼少時代からやっていたし、ペルソナ設定自体は広く知られたマーケティング手法である。面接で手詰まりになっている人は参考にいただければ幸いだ。